10時間煮込んだ豚骨スープがとろり『豚骨味噌ラーメン じゃぐら高円寺』
『豚骨味噌ラーメン じゃぐら高円寺』は高円寺駅から南に徒歩8分ほど。高円寺に数あるラーメン店の中でも指折りの人気店と言っていいだろう。
スープは豚のゲンコツ、カシラ、そして鶏のモミジを、骨を叩き割るようにしながら、ほぼつきっきりで10時間煮込む。だから濃度が高く、どろっとした食感のスープが出来上がる。コラーゲンもたっぷり溶け出している。
麺はスープが絡みやすいように特注している中太麺。国産小麦を使っていて、香りもよくもちもちした食感だ。チャーシューは、豚バラを煮込んで、醤油ダレに漬け込んだもの。提供前に片面だけ炙って香ばしく仕上げている。「スープの味が濃い分、チャーシューはあっさりしています。スープにディップして食べていただく感じです」と店主の千代田英司さんは話す。
『豚骨味噌ラーメン じゃぐら高円寺』店舗詳細
深夜ににぎわう新潟・燕三条のご当地ラーメン店『背脂中華そばと餃子 福鳳』
背油中華そばは、新潟・燕三条地域のご当地ラーメン。煮干しが効いたあっさりめのスープに背脂が浮いていて、麺がもっちりと太く、食べ応えがあることが特徴だ。そのご当地の味を出しているのが、高円寺駅の北口から徒歩で約4分のところにある『背脂中華そばと餃子 福鳳(ふくほう)』だ。
燕三条の背油中華そばは、地場産業である金属加工業で働く人たちのために、冷めない、伸びないラーメンを出前で届けたいと生まれた。力仕事が多い工場の人たちのため、醤油味の濃さも特徴だ。
『背脂中華そばと餃子 福鳳』は2022年12月にオープン。味とボリュームもさることながら、1日でいちばん混雑する時間帯は夜の23時から24時と、夜遅くまで開いていることでも高円寺の人たちに愛されている。
『背脂中華そばと餃子 福鳳』店舗詳細
商店街のくさくないとんこつラーメン『とんこつ拉麺 漣』
『とんこつ拉麺 漣』があるのは高円寺パル商店街の、ほぼ中央。インパクトのある店構えの店では、長年ラーメン店で働いてきた店主が「いちばんおいしい作り方のスープ」でとんこつラーメンを作っている。
豚足を2~3時間ほど圧力寸胴と呼ばれる圧力鍋タイプの寸胴鍋にかけてつくるスープは、くさみがないのが特徴。さらに別の寸胴鍋に移して、2~3時間ほど煮込む。寸胴鍋の中で油分と水分が乳化し、とろっとした舌触りのスープに仕上がる。
麺はとんこつラーメンらしく極細麺ストレート麺。ただし丸い麺を採用するお店が多い中、『とんこつ拉麺 漣』では、歯応えを感じるようにとエッジのある四角い麺を採用している。卓上調味料は8種類。高菜と紅生姜、すりゴマなど定番に加えて、生にんにくが丸ごと置かれているのも特徴だ。
『とんこつ拉麺 漣』店舗詳細
全国のラーメンを食べ歩いたマニアの店『麺屋 賢太郎』
店主の森江賢太郎さんは「幼き頃よりらーめんマニアだった当方は二十有余年にわたり、邪念を排すべく、1人で幾度も全国を食べ廻った」と店内に達筆な字で書き記すラーメンマニア。ラーメン店での修業経験はない代わり、各地でラーメンを食べ歩いては、1人研究を重ね、納得のいくラーメンを作り上げた。
「豚骨と鶏ガラ、それから煮干し。スープは3種類全部別々に炊いて、最後に合わせているんですよ」と森江さん。3つのスープ全てを合わせて作るから三刀流という、三刀流かさね味わい麺がいちばん人気だ。
