深川・門前仲町の基礎知識

深川・門前仲町は、江戸時代初期は漁師町。寛永4年(1627)に富岡八幡宮が創建され、門前町となり、勧進相撲や深川八幡祭などが行われた。また、この地に紀伊國屋文左衛門などの豪商も居を構えた。現在でも、富岡八幡宮をはじめ、成田山新勝寺の出開帳が起源の深川不動堂、江戸三閻魔の一つ、深川ゑんま堂など、歴史を感じる社寺がある。

隣接する木場の貯木場は木場公園に生まれ変わった。ほかにも、当時の雰囲気を再現した親水公園、江戸城築城の石置き場を整備した親水公園などが点在。門前町と自然豊かな公園を一緒に巡りたい。

illust_2.svg

1 深川ゑんま堂

色鮮やかな江戸三大閻魔のひとつ

寛永6年(1629)創建。1989年建立の閻魔大魔王像は日本最大級の大きさ。家内安全やぼけ封じなど、19の祈願ごとの賽銭箱に賽銭を投入すると、その説法が自動で流れるシステムを日本で初めて採用。

住所:東京都江東区深川2-16-3/定休日:無/アクセス:地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅から徒歩6分
illust_2.svg

お招き屋・ディデアン

元気が蘇る 渾身の朝食!

発芽発酵玄米、生みそ汁、糠漬けの発酵食セット800円が朝食の一番人気。看板メニューの薬膳カレー1000円〜は体に染みる味わい。参道でゆったりと過ごすひと時を。

住所:東京都江東区富岡1-15-3/営業時間:8:00~21:00LO(土・日・祝は~21:00LO、月は~15:00)/定休日:不定/アクセス:地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅から徒歩3分
illust_2.svg

2 深川不動堂

成田山の出開帳が期限の別院

元禄16年(1703)、成田山新勝寺の御本尊の出開帳をしたのが始まり。明治14年(1881)に不動堂が建てられた。新勝寺の東京別院で、「深川のお不動様」として親しまれる。

住所:東京都江東区富岡1-20-3/営業時間:参拝自由/アクセス:地下鉄大江戸線・東西線門前中町駅から徒歩3分
illust_2.svg

大衆酒場 魚三

昭和38年(1963)創業の人気酒場

(撮影=門馬央典)
(撮影=門馬央典)

1階と2階のコの字形カウンター席は連日多くの人でにぎわう。元が魚屋なので、魚料理が人気。まぐろ240円や中トロ650円など。コップ酒200円とアルコールもリーズナブル。

住所:東京都江東区富岡1-5-4/営業時間:16:00〜22:00(2階は〜21:30)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄大江戸線・東西線門前仲町駅から徒歩1分
illust_2.svg

3 富岡八幡宮

篤く信仰を集める深川の八幡様

寛永4年(1627)創建。徳川将軍家から手厚い保護を受けてきた。勧進相撲発祥の地で、境内には歴代横綱の石碑が立つ。8月15日前後に行われる深川八幡祭は、江戸三大祭の一つ。

illust_2.svg

4 木場親水公園

江戸情緒を感じる水辺の公園

木場の風景をテーマに整備した親水公園。木場駅近くから仙台堀川にかけの約900mには、石積みの掘割や木製の太鼓橋、和船などがあり、江戸情緒を感じさせてくれる。

illust_2.svg

5 木場公園

ピクニックにも最適な緑の公園

かつて木場の木材関連の会社があった地を整備した公園。約23万8000㎡の敷地は3地区に分かれ、木場公園大橋で各地区を連絡している。植物園やバーベキュー場、ドッグランなどがある。

住所:東京都江東区木場4-5・平野4・三好4・東陽6/営業時間:入園自由/アクセス:地下鉄東西線木場駅から徒歩5分
illust_2.svg

6 古石場川親水公園

水辺の香りをテーマにした公園

江戸城築城の際の石置き場があったところで、石のオブジェが点在する。園内の水路を流れるのは海水なので、アサリの発生を見られることがある。バラ園やアジサイなども見られる。

住所:東京都江東区牡丹10/営業時間:入園自由/アクセス:地下鉄大江戸線・東西線門前仲町駅から徒歩5分
illust_2.svg

7 帆船明治丸

明治時代に造られた国の重要文化財の帆船を展示

明治7年(1874)に灯台巡視船としてイギリスで製造された帆船。天皇が乗るお召し船や練習船としても使用された。

住所:東京都江東区越中島2-1-6 東京海洋大学越中島キャンパス内/営業時間:10:00〜16:00(10月〜3月は〜15:00)/定休日:火・木・第1・3土に公開(祝の場合は休)/アクセス:JR線京葉線・武蔵野線 越中島駅から徒歩約2分
illust_2.svg

【街探検】木場の貯木場

江戸の街づくりのために集まった材木商が木場に移ったため隆盛した

かつての貯木場だった頃の木場。仙台堀に立派な材木が浮かんでいる。
かつての貯木場だった頃の木場。仙台堀に立派な材木が浮かんでいる。

天正18年(1590)、徳川家康が江戸へ入封すると、江戸城改築や江戸の街をつくるため、大量の材木が必要になり、全国から材木商が集められた。その後、多くの材木商が江戸に残り、日本橋材木町をはじめ、各地で商いをしていた。寛永18年(1641)の桶町の大火延焼の原因が材木商が保管していた材木とされ、元木場(江東区清澄、深川などの周辺)に集められた。

明暦3年(1657)の明暦の大火後、神社仏閣や武家屋敷が江戸城から離れた地に移転する。これを機に、材木の運搬に便利な水路を活かすため元禄14年(1701)に深川木場町が誕生した。江戸の街づくりで巨万の富を手に入れた材木商も多く、紀伊國屋文左衛門は、富岡八幡宮に3基の宮神輿を奉納したと伝わる。

しかし、高度経済成長期(1950年代~1970年代頃)に木場で地盤沈下の問題が発生。新木場が新たな貯木場となり、かつての貯木場は木場公園になった。

illust_2.svg

取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より