両国で買った花束と、あの頃ちいさな家出を繰り返していた理由【まちまち通信/ひらいめぐみ】
家出が好きな子どもだった。「家出」といっても、行き先は実家から半径50m以内の、数軒先にある近所の家のそばだ。その家の石垣に隠れながら、家族が迎えにこないかと、石垣の陰からちらちらと実家の窓に目をやっていた。心配して外の様子を見ているんじゃないか、と思ったからだ。しかし、何分経っても誰も来てくれないことがわかると、とぼとぼと自宅へと帰るのがお決まりだった。街の外はおろか、自分の住む地区すら出ていないなら、もはや家出とは呼べないかもしれない。理由はいつもささいなものだったけれど、根底には「早く実家を出てひとり暮らしをしたい」という気持ちが自分の中にいつもあった。