穏やかな味わいが、心までも満たす『カレーの店・八月』

お好きなカレーに+200円であいがけキーマに。写真はチキ ンカレー980円との組み合わせ。米は土鍋で少量ずつ炊き、減るたびに補充する。
お好きなカレーに+200円であいがけキーマに。写真はチキ ンカレー980円との組み合わせ。米は土鍋で少量ずつ炊き、減るたびに補充する。

おうちカレーにも似た印象に、ホッ。ひと口目で親近感を覚えつつ、なじみのある味の向こう側に、職人による丁寧な手仕事が見え、ハマる。豚骨や鶏ガラ、果物、香味野菜で仕込んだスープは口の中で深い層を成し、じわっと胃袋にも浸透。後から効いてくるジンジャー、ブラックペッパーなどのスパイスが全体をしっかりまとめ上げる。定期的に食べたくなるのはおふくろの味との共通点。

カウンター席があり、一人でも入りやすい。
カウンター席があり、一人でも入りやすい。
オーナーの曽我部恵一さん (右)、店長の尾関太一さん(中央)ら全員が一枚岩に。
オーナーの曽我部恵一さん (右)、店長の尾関太一さん(中央)ら全員が一枚岩に。

『カレーの店・八月』店舗詳細

和食出身の店主の我流の真骨頂『Anjali Curry Spice Foods』

カレー2種1300円。写真はチキンとサンバル。カレーは日替わりで3~4種。市原さんが一人でレシピを考える。
カレー2種1300円。写真はチキンとサンバル。カレーは日替わりで3~4種。市原さんが一人でレシピを考える。

かつてインドやスリランカを旅して回った店主の市原健一さん。現地で食べた味を手がかりに、また和食畑で培った自分の経験を信じ、オリジナルのレシピを考案する。出汁や食材の旨味を活かしたうえで「個人的には甘酸っぱいのも好き」。チキンにはスパイスのタマリンドを使い、辛味、旨味の間にほのかな酸味を忍ばせる。サンバルはしっかり凝縮させ、シャバシャバさせないのがAnjali流。

「外食は和食が多い」と市原さん。
「外食は和食が多い」と市原さん。
店舗は路地裏の半地下。
店舗は路地裏の半地下。
スパイスを駆使するのはもちろん、隠し味としてリンゴ酢で酸味を加えることも。
スパイスを駆使するのはもちろん、隠し味としてリンゴ酢で酸味を加えることも。

『Anjali Curry Spice Foods』店舗詳細

住所:東京都世田谷区北沢2-15-11 センヤビルB1/営業時間:12:00~15:00(土・日・祝は16:00まで)・18:00~21:00LO(火は昼のみ)/定休日:水/アクセス:小田急線・京王井の頭線下北沢駅から徒歩3分

目が眩(くら)む辛さで旨味の境地へ飛ぶ『マジックスパイス 東京下北沢店』

チキン(涅槃)1320円。ライスをスプーンですくい、スープに浸して食べるのがスープカレーのオーソドックスな食べ方。
チキン(涅槃)1320円。ライスをスプーンですくい、スープに浸して食べるのがスープカレーのオーソドックスな食べ方。

本店はスープカレーの発祥地・札幌にあり、かつ元祖の一つ。通称「マジスパ」の味はインドネシアのソトアヤムにヒントを得て、チキンスープをベースにする。醍醐味は舌がヒリヒリするほどの辛さで、独自ブレンドのスパイスは、7段階ある辛さレベルを上げるほど旨味も上がるという不思議。汗は止まらないが、対比効果で具材の旨味がぐんと強まり、スプーンを運ぶ手も止まらない。

内装は独特の世界観。
内装は独特の世界観。
辛さのレベルは全部で7段階。ぜひレベル4の「涅槃」以上を体験して。
辛さのレベルは全部で7段階。ぜひレベル4の「涅槃」以上を体験して。

『マジックスパイス』店舗詳細

住所:東京都世田谷区北沢1-40-15 北沢ゴルフマンション1F/営業時間:11:30~15:00・17:30~22:30LO(土・日・祝は通し営業)/定休日:火・水/アクセス:小田急線・京王井の頭線下北沢駅から徒歩5分

