天ぷら 魚ふじ

旬の香味を引き出す天ぷらの妙味

職人技を極めた店主の木口和浩さん。
職人技を極めた店主の木口和浩さん。

豊洲で仕入れた旬味は、素材ごとに衣の濃度を変え、生搾りの太白ゴマ油ベースの油へ。揚げたてを一つひとつ供してくれる。会食にも利用される正真正銘の名店だが、昼は「毎日の食事だから、低価格で提供できないか」と店主の木口和浩さん。上は1万円以上の本格コース、下は1000円以下のお手ごろメニューまで揃えたスタイルは、あらゆる客を喜ばせたい想いの表れだ。グレードの高い定食やコースの締めには、大粒の小柱をミツバと粋なかき揚げに。下関の甘みある塩で味わうのも捨て難いが、かき揚げ丼や出汁かけの天茶に仕立てても旨い。

贅を尽くした会食向けのコース(7700~19000円)は、締めに小柱とミツバのかき揚げが。アテによし、天茶、天丼にもできる。
贅を尽くした会食向けのコース(7700~19000円)は、締めに小柱とミツバのかき揚げが。アテによし、天茶、天丼にもできる。
昼の一番人気は、活巻えびの入った本日のおまかせ天ぷら定食(3500円)。
昼の一番人気は、活巻えびの入った本日のおまかせ天ぷら定食(3500円)。

『てんぷら 魚ふじ』店舗詳細

てんぷら 魚ふじ
住所:東京都千代田区神田小川町3-1-19 /営業時間:11:30~14:00、17:00~21:00入店/定休日:土・日・祝/アクセス:小川町駅から徒歩4分

麺や そめいよしの

上品なあっさり醤油が後を引く

具が別添えで登場する、特製そめいよしの(醤油)1150円。
具が別添えで登場する、特製そめいよしの(醤油)1150円。

羅臼昆布を筆頭に乾物を十数種使うスープは、やさしい味を追求して完成させた。「まず、熱々のスープを試してほしい」と、店主の大津直人さん。スープの温度が下がらぬよう、全部載せは具を別に盛る。ブレンド小麦「そめいよしの」を使う特注麺は、低加水で冠水を使わない。ざらっとした舌触りと歯切れのよさが持ち味だ。「そばを意識しています」。控えめに語る大津さんだが、実は、神田明神の神輿を担ぎたくてこの地へ来た、祭男!

「毎日食べたくなる味を」と、努力家の大津直人さん。
「毎日食べたくなる味を」と、努力家の大津直人さん。
壁の桜の花びら数は、これまでの1日最多来客数。記録を超えるたびに描き足す。
壁の桜の花びら数は、これまでの1日最多来客数。記録を超えるたびに描き足す。

『麺や そめいよしの』店舗詳細

麺や そめいよしの
住所:東京都千代田区内神田1-18-2/営業時間:11:00〜15:30、17:30~23:00(土は11:00~14:30)/定休日:日・祝/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩5分

葡萄舎

旨いカレーに隠されたマスターの生き様

パプリカとナス、オクラとムングダルなどカレー2品とフランスパンのセットは864円~、ゴーヤとチラガー炒め864円。
パプリカとナス、オクラとムングダルなどカレー2品とフランスパンのセットは864円~、ゴーヤとチラガー炒め864円。

マスターの池田賢一さん(64)は、若いころ放浪の旅の途中でマラリアにかかった。その時に食べたのがミールス料理(南インドのベジタリアン中心の定食)。ここでの体験がメニューに生かされている。30年ほど前、ワインバーとして開店したが、カレーの味が評判になり、やがて、昼はカレーランチ750円~、夜はカレーのほか、にこごりや刺し身などのつまみも楽しめるバーになった。ゆったりと居心地のよい店内にも、マスターの人柄がにじみ出ている。

放浪時代を彷彿させるマスターの風貌。
放浪時代を彷彿させるマスターの風貌。
黒板にはその日のおすすめが。
黒板にはその日のおすすめが。
天然木のテーブルを配置した店内。
天然木のテーブルを配置した店内。

『葡萄舎』店舗詳細

葡萄舎(ぶどうや)
住所:千代田区神田鍛冶町1-3-10 松栄ビル5F/営業時間:11:30~13:30、17:00~22:00LO/定休日:日・祝(土は夜のみ)/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩3分

神田まつや

たまには池波正太郎のように昼酒を

そばはすべて手打ちで、1日20~30回打つ。やや辛口のつゆで食べるもり770円。
そばはすべて手打ちで、1日20~30回打つ。やや辛口のつゆで食べるもり770円。

