トーキョーアジアめし

近年右肩上がりで増え続ける在留外国人。しかし彼らの暮らしは意外と知る機会がない。 移住者コミュニティーに愛されている場所、現地さながらの日常の味。それは一体どんなものだろう。アジアのローカルフードから、今、この東京に生きる人々を見つめてみよう。

最新記事

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「このハチの巣が麺?」山西省の豊かなコナモノ文化を味わえる新大久保『山西亭』
「これが麺!?」僕は思わず声を上げた。それはせいろで蒸された、まるでハチの巣。円筒状に丸めた生地を、せいろの中に立てて並べてあるのだ。そのひとつを箸で取り出して、卵とトマトのスープにつけて食べてみる。ほのかに素朴な甘み。もちもちとした食感で歯ごたえもあり、見た目よりもだいぶおなかにたまりそうだ。

この連載の記事一覧

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まるでカトマンズの下町!?新大久保のネパール料理レストラン『ソルティカージャガル』
【ネパール(नेपाल)】インドと中国に囲まれ、ヒマラヤ山脈が東西を貫く自然豊かな国。近年は日本に住むネパール人が約9万6000人と急増中。カレー屋経営とその家族、留学生が多い。都内では新大久保のほか蒲田、小岩などに大きなコミュニティが根づいている。
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高田馬場「リトル・ヤンゴン」の苦難も支える、おふくろ食堂『ヌエウー(春)』でミャンマー料理
【ミャンマー】「リトル・ヤンゴン」形成のきっかけは1988年の民主化運動弾圧。一部の人々が日本に逃れ、世話好きのミャンマー人夫妻がいた西武新宿線の中井駅そばで暮らしはじめる。やがて中井から近く交通が便利な高田馬場にコミュニティが移っていった。いまは留学生も多い。
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「米と魚の国」バングラデシュの人々が暮らす、東十条の下町商店街『アルシ レストラン』のカレー
【バングラデシュ(বাংলাদেশ)】インドとミャンマーに挟まれた国で、日本の半分ほどの面積に1億6000万人が暮らす。在日バングラデシュ人は約1万7000人で、東京都内に4595人、うち東十条のある北区に1002人が集住。バブル期に労働者として来た人やIT技術者、留学生が多い。
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ピーナツ畑とスパイスがミックスする街、八街のスリランカレストラン『カレーリーブス』
【スリランカ】インドのすぐ南に浮かぶ小さな島国で、国民の7割が仏教徒。特産は紅茶やスパイス、宝石など。あのウィッキーさんの故郷。在日スリランカ人はおよそ2万9300人。うち5400人が千葉県在住で、次いで神奈川県4100人、茨城県3100人と関東に集中。
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足立区竹ノ塚「リトル・マニラ」のメニューおまかせ食堂『ニューハングリー』
【フィリピン Philippines】西太平洋に浮かぶ群島国家。人口の1割、およそ1000万人が海外で働く「世界最大の労働力輸出国」でもある。日本には愛知や東京、神奈川を中心におよそ27万8000人が暮らす。日本人の配偶者が多い。近年では介護職に従事する人も増えている。
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山手線北辺に点在する遊牧民たちのオアシス『イフ モンゴル』
【モンゴル】東アジアの内陸国。日本にはおよそ1万3000人が、東京や千葉、埼玉、神奈川、大阪などに住んでいる。留学生や会社員、その家族が中心となっているほか、中古車の輸出業者も多い。角界では圧倒的な存在感を示しており、5人の横綱を輩出している。
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あの巨大IT企業によって新しいコミュニティーが? 『麺線屋 Formosa』
【臺灣(タイワン)】沖縄の南西部に浮かぶ島々からなる。ポルトガル語で「美しい」という意味「Formosa(フォルモサ)」の名も持つ。日本にはおよそ5万人の台湾人が暮らすが、うち1/3は東京在住。永住者、社会人や経営者、留学生、日本人の配偶者が多い。
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新宿区~中野区にかけて住む、シルクロードの民の社交場『ヴァタニム』
【ウズベキスタン】中央アジアの内陸国。古代から東西貿易の拠点として栄えた。日本にはおよそ3600人が暮らすが、うち6割ほどは都内をはじめとする首都圏在住で、留学生が中心。愛知県や大分県などの大学で学んだのちに、就職や起業を機に東京に来る人も多い。
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難民が定着した街に若い技能実習生が混じり合うカンボジア料理屋『バイ・クメール』