混ぜると味が変わる、スパイスの魔法『Curry Spice Gelateria KALPASI』

カレー3種1390円。
カレー3種1390円。

本日のカレー3種と手の込んだ付け合わせ野菜を美しく盛り合わせた一皿。それを崩すのはちょっともったいないが、怯(ひる)まず混ぜながらどうぞ。おもしろいことに味がくるくる変化し、自分なりの混ぜ具合など探究心が目覚める。例えばマトンキーマならカルパシ、カルダモンで爽やかさをプラスし、パッと華やかに演出。食べ進めるごとにスパイスに刺激され、味覚がどんどん研ぎ澄まされていく。

カルダモンやマサラチャイといったスパイスを使ったジェラートも人気。各530円。
カルダモンやマサラチャイといったスパイスを使ったジェラートも人気。各530円。
本店が千歳船橋にあり、そちらは完全予約制。下北沢の2号店はいつでも気軽に立ち寄れる。
本店が千歳船橋にあり、そちらは完全予約制。下北沢の2号店はいつでも気軽に立ち寄れる。

『Curry Spice Gelateria KALPASI』店舗詳細

住所:東京都世田谷区北沢2-12-2 サウスウェーブ下北沢1F/営業時間:11:30~20:00LO/定休日:木/アクセス:小田急線・京王井の頭線下北沢駅から徒歩5分

大阪生まれのニューウェイブ『旧ヤム邸 シモキタ荘』

旧ヤム邸のカレーはキーマ。写真のぜんがけ1350円は干しエビとモズクが主役の鶏、ミント風味の万願寺香味ポーク、ゴーヤを使った牛豚。まず一つずつ、次に混ぜながら、後半は別添のカレースープをかけて食べて。
旧ヤム邸のカレーはキーマ。写真のぜんがけ1350円は干しエビとモズクが主役の鶏、ミント風味の万願寺香味ポーク、ゴーヤを使った牛豚。まず一つずつ、次に混ぜながら、後半は別添のカレースープをかけて食べて。

2017年、大阪スパイスカレー界の雄が東京へ。約30種のスパイスをメニューによって使い分け、ハーブや茶葉を取り入れることも。ランチのカレーは月替りで、それぞれ辛味、酸味、甘みなど強調する部分を変え、個性を分けた3種類。干しエビのコクにモズクの酸味でさっぱり感を加えていたり、関西人の遊び心に驚かされる。3種類かけて、少しずつ混ぜながら食べると、味変も楽しめるぞ。

シェフの西嶋勇さん。
シェフの西嶋勇さん。
平日夜はスパイス料理やアチャールをつまみに飲める。
平日夜はスパイス料理やアチャールをつまみに飲める。

『旧ヤム邸 シモキタ荘』店舗詳細

住所:東京都世田谷区代沢5-29-9 ナイスビル1F/営業時間:11:30~14:30LO(土・日・祝は15:00LO)・18:00~21:30LO(土・日・祝は17:30から)/定休日:火/アクセス:小田急線・京王井の頭線下北沢駅から徒歩5分

今宵は海鮮カレーとワインで乾杯!『スパイスキッチン ムーナ』

季節ごとに魚が変わる海鮮カレーは、脂がのった魚の旨みがスパイスと絡み合う。
季節ごとに魚が変わる海鮮カレーは、脂がのった魚の旨みがスパイスと絡み合う。

下北沢駅から徒歩1分のビル5階に店を構える『スパイスキッチン ムーナ』。南インドカレーに魅せられた店主が作る、シンプルですっきりとした海鮮カレーが好評だ。“呑めるカレー屋”とうたう同店では、ディナーのみ味わえるカレーセットも人気。店を代表する多彩な7品の前菜と、選べるカレーを1人前しっかりと味わえる。インド産のビールやワインを始めとするアジア地域の珍しいお酒も揃っているため、カレーと一緒に食したい。

前菜から〆のカレーまで味わえるカレーセット2500円。
前菜から〆のカレーまで味わえるカレーセット2500円。
インドやベトナム、ネパールなどのアジア地域のお酒がずらり。
インドやベトナム、ネパールなどのアジア地域のお酒がずらり。
エスニックと大衆居酒屋がミックスしたような店内。
エスニックと大衆居酒屋がミックスしたような店内。

『スパイスキッチン ムーナ』詳細

住所:東京都世田谷区北沢2-12-13 5F/営業時間:11:30~14:30LO・18:00~21:00 LO(土・日・祝は12:00~15:30LO・18:00~21:00LO)※ランチは売り切れ次第終了の場合あり。/定休日:月・最終火/アクセス:小田急電鉄小田原線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩1分