ビル街の一角で、屋号を記した釣り行灯(あんどん)や軒下に下がる大きな提灯が目を引く。かつてこの地には明治17年(1884)創業のそば屋『松屋』があったが、昭和2年(1927)に閉店することになり、その店を譲り受けたのが始まり。ソバは、北海道や長野、茨城など、その時季に最もよい産地のものを選び、石臼で碾きぐるみにして、そば粉10に対してつなぎ2の割合で手打ちする外二(そとに)。そば粉が多く、つなぎに鶏卵を使用するため、そばの香りと喉越しのよさが特徴だ。食通で知られた池波正太郎がなじみにした店としても知られる。

建物は東京都選定の歴史的建造物になっている昭和2年(1927)建築の木造2階建て
建物は東京都選定の歴史的建造物になっている昭和2年(1927)建築の木造2階建て
6代目の小高孝之さん。
6代目の小高孝之さん。
高い天井やガラス窓などが歴史を感じさせる。混雑時には相席になる。
高い天井やガラス窓などが歴史を感じさせる。混雑時には相席になる。

『神田まつや』店舗詳細

神田まつや
住所:東京都千代田区神田須田町1-13/営業時間:11:00~20:00(土・祝は~19:00)/定休日:日/アクセス:地下鉄丸ノ内線淡路町駅・新宿線小川町駅から徒歩2分

神田 尾張屋 本店

そばとつゆの相性にこだわる

特大の天然エビ1尾とシシトウの天ぷらが付く天せいろ1485円。
特大の天然エビ1尾とシシトウの天ぷらが付く天せいろ1485円。

大正9年(1920)創業。屋号は初代の出身地である尾張町(現在の銀座5丁目あたり)に由来する。そばは、主に北海道産そば粉を使った細打ちの二八。温かいそばは、鯖節と本枯れ節で出汁を取り、風味を生かすためにつゆは薄口仕上げ。冷たいそばは本枯れ節のみで出汁をとり、つゆは濃いめの辛口。温冷とも、そばとつゆの相性を考え抜いた逸品だ。ビジネス街という場所柄、丼もののメニューも多く、夜は酒席として利用する人が多数を占める。

『神田 尾張屋 本店』店舗詳細

神田 尾張屋 本店
住所:東京都千代田区神田須田町1-24-16/営業時間:11:15~21:00/定休日:日・祝/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩2分

香川一福 神田店

爽やかな酸味、見た目にも涼しげ

日向の平兵衛さんが発見し、自宅で栽培したから平兵衛酢と名づけられた。果汁が多く、爽やかな酸味が特徴。
日向の平兵衛さんが発見し、自宅で栽培したから平兵衛酢と名づけられた。果汁が多く、爽やかな酸味が特徴。

のびのある細めの自家製麺とさば節を利かせた香り高いつゆが特徴。かけ(あつかけ、ひやかけ、そのまま)小460 円、中530 円、大600円に、天ぷらなどをトッピングするのが基本。季節替わりのうどんもあり、夏季は宮崎県日向産のヘベスという柑橘類を薄切りにして浮かべたヘベすうどん(小)620 円が登場。出汁が効いた冷たいつゆにヘベスの香りが移り、ほどよい酸味とほんのり感じる甘みに食が進む。ヘベスには抗酸化作用に効果があるというフラボノイドがたくさん含まれているので、夏バテ克服にもぴったり。

『香川一福 神田店』店舗詳細

香川一福 神田店
住所:東京都千代田区内神田1-18-11 東京ロイヤルプラザ102/営業時間:11:00~18:00(第1・3土は11:00~15:00)/定休日:第2・4土、日/アクセス:地下鉄丸ノ内線淡路町駅から徒歩4 分

カレーノトリコ

具材とルーを調和させるスパイスの妙技

インド風とドライのあいがけカレー1300円。
インド風とドライのあいがけカレー1300円。

ご飯の横はインド風。バリッと焼いた鶏肉に、どんな具材にも合うようスパイス配合を考えたルーをかけ、桜の香りがするハーブ、カスリメティを散らす。上は、粗挽き合挽肉とマスタードシードが存在感大のドライカレーで、どこを攻めても口中がザワザワとにぎやかだ。店主・田邉周平さんは「食感を大事にしています」と、断言。「近隣のサラリーマンのパワーになれば」と、期間限定品も仕込む。

カウンター10席。終日ウルフルズが流れる。
カウンター10席。終日ウルフルズが流れる。
初来店時にもらえるカード。提示で前回の辛さプラス10辛できて、無限の辛さに挑戦!
初来店時にもらえるカード。提示で前回の辛さプラス10辛できて、無限の辛さに挑戦!

