群馬県安中市~2020年の「遠足」はアスリート気分で!
安政初、もとい日本初のマラソンといわれるのは、安政2年(1855)に安中藩で行われた「安政遠足(あんせいとおあし)」だ。それにちなんで、安中では毎年5月にマラソン大会が行われている。2019年2月に封切られた映画『サムライマラソン』の元ネタとあって、いつも以上に盛り上がっているようだ。「安政遠足」を考えたのは、幕末の安中藩主で「学者大名」の異名を持つ板倉勝明(かつあきら)。安中の文化に大きな影響を残した殿様で、かの新島襄をはじめ、明治って活躍した安中ゆかりの文化人は勝明の教えをしっかりと受け継いでいる。幕末まで6代にわたって安中を治めた板倉家には、勝明のように学識が高い人物が多かった。「安中教員・館林巡査」という言葉があるように、群馬県内でもとくに教育熱心な“文教のまち”の風土が育まれたのは、板倉家の功績が大きい。和宮(かずのみや)が辿った中山道を西へ。侍コスプレのランナーに誘われ、里山の風景を残す自然と文化の豊かな安中の街を、令和の世に訪ねよう。