見た目以上に“ガッツリ系”の2種盛りカレー『カレーの惑星』

2種盛りカレー1380円。写真右のポタージュカレーを選ぶと1280円。
2種盛りカレー1380円。写真右のポタージュカレーを選ぶと1280円。

下北沢の一番商店街にある、カメラ屋の看板を掲げた風変わりなカレーショップ。定番メニューは、異なる2種類のルーを選べる2種盛り。華やかな見た目とは裏腹に、実はガツンとスパイスが効いたキーマや、全種類ご飯の大盛り・おかわり無料という“ガッツリ系”カレーだ。自然とご飯が進むので、思わず“追い飯”してしまうだろう。

粗挽き肉がたっぷりで食べ応え抜群のキーマと、豆と野菜の優しい甘みを感じるポタージュカレーが絶妙なバランス。
粗挽き肉がたっぷりで食べ応え抜群のキーマと、豆と野菜の優しい甘みを感じるポタージュカレーが絶妙なバランス。
トッピングのスパイシーたまご150円は、半熟の黄身とスパイシーなタレがたまらない。
トッピングのスパイシーたまご150円は、半熟の黄身とスパイシーなタレがたまらない。
カメラ屋を改装したレトロな外観も印象的。
カメラ屋を改装したレトロな外観も印象的。

『カレーの惑星』詳細

住所:東京都世田谷区北沢3-34-3 石川荘1F/営業時間:11:30~15:45LO・18:00~19:45LO(土日祝は通し営業)/定休日:無/アクセス:小田急電鉄小田原線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩5分

フレンチがベースのこっくりとした本格欧風カレー『YOUNG』

人気のチキンカレー1300円。すべてのカレーに手作りの福神漬けとおからが添えられる。
人気のチキンカレー1300円。すべてのカレーに手作りの福神漬けとおからが添えられる。

下北沢駅と世田谷代田駅の中間に位置する、閑静な住宅街にひっそりとたたずむ。創業して以来、店主が一貫して追求し続ける欧風カレーは、自家製フォン・ド・ボーをベースに作られた本格派。数日間寝かせた数十種類のスパイスと、飴色になるまで6~7時間炒めたタマネギを合わせ、2~3日という時間をかけてようやくルーが完成する手間暇を惜しまない一皿だ。まるでフランス料理のソースのようにこっくりとした味わいは、外食ならではの贅沢感を味わえる。

フルーティーな香りのあとに、スパイスの粒感、深みのあるビターなコクを感じられる。
フルーティーな香りのあとに、スパイスの粒感、深みのあるビターなコクを感じられる。
下北沢の人気ベーカリー『KAISO(カイソ)』が手掛ける洋菓子ブランド『scent(セント)』のプリン550円は不動の人気デザート。
下北沢の人気ベーカリー『KAISO(カイソ)』が手掛ける洋菓子ブランド『scent(セント)』のプリン550円は不動の人気デザート。
店内は音楽やアートなどさまざまなカルチャーから影響を受けた、オリジナリティ溢れる空間。
店内は音楽やアートなどさまざまなカルチャーから影響を受けた、オリジナリティ溢れる空間。

『YOUNG』詳細

住所:東京都世田谷区代田5-1-16 1F/営業時間:12:00〜15:00LO/定休日:月/アクセス:小田急電鉄小田原線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩5分

700尾以上のエビを使用!濃厚なエビスープカレー『ポ二ピリカ』

定番のチキンと野菜のカレー1520円(エビスープは+110円)。
定番のチキンと野菜のカレー1520円(エビスープは+110円)。

北海道出身のオーナーによる“スープカレー愛”から誕生したスープカレー店。スープは和風、トマト、エビの3種類のスープから選択できる。ベースとなるスープは、ラーメンスープから着想を得て開発されたスープは、丁寧に下処理された豚の背ガラ、ゲンコツ、鳥の胴ガラ、モミジ、牛骨などを香味野菜と一緒に12時間以上煮出し、15種類のスパイスをブレンド。化学調味料不使用で体にも優しい。

1番人気のチキンと野菜のカレーは、パリッと揚げられたチキンレッグ、季節野菜がたっぷり。
1番人気のチキンと野菜のカレーは、パリッと揚げられたチキンレッグ、季節野菜がたっぷり。
国産しょうがや島とうがらし、スパイスで作られたジンジャーシロップをソーダに足しながら飲む、スパイシージンジャーエール600円もカレーのお供におすすめ。
国産しょうがや島とうがらし、スパイスで作られたジンジャーシロップをソーダに足しながら飲む、スパイシージンジャーエール600円もカレーのお供におすすめ。
店内は天井が高く開放的で、木の温もりを感じられる。
店内は天井が高く開放的で、木の温もりを感じられる。

