三重県ってなに地方なんだっけ

三重県は近畿地方だ。兵庫県出身の私が小学校で習ったのだから、間違いはない。……はずだが、東海とか関西とか色んな分類にされて、あれお仲間ではなかったのか?と疑問に思う。実はどれも正解なのだが、自信をもって答えらるほど、三重県のことを知らない。

伊勢うどんが美味しいでしょ。海が近くて海産物が美味しい。あと中尾ミエのCM?(関西で昔流れていたCM)私の中の三重県は体験ではなく、ほぼイメージで作られているのだ。

そうときたら旅に出るほかない。

予算1000円!旅とは

我が家の電子レンジが壊れたことにはじまる。旅行に行けるその日まで残そうと決めていたお金が最新家電になってしまった。そのショックと出かけられないストレスが沼の化身になって現れて、私を飲み込む。節約と旅を両立できる場所を求めて、行き着いた先がアンテナショップだった。

ここでアンテナショップを巡る1000円旅、略して「せんたび」のルールを説明したい。

・予算1000円
・予算内ならなにを買ってもOK
・オーバーしたら、自腹

1000円ポッキリでご当地を堪能する品を買う。これだけだ。

日本橋にあるアンテナショップ「三重テラス」

さっそく日本橋にある三重県のアンテナショップ「三重テラス」へお邪魔し、三重テラスの広報担当、中嶋さんと落ちあう。

中嶋さん:三重県といえば、みなさん、松阪牛、伊勢うどん、伊勢神宮あたりのイメージが強いですね。三重テラスでは、地元でしか食べられていない食品や、知っていただきたい工芸品など約1300アイテムを揃えています。

中嶋さん:今日は金曜日。曜日限定の品も入荷していて、あまり知られていない三重県の名物や魅力をたっぷり楽しんでいただけるはずです。店内をご案内しながら、オススメ品をいくつかご紹介しますね。

地元グルメが次から次へと繰り出される

大量の生菓子がその日のうちに売れてしまうのだから、驚き。

さっそく、入り口前に大量に積み上げられた白い食べものに圧倒されていると、中嶋さんがすかさず案内してくれる。

中嶋さん:三重県四日市の名物のなが餅です! つぶあんの餅を平たく伸ばして両面を焼いたもので、こちらは慶応4年(1868)創業の老舗、『金城軒』さんの太白永餅(たいはくながもち)。金曜日限定品でご存知の方はみなさん、大量にまとめ買いされます。

全く知らなかった。ご当地の和菓子は色々とあるが、関西圏でも知らないものがあるとは。

何の変哲も無い焼き菓子っぽいけれど。

続いて、洋菓子のコーナーへ。

中嶋さん:三重県でお土産の焼き菓子といえば「シェルレーヌ」です! 天然の真珠貝の粉末が入っています。全国菓子大博覧会で名誉総裁賞を受賞したり、美味しさで絶大な信頼を得ているマドレーヌで、県民はみんな常識レベルで知っているはず……。

知らなかった。というか、今のところお菓子コーナーで知っている品がない。それだけに1000円で何を買うかが試されている気がしてくる。

「つよい子・よい子・餃子っ子」のキャッチコピーでおなじみらしい。

どんどん未知のグルメを紹介され、次は何がくるのかワクワクしてきた。と、ここにきて、餃子!?

中嶋さん:新味覚の餃子。これは、おさえておいたほうがいいです!めっちゃ美味しいですよ!

聞くと、地元の人はみんな食べたことがあって、なんでも他県では絶対にしない、変わった食べ方をするのだそうだ。おさえておけと言われるとそんな気もしてくるが、税込891円する。予算は1000円。前回の記事のように酒とセットにするのは不可能だ。1点豪華主義でいくか、悩ましい。

スマホの計算機で金額を確認しながら、しかめっ面をしていると、やっと知っている食べものに出合った。伊勢うどんだ。

中嶋さん:金曜日だけ入荷する、生の伊勢うどんです。湯がいて、うどんのタレをかけるだけ。三重県の地元スーパーでも扱う味で、私もあの食感が恋しくなって、たまに買ってしまいます。

ふむ、ど直球の名物にも心揺さぶられる。出身者が恋しくなる味と聞けば、なおさら。

お酒のコーナーを拝見したら、おなじみの焼酎が。キンミヤ焼酎はホッピーとセットで語られるので関東圏のメーカーだと思われがちだが、実は三重県のお酒。シャリキンも捨てがたいが、いつも飲んでいる味ともいえるしなぁ。

 

悩みに悩んで選んだのは………

私の三重県1000円セット

下記のとおり!!

新味覚の餃子 891円
ニンニクダレ 51円
大内山牛乳 170円

計3点でしめて1112円。

なんと、新味覚の餃子は地元給食にもでる牛乳、大内山牛乳と食べるのが三重県のスタンダード。ニンニクダレの臭い消しとして飲みはじめたのが始まりで、お店では瓶入りの牛乳が出されるのだそう。

餃子は、むっちりした皮に野菜たっぷりめの餡が包まれている。噛みしめると、じゃくじゃく心地よい食感とともに甘くて旨味が凝縮したスープが口の中に沁みだす。ニンニクダレをつけるとガツンとした香りが広がり、また違う顔を見せる。すかさず牛乳を飲むと、まろやかな味わいが加わる。純粋な餃子の美味しさあってこその牛乳。美味しさと少しの違和感が相まって、ふふ、と笑いが漏れる。これは楽しい。

節約旅なのだから本来はここで終わるはずだが、せっかく行ったんだもの。1000円におさまらないけど、買ってしまった品たちを紹介するとしよう。

1000円オーバー!はみ出し購入品

太白永餅(たいはくながもち) 1個110円。

ぐるりと店内を見て回っているときに、目の前でおばさまがガサッとふたつかみ分購入しているのを見てしまった。

見てしまったからには、買うよりなかった。食べてみると、焼き目のおかげで香ばしく、あんこ餅の味だが重くなりすぎない。息をするように腹に吸い込まれる。

みなみの伊勢うどん141円、うどんのつゆ180円。

中嶋さんが恋しくなる味を食べてみたくなった。湯がいただけのうどん玉につゆをかけるだけのお手軽な一杯に、温泉卵とネギを追加していただく。コシのあるうどんとは真逆のふわふわ食感にじんわり感じる小麦味。初めて食べるのに、やさしい味わいが郷愁を呼び起こす。

知らない味に出合うと、瞬時に異世界に行けるから不思議だ。今回は、餃子と牛乳の未知のペアリングでトリップ。部屋に充満したニンニク臭と初めて食べる味のおかげで、三重への没入感を味わえた。

 

胸を張って言える、最適解の1000円だったと。

『三重テラス』店舗詳細

住所:東京都中央区日本橋室町2-4-1 浮世小路千疋屋ビル「YUITO ANNEX」1F・2F/営業時間:物販10:00〜20:00、レストラン11:00〜21:00(アルコール含むラストオーダー 20:00)/定休日:無/アクセス:地下鉄三越前駅、JR新日本橋駅より直結、JR神田駅より徒歩8分

取材・撮影・文=福井 晶

1000円で旅に出る。お金がなくても外食できなくても、アンテナショップへ行って目を閉じれば、もうそこは現地だ。いや違うんだけども、ちょっと旅に出た気分になれる。今回は日比谷にある『日比谷しまね館』で、日本酒発祥の地ともいわれる島根県へ行くとしよう。