【カンボジア王国】インドシナ半島南部の国で、世界遺産アンコールワットで知られる。日本にはおよそ1万6000人が在住。このうち1万人ほどが技能実習生で、神奈川、茨城、愛知などに多い。日本に来た第一世代は80年代に戦乱を逃れてきた難民。
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御徒町の『王さん私家菜』に、日本には数少ない山里の民が酸っぱ辛さを求めてやってくる
【中華人民共和国 貴州省(グイジョウシェン)】中国南部の内陸山間部に広がる。人口約3800万人のうち漢族は62%で、ミャオ族(12%)をはじめとする少数民族も多い。日本に住む貴州出身者はきわめて少なく、おもに都内で留学生や会社員として暮らす。その多くは漢族といわれている。
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野田の『メヘマーン・サラエ』で本場すぎるパキスタン料理を楽しむ
【パキスタン・イスラム共和国】南アジアに位置するイスラム教の国。日本にはおよそ1万9000人が住むが、その多くが中古車や中古の重機、製造機械などの輸出業。中古車や中古機器オークション会場のある千葉県や埼玉県、栃木県、茨城県といった北関東に集住している。
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神田の『アルミーナ』が守ってきた故郷パレスチナの味
【パレスチナ】地中海東岸に位置する国だがその面積はユダヤ人入植者によってどんどん減っている。日本は国家として承認しておらず、国連には加盟できていない。日本に暮らすパレスチナ人はヨルダン国籍、イスラエル国籍などおよそ70人で、留学生が多い。
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【閉店】日本で唯一⁉の客家系マレーシア料理が味わえる『マサマサ』(市ケ谷)
【マレーシア】マレー半島南部とボルネオ島北部に広がる多民族国家。日本にはおよそ1万人が在住。東京、神奈川、大阪、愛知などに分散しているが、とくに集住している街はない。1/3ほどが永住者で、会社員や留学生、日本人の配偶者も多い。
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日本最大のモスクがきっかけで生まれた日本人との交流の場『シルクロード・タリム』(初台)
【新疆ウイグル自治区】中国の北西部に広がっており、テュルク系遊牧民族であるウイグル族が人口の45%を占める。日本にはおよそ2000人が暮らすとされ、留学生や会社員が多い。首都圏各地に分散して居住しており、特定の集住地はない。
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IT技術者の家族が憩う、濃厚スイーツパラダイス『トウキョウミタイワラ』(西葛西)
【インド】人口およそ14億を誇る南アジアの大国。近年はIT技術を軸に経済発展が著しい。日本には約3万7000人が暮らすが、そのうち1万4000人が東京、うち5200人が江戸川区在住。IT技術者や留学生、経営者、その家族が多い。宝石商も東京・上野や甲府などに集住している。
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インドシナ難民が定住した、神奈川県の西の果てにあるラオス料理店『Dee』(小田原)
【ラオス人民民主共和国】インドシナ半島の内陸国。日本の本州ほどの大きさで、山がちな国土に710万人が暮らす。日本にはおよそ2800人のラオス人がいるが、その半数が永住者。近年は技能実習生や留学生も増えている。神奈川県に1000人以上が住む。
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ビジネス街でささやかなチベット文化圏を体感できる『LASOLA』(市ケ谷)
【ブータン王国】ヒマラヤ東部にある、九州とほぼ同じ大きさの山岳国。日本には465人が首都圏、大阪、福岡などに住む。英語教育が盛んなので語学堪能なことから、日本ではIT関連や外資系で働く人や、留学生、それに日本人の配偶者などが中心となっている。
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「羊肉の街」と化している上野で内モンゴル料理を味わえる『一笹焼売』(上野)
【内モンゴル自治区】中国北部、モンゴル国との国境を占める広大な自治区。日本のおよそ3倍の面積のほとんどが高原となっている。日本に暮らす内モンゴル自治区出身者は少ないが、留学生や、留学からステップアップして就職を目指す人が多い。
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国を追われたクルディスタンが肩を寄せ合う『KOR’S CAFE KEBAB』(川口)
【クルディスタン】トルコ東部、イラク北部、イラン西部、シリア北部とアルメニアに広がる山岳地帯で、主にクルド民族が住む。日本に暮らすクルド民族はおよそ2000人で、川口市や蕨市に集住する。主に解体、建設、飲食などの現場で働くが、在留資格を得られず生活に困窮している人々もまた多い。