『ポ二ピリカ』詳細

住所:東京都世田谷区北沢2丁目8-8 2F/営業時間:11:30~15:30LO・17:00~21:00LO(土・日・祝は11:30~21:00LO)/定休日:無/アクセス:小田急電鉄小田原線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩3分

あっさり&コクのあるスパイスカレーでスパイスをチャージ!『般゜若(パンニャ)』

チキンとキーマのカレー1380円にトッピングの卵のピクルス150円を追加。
チキンとキーマのカレー1380円にトッピングの卵のピクルス150円を追加。

カレーマニアとして知られる俳優の松尾貴史さんが2009年にオープン。チキンとキーマのあいがけカレーは、鶏ガラの旨みと玉ねぎの甘みが生み出すまろやかさの中に、バターのコクとスパイスが香る。スープからゴロゴロとはみ出す大きな鶏もも肉は口の中でほろっと崩れる。満足感は高いが軽やかに食べられるところが、長年愛される理由だ。

マトンのキーマカレーは、脂身の少ないもも肉を使っているためクセがない。
マトンのキーマカレーは、脂身の少ないもも肉を使っているためクセがない。
食後には優しい甘さの自家製ミニチャイ280円を。
食後には優しい甘さの自家製ミニチャイ280円を。
エスニックと和が混在した店内は居心地がいい。
エスニックと和が混在した店内は居心地がいい。

『般゜若(パンニャ)』詳細

住所:東京都世田谷区北沢2丁目33-6 スズキビル1F/営業時間:11:30〜15:30LO・17:30〜19:30LO/定休日:水/アクセス:小田急電鉄小田原線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩3分

下北沢を代表する老舗カレー店『茄子おやじ』

チキン、ビーフ、野菜、ゆで卵がのったスペシャルカレー1300円。
チキン、ビーフ、野菜、ゆで卵がのったスペシャルカレー1300円。

1990年創業の、下北沢で最も古いカレー店。25年守り続けた先代から店を受け継いだ2代目店主が、先代の味わいと自分の色をミックスしたカレーを提供。毎日8~10時間炒めた寸胴1杯分の玉ねぎと、13~15種類のスパイスをベースに作られている。季節ごとにスパイスの調合を変えるため、味わいの変化も面白い。店内では、ヴィンテージのレコードプレーヤーから流れる音楽で耳を楽しませてくれる。

玉ねぎとスパイスの深いコク、それぞれの具材の旨みを感じられる。
玉ねぎとスパイスの深いコク、それぞれの具材の旨みを感じられる。
人気デザートのはちみつがけヨーグルトはカレーとセットで+200円。甘酸っぱいヨーグルトと濃厚なはちみつの相性は抜群。
人気デザートのはちみつがけヨーグルトはカレーとセットで+200円。甘酸っぱいヨーグルトと濃厚なはちみつの相性は抜群。
店内のレコードプレーヤーからは、幅広いジャンルの音楽が流れる。
店内のレコードプレーヤーからは、幅広いジャンルの音楽が流れる。

『茄子おやじ』詳細

住所:東京都世田谷区代沢5-36-8 アルファビル 1F/営業時間:12:00〜21:30LO/定休日:不定/アクセス:小田急電鉄小田原線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩4分

玉ねぎの甘みが優しいスープカレーと、〆のスイーツ『202カリー堂』

骨付きチキンと7種の野菜カリー(濃厚トマトスープ)1230円。スープはこくまろココナッツスープも選択可。
骨付きチキンと7種の野菜カリー(濃厚トマトスープ)1230円。スープはこくまろココナッツスープも選択可。

下北沢駅のほど近くに、2021年12月にオープンしたスープカレー屋。北海道出身の店主による手づくりスープカレーと芸術性の高い本格スイーツを味わえる。スープカレーは、飴色になるまで煮詰めた玉ねぎの深い甘みが野菜の旨みをぐっと引き立てる。さらに独自に調合されたスパイス、隠し味のマンゴーチャツネによって甘みの中にスパイシーさを感じるバランスのよい味わいに。スープカレーを味わったあとは、本格派のスイーツメニューも堪能してみよう。

