一緒に歩くのは……石川 勝さん
不動産専門家集団の「東京カンテイ」でマンションの評価・調査を担当する、不動産鑑定士。中古マンションに特化した評価方法で複数の特許を取得! 街歩きとともにおすすめマンションを巡る企画を行う、マンションさんぽの達人でもある。「東京カンテイマンションライブラリ」内ではブログ「今週のチラ見物件」を連載、駅で待ち合わせて周辺環境を紹介しながらマンションまで案内するというバーチャルな体験をWEB上で展開している。「選ぶまえに知っておきたいマンションの常識 基礎編」「選ぶまえに知っておきたいマンションの常識 実践編」を監修・執筆。
不動産鑑定士目線で、街の解説を見てみよう!
日本最大級の不動産データ量を誇る『東京カンテイ』が、各駅の平均中古マンション価格や平均賃料などのデータを大公開!

伊能忠敬よろしく、散歩の無事を祈願

富岡八幡宮の別当寺だった、永代寺の門前町として発展してきた門前仲町。同駅の1番出口を出て、永代通りを東へ歩くと、富岡八幡宮の大鳥居が迎えてくれた。散歩の幕開けに、江戸最大の八幡さまを参拝し、まずは本日の好天を祈願。鳥居まで戻ると、その脇には伊能忠敬像が。深川黒江町(現・門前仲町1丁目)に住んでいた忠敬は、測量旅行出発の前に必ず富岡八幡宮を参拝していたそう。

寛永4年(1627)創建の富岡八幡宮。毎月第1・第2・第4・第5日曜は骨董市、15日・28日はフリーマーケットを境内で開催。
鳥居をくぐって左側に立つ伊能忠敬像。今にも旅へ歩き出しそう。

今度は永代通りを東へ向かい、門前仲町一丁目の交差点を右折。ホワイトとグレートの二層に色分けされた、中層マンションの「門前仲町パークホームズ」が見えてきた。

「門前仲町駅から徒歩4分の好立地です。このように間口が広い敷地ですと、建物は存在感ある設計ができるんです。アーチ状に石を積み上げた欧風のエントランスがホテルライクなモダンな印象ですね。室内に柱が出ないアウトフレーム工法を用いており、各部屋が解放感のある造りになっているんですよ」と石川さん。

葛西橋通りに広い間口で面しており、ボリューム感・存在感のある「門前仲町パークホームズ」。

永代通りに戻り、隅田川方面へ向かうと、渋沢栄一宅後の看板を発見。その少し先にあるのが「プラウド門前仲町ディアージュ」だ。永代通りより一本奥まった立地にある中層レジデンスで、高層階からは隅田川も眺望!

「外観は棟飾り・軒飾りをモチーフにしており、リバーサイドの上層階を出部屋とした左右非対称のデザインが特徴的です。門前仲町の江戸の香りと新しさが混在する街並みに調和したマンションと言えますね」。

「プラウド門前仲町ディアージュ」は全戸南西向きで、採光性や通風性も高い。室内は最大天井高2.6m超と開放感がある。

表情豊かな深川の水辺風景に癒やされる

大横川を橋で渡ると、越中島エリアに突入。この地で2016年にオープンしたのが、『深川ワイナリー東京』だ。醸造所隣接のレストランに入ると、発酵したブドウの芳醇な香りが漂う。隣にある東京海洋大学とコラボして造った海中熟成ワインや、山梨の甲州と山形のシャルドネという違う産地のブドウ2種で醸したワインなど、独自の試みが興味深い。スタッフでありソムリエの伊禮(いれい)沙由美さんによると「門仲のスーパーの屋上で育てた深川産のブドウを、2020年から各ワインに少しずつ使っているんですよ」。

『深川ワイナリー東京』の醸造所のタンクを望むカウンター席。酸化防止剤無添加の長野カベルネソーヴィニョン3520円(中央)など。

続いて晴海運河に向かうと、巨大な黄色いマストが見えてくる。東京海洋大学で保存されている重要文化財の鉄船・明治丸だ。すぐ横の晴海運河では屋形船が数台係留されており、水辺の風景に彩りを添えている。

相生橋を渡って晴海運河を超え、振り返れば、巨大客船のような「ルネ門前仲町パークステイツ」が。こちらはA~Eの5棟からなり、総戸数は466戸! 石川さんいわく「この辺りは、元倉庫や事業所跡の敷地を利用した大型マンションが多い」のだそう。

「住民同士の交流が活発になるよう、和・洋の大きな庭園を2つ設けています。コミュニティが充実しているのはマンションの目に見えない財産です。敷地内からは直接、隅田川デッキ、越中島公園に出ることが可能で