『カレーノトリコ』店舗詳細

あぶくま亭

名物煮込み+もう一品のダブル主菜ランチ

和牛黒煮込みとやわらかサバ梅生姜煮900円。煮玉子100円。黒煮込み以外の主菜は肉か魚を選ぶ。
和牛黒煮込みとやわらかサバ梅生姜煮900円。煮玉子100円。黒煮込み以外の主菜は肉か魚を選ぶ。

「和牛黒煮込みは前日に作ってひと晩寝かせます」と、店主の大橋さん。牛のモツやバラ、タンは舌で溶けそうなほどトロットロ。味が染み込んだ大根と玉子にも心が躍る。真っ黒な見た目と裏腹に、口当たりはさらり。それでいて旨味は深く、ご飯にかけてもまた一興。さらに、主菜は日替わりの品からもうひとつ選べる。この日はサバの梅生姜煮。あっさり優しい味は煮込みと好対照でほっこり。

店主の大橋渡さん。
店主の大橋渡さん。
夜は創作居酒屋に。豊富なつまみと日本酒を楽しめる。
夜は創作居酒屋に。豊富なつまみと日本酒を楽しめる。

『あぶくま亭』店舗詳細

あぶくま亭
住所:東京都千代田区内神田1丁目7−7/営業時間:11 :30 ~14:00、18:00 ~23:00/定休日:土・日・祝/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩5分

すし定

ネタがあふれんばかりの贅沢ちらし

ちらし大盛り1300円。中落ち、ネギトロ、ホタテ、タコ、カンパチなど15種ものネタがのる。
ちらし大盛り1300円。中落ち、ネギトロ、ホタテ、タコ、カンパチなど15種ものネタがのる。

開店は明治36年(1903)。現店主の加藤さんは5代目だ。「ちらしは先々代の頃からこの形」と胸を張る。並盛りでも10種以上のネタがのるが、常連の目当ては大盛りだけに付く中落ち。脂がのった身から、マグロ旨味がガツンと舌に伝わってくる。また、シャリはコシヒカリの新米と古米を合わせ、硬さと粘りを調整。酢の香りは控えめでネタの味を邪魔せず、絶妙に食欲を刺激する。

5代目店主の加藤和泰(かずやす)さん。
5代目店主の加藤和泰(かずやす)さん。

『すし定』店舗詳細

すし定(さだ)
住所:東京都千代田区内神田3-5-1加藤ビル1F/営業時間:11:30~ 13:30、17:30~23:00/定休日:土・日・祝/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩3分

trattoria Macco

サクふわポップオーバーは中毒性高すぎ!

パスタランチ1000円。ポップオーバーにはメープルシロップも合う。
パスタランチ1000円。ポップオーバーにはメープルシロップも合う。

ランチの名物は食べ放題のポップオーバー。シェフの宇佐美光林さんは「常にオーブンフル稼働で焼きたてを用意しています」と、笑う。少し塩味の入ったホイップバターを塗り、口に運ぶと、シュー生地のような食感だ。ふわっと溶け、香ばしさ鼻腔を抜ける。また、パスタは6種から選択。開店時から人気の渡り蟹のトマトクリームソースは、もっちり生パスタが絡み、深い旨味が後を引く。

広いカウンターとテーブルが並ぶ店内。夜の名物はローストビーフだ。
広いカウンターとテーブルが並ぶ店内。夜の名物はローストビーフだ。

『trattoria Macco』店舗詳細

trattoria Macco(トラットリア マッコ)
住所:東京都千代田区内神田1-16-12 青木ビル1F/営業時間:11:30~14:00、17:30~22:00(土は〜21:00)/定休日:日・祝/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩5分

洋食キッチン 美味卵家

とろ~り玉子のオムハヤシに頬が緩む

牛タン煮込みのオムハヤシライス1200円。
牛タン煮込みのオムハヤシライス1200円。

「自慢のデミソースのうまさを最大限引き出したくて作ったメニュー」と、店主の佐藤善樹さん。名物のオムハヤシは、とろけるような玉子とデミソースに目が行くが、その下に隠れた白ご飯にかかる、ケチャップで和えた鶏ひき肉が決め手。口に運ぶと、トマトの酸味がパンチになり、爽やかな後味に。さらに、上にのった牛タンもガブリ。長時間煮込んだことでホロリと崩れる食感に、思わず頬が緩む。

「色々試していたら、増えちゃって」と、佐藤さん。店内の壁には、品書きの紙がズラリ。
「色々試していたら、増えちゃって」と、佐藤さん。店内の壁には、品書きの紙がズラリ。
神田の高架下に開店して14年。小さな店はいつもいっぱいだ。
神田の高架下に開店して14年。小さな店はいつもいっぱいだ。

『洋食キッチン 美味卵家』店舗詳細

洋食キッチン 美味卵家(うまたまや)
住所:東京都千代田区神田鍛治町2-13-24/営業時間:11:00~15:00、18:00~22:00/定休日:不定/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩1分

取材・文=佐藤さゆり ・松井一恵・高橋健太(teamまめ)・塙 広明・速志淳(アド・グリーン) 撮影=オカダタカオ・高野尚人・山出高士・鈴木賢一・丸毛透・加藤昌人 ・井原淳一 構成=佐藤宇紘