スパイスと一緒に圧力鍋でじっくりと煮込まれたチキンは、驚くほどホロホロ。
スパイスと一緒に圧力鍋でじっくりと煮込まれたチキンは、驚くほどホロホロ。
日本最高位の茶師の資格を持つ店主が営む『しもきた茶苑大山』の抹茶を使用した、濃厚抹茶テリーヌ450円。
日本最高位の茶師の資格を持つ店主が営む『しもきた茶苑大山』の抹茶を使用した、濃厚抹茶テリーヌ450円。
心地よいBGMが流れる洗練された空間は、カフェのように居心地が良い。
心地よいBGMが流れる洗練された空間は、カフェのように居心地が良い。

『202カリー堂』詳細

フォトジェニックでディープな世界観『バッキンガム宮殿』

宮殿カリー(ランチタイムはドリンク付き1000円)。芸術性の高い見た目はSNS映え必至。
宮殿カリー(ランチタイムはドリンク付き1000円)。芸術性の高い見た目はSNS映え必至。

下北沢駅から茶沢通り沿いを3分ほど歩いた場所にある鈴なり横丁にたたずむカレーショップ兼バー。昼はカレー、夜はバーに様変わりする。宮殿をイメージしたフォトジェニックな空間で、名物の宮殿カリーが味わえる。約5種類のスパイスを使ったバターチキンカレーをベースに、シナモンが効いた爽やかな味わいの宮殿カリーは、幅広い人が食べられる優しい辛さもうれしい。

やわらかいチキンがまろやかなルーと絡み合い、トマトや福神漬けなどの具材が交互にアクセントとなる。
やわらかいチキンがまろやかなルーと絡み合い、トマトや福神漬けなどの具材が交互にアクセントとなる。
トッピングは、クランベリージュースで漬け込まれた桃色玉子のピクルス200円がおすすめ。
トッピングは、クランベリージュースで漬け込まれた桃色玉子のピクルス200円がおすすめ。
バーカウンターのみ用意された店内は、装飾が華やか。
バーカウンターのみ用意された店内は、装飾が華やか。

『バッキンガム宮殿』詳細

住所:東京都世田谷区北沢1-45-15 鈴なり横丁/営業時間:12:00~16:00・17:00~19:30LO(土・日・祝は12:00~19:30LO)、BARタイム 20:00〜翌3:00/定休日:無/アクセス:小田急電鉄小田原線・京王電鉄井の頭線下北沢駅から徒歩3分

実は激戦区! カレーの街・下北沢を探検する

ここ10数年で専門店が急増し、フェスまで開かれるようになった下北沢。「カレーの街」としての歴史は浅いが、数々の新規オープン、淘汰を経て、下北沢らしさが確立されるのはまさに今!

今のようなカレー激戦区になるもっと前から、下北沢には人々に愛される名店があった。1990年創業の欧風カレー『茄子おやじ』に「通い始めてもう20年以上になります」とは、下北沢を拠点に活動するミュージシャンで、2020年4月に『カレーの店・八月』もオープンした曽我部恵一さん。また、2003年に札幌からスープカレーの『マジックスパイス』が出店すると、続いて専門店が複数進出し、“リトル札幌”状態に。そう、店の数は今ほど多くなかった当時から「せっかく下北沢に来たのだからカレーを食べよう」という流れは確かにあった。

下北沢が「カレーの街」として広く知られるようになったのは、ここ10年ほど。きっかけは、2011年11月3日に開かれた「下北沢カレー王座決定戦」だろう。それが前身となり、翌年から「下北沢カレーフェスティバル」がスタート。毎年10月のイベント時には、カフェや居酒屋などでもフェス限定カレーを出すなど、ずいぶん盛況だ。

徒歩圏内に独自路線の多様なカレーが混在

カレーの街・下北沢としての特長は、さまざまなジャンルを食べられること。前述のスープカレーや、また『Anjali Curry Spice Foods』のようにインドをベースにしながら完コピはせず、独自路線を確立した店が点在。さらに17年には、大阪が本店の『旧ヤム邸 シモキタ荘』がスパイスカレーブームを持ち込んだ。カレーが人気メニューになったカフェも増え、専門店以外で好みの味が見つかることも多い。

一方で、2020年オープンした新顔が話題。『Curry Spice Gelateria KALPASI』は、カレーはもちろん、スパイスを駆使したジェラートを目当てに訪れる人も多い。『カレーの店・八月』は、派手さはないが食べると納得。「音楽と一緒で、作る人によってまったく違う。そういうところも含めてカレーの魅力」と曽我部さんが語る通り、カレーは本当に懐が広い。それを実感できる街が下北沢なのだ。

取材・文=信藤舞子・稲垣恵美 撮影=本野克佳、稲垣恵美、久保田隆元、渡邉 彰太