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江戸川区にあるピュア・ベジレストラン『ゴヴィンダス』(船堀)
【インド共和国】人口14億2860万人を誇る南アジアの大国。2023年に中国を抜いて人口世界一になったことが話題に。日本にはIT技術者や留学生、経営者など約4万人が暮らすが、うち約6000人が江戸川区在住。国内のヒンドゥー教寺院は船堀のほか、新大久保、茨城県下妻などに点在。
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湯島の歓楽街でタイのリズムを響かせる『MUMPAK BAR』
金曜の夜11時過ぎ。店内はもう客でいっぱいだった。みんな若い。そしておしゃれだ。タイ語の優しく和やかなざわめきが心地よい。ここはいまどきのタイ人が集まってくる店なのである。
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秋津で本格エジプト料理を楽しめる『スフィンクス』
「エジプト人がいちばん大事にするのは“香り”なんです」店主のムハンマド・ガマルさんは力説する。例えばエジプトのソウルフードともいえるコシャリだ。これはレンズ豆とひよこ豆、マカロニ、シャーレイヤという細いパスタ、それにフライドオニオンとライスをトマトソースで混ぜて食べるのだが、コリアンダーやクミン、カルダモンといったスパイスが効かせてあって、なんともさわやかに香る。
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世界一おいしい料理に選ばれたルンダンが人気。八王子のインドネシア料理店『クタ・バリ・カフェ』は、異国の言葉のざわめきが心地よい憩いの場
週末の昼下がり、『クタ・バリ・カフェ』はインドネシア人の若者たちでにぎわう。異国の言葉のざわめきが心地よい。どの顔も楽しそうだ。
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江古田のイスラエル料理店『シャマイム』は、日本でもとりわけ古い、ユダヤ人たちの憩いの場
西武池袋線の池袋駅から各駅停車で3つ目。江古田駅は小さいながらも、若い人たちでにぎわい、なかなかに活気がある。すぐそばに日本大学や武蔵大学、武蔵野音楽大学などのキャンパスが広がる「学生の街」でもあるらしい。
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ミャンマーの少数民族ラカイン料理を堪能できる鶯谷『SEA GARDEN』。遠い異国で守られる独特の海の香りと味。
「スタッフはみんなラカイン出身なんですよ。じゃないと本当の味が出せない」店を切り盛りするタンミンアウンさんは言う。ラカインとはミャンマー西部に広がるラカイン州のことだ。少数民族であるラカイン族が住む地域で、料理もミャンマー総人口の7割を占めるビルマ族のものとはだいぶ違う。その理由のひとつは地形だろう。ラカイン州はベンガル湾に面して南北に広がっていて、長大な海岸線を誇る。だからシーフードがとにかく豊富だ。
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なぜ日本にベトナム人が多いのか? 技能実習生だけじゃないその理由を小岩『デェ・ニァット・クアン』で舌鼓を打ちながら聞いてきた
東京都が毎月発表している統計をひも解いてみると、都内にはいま63万人近くの外国人が住んでいるそうな。1位は中国で25万1322人、2位は韓国の8万7693人、そして3位がベトナムの4万1114人だ。中国や韓国とは地理的にも歴史的にも日本と密接に関わってきた歴史があり、戦前戦後からたくさんの人がさまざまな理由で東京に住むようになったが、ベトナムはいわば「新興勢力」だ。彼らが4位フィリピン、5位ネパール、6位アメリカあたりを押しのけてトップ3入りしたのはナゼか。
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マレーシアのレジェンドから留学生たちにまで人気のナシレマッとは? 渋谷『マレー・アジアン・キュイジーヌ』で聞いてみた
2023年11月、新宿中央公園でマレーシアフェアが行われた。飲食ブースのほか伝統工芸の製作体験、伝統舞踊のショーなどを楽しむ在住マレーシア人、日本人でにぎわったが、そんな皆さんイチ推しのレストランが『マレー・アジアン・キュイジーヌ』なんである。「日本に住んでいるマレーシア人のコミュニティーになっている店ってどこですか?」と聞き回ってみたのだが、誰もがこちらの店を教えてくれるのだ。
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「このハチの巣が麺?」山西省の豊かなコナモノ文化を味わえる新大久保『山西亭』
「これが麺!?」僕は思わず声を上げた。それはせいろで蒸された、まるでハチの巣。円筒状に丸めた生地を、せいろの中に立てて並べてあるのだ。そのひとつを箸で取り出して、卵とトマトのスープにつけて食べてみる。ほのかに素朴な甘み。もちもちとした食感で歯ごたえもあり、見た目よりもだいぶおなかにたまりそうだ。
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