麺は後半もおいしく食べられるようにと中太の縮れ麺を採用。その日の湿度を考慮しながら、少し硬めに茹で上げる。丼にはサバやウルメの魚粉を多めに入れ、そこに熱々のスープを加える。魚粉が醸し出す香りのよさと存在感を味わえる一杯に仕上げるためだ。
『麺屋 賢太郎』店舗詳細
“くさうまスープ”の虜になる『ラーメン 健太』
豚骨というとこってり濃厚なイメージもあるが、『ラーメン健太』のスープはさらりとしている。泡が浮いているが白濁しているわけでもない。寸胴鍋の中でゲンコツを炊き、火を入れては冷まし、熟成させるうちに泡が出て、その状態は営業中にも変化する。店主の健太さん曰く「豚骨ががんばっている」と泡がたくさん出てスープの状態がいい。ただし100%コントロールできるものでもないそうだ。
店内には「作業中でも遠慮なく、声をかけてください」という張り紙。細麺で食べやすい『ラーメン 健太』では8割近い客が替え玉を頼むが、1人で店を回す店主に声をかけづらい人も多いよう。
「スープの温度も下がるけん、替え玉は早く出してあげたい。だって、俺はラーメン食う時はそうやもんね」。最初から最後の一杯まで同じ気持ちと丁寧さで作っていると大真面目な顔で話す。
『ラーメン 健太』店舗詳細
太麺のなめらかさをつけ麺で味わう人気店『麺屋はやしまる』
『麺屋はやしまる』といえば、高円寺のラーメン好きが行列する人気店として知られる。ラーメンの系譜的に言えば、目黒の『支那ソバ かづ屋』や浜田山の『たんたん亭』の流れを汲む。そのことからワンタン麺を目当てに訪れる人も多い。しかし、「意外とラーメンとつけ麺のスープを同じだと思っている人も多いから、ぜひつけ麺を食べてみてほしいんです」。美大卒という経歴を持つ店主の林信(はやしまこと)さんはつけ麺推しだ。
ミックスわんたんつけめん塩1300円は自慢のワンタンが肉と海老、両方楽しめる一杯だ。茹で上げて手早く水で締め、平皿に守られた麺はツヤツヤ。太麺ながら、ツルツルでモチモチの食感に箸が止まらない。
皮は薄さとなめらかさ、強くて破れないという、相反する特徴を持たせているワンタン。トゥルっとした舌触りに満足感がある。具は食感を残した甘い海老。そしてもう一方は、豚肉のむちっとした食感と旨味が存分に感じられる。
『麺屋はやしまる』店舗詳細
深夜に働く人たちにも野菜を。体も気遣う『らーめん一蔵』
『らーめん一蔵』のオープンは2001年。「オープン当初は中太と言っていましたが、最近太麺が流行ってきたので、今では中細と言われるようになりました」という、店主の冗談とも本気ともつかないコメントが、20年以上という時間を感じさせる。
『らーめん一蔵』では、ごま油で炒めたもやしが入るメニューが多いが、名前に野菜とつくラーメンには、キャベツやピーマン、ニンジン、玉ねぎ、そして豚ひき肉が加わって、まさに野菜たっぷりだ。豚バラ肉で作るチャーシューは3時間煮たあと、一晩寝かせて、翌日別のタレで表面をしっかり焼き上げるというなかなか手の込んだもの。分厚めに切られていて食べ応えのある1枚だ。
味噌野菜ラーメンは1170円。味噌は3種類を合わせて、さらに擦りゴマを加えている。まろやかなスープは一味唐辛子がアクセントで、塩分がそれほど高くないのも好感触。
『らーめん一蔵』店舗詳細
チャーシューたっぷりでやさしい味が魅力『喜多方ラーメン坂内 高円寺北口店』
「週に2、3回食べに来る女性のお客さんもいますよ。そんなに好きでいてくれるのかとうれしくなります」と『喜多方ラーメン坂内(きたかたラーメンばんない)高円寺北口店』店長の石丸国宏(いしまるくにひろ)さんは話す。
『喜多方ラーメン坂内』が出しているのは、あっさりした醤油味のラーメン。いちばんシンプルなメニュー、喜多方ラーメンは890円と割安にもかかわらずチャーシューが5枚ものっている。
フランチャイズ展開している『喜多方ラーメン坂内』は2026年3月半ば時点で全国15の都県に75店を展開している。フランチャイズというと、本部から食材が送られてきて、調理は最後の部分を行うだけなのかと思えば、そうではなく、スープもチャーシューも、お店で手間暇かけて作っている。
『喜多方ラーメン坂内 高円寺北口店』店舗詳細
秘伝の味噌ダレがポイント『味噌ラーメン専門店 味噌一 高円寺店』
『味噌ラーメン専門店 味噌一 高円寺店』は1993年にオープンし、2023年には30周年を迎えた。年中無休で明け方5時まで営業しているので、深夜に働く人にも人気だ。
圧倒的な人気メニューは、シンプルな味噌一らーめん1000円。オリジナルの味噌ダレがポイントで、レシピは社内でも一部の人だけが知っている。シャキシャキした食感のもやしや豆苗、コーンが彩りよく盛り付けられて、ぱつんと歯切れのいい太麺も食べ応えがあっていい。
『味噌ラーメン専門店 味噌一 高円寺店』では、入り口付近に味付け玉子、火吹きメンマ、火吹きもやしが置かれている。セルフサービスでカンパとして小銭を缶に入れると食べられるメニューだ。集まったお金は交通遺児育英会や埼玉のNPO、松ぼっくりの会に寄付されている。
『味噌ラーメン専門店 味噌一 高円寺店』店舗詳細
シンプルなメニューでも満足感あり『麺処 田ぶし 高円寺本店』
2003年に高円寺に1号店をオープンした『麺処 田ぶし』。今やインドネシアのジャカルタにまで店は広がり、焼き鳥店やビストロ居酒屋などを含む飲食店企業に成長した。
本家 田ぶし らーめんは、チャーシューに玉子、メンマとネギ、海苔とラーメンらしい具材がのって、ラーメンを食べるぞという気持ちが盛り上がる。具材以上に、魚介の旨味と香りで香ばしく仕上がった自慢の香味油と店舗ごとに作るもっちりした麺が決め手。もちろんスープも自慢で、2日かけて完成させている。
さらに腹ペコで訪れた人にうれしいのが大盛り無料というサービスだ。対象はつけ麺も含む全てのラーメンのメニューだ。「7、8割の人が大盛りを頼みますね」というから、若い人が多い高円寺らしい。
『麺処 田ぶし 高円寺本店』店舗詳細
飲んで食べて締めにラーメンを『二階麺肴酒店 黒黒黒』
“黒黒黒”と書いて“ミクロ”と読ませる『二階麺肴酒店 黒黒黒(にかいめんさかなさけてん ミクロ)』は、「お酒を飲みながら中華料理や懐かしさのある一品料理をつまみ、ラーメンで締める」スタイルの店だ。
豚足は、紹興酒とブランデー、数種類のスパイスを使ったタレを注ぎ足しながら、長時間煮込んで仕上げている。マーラーよだれどりは、鶏胸肉が程よく柔らかい。そして意外な組み合わせのザーサイセロリがさっぱりと箸休めにちょうどいい。
忘れてならない締めのラーメンの代表格、煮干し中華そばは、煮干しと昆布を煮出したスープに、配合にこだわった4種類の醤油をブレンドしたカエシを加えている。スープのストレートな醤油味と、煮干し由来の苦味のコンビネーションは「お酒のあとにいいんですよ」とスタッフさん。
『二階麺肴酒店 黒黒黒』店舗詳細
取材・文・撮影=野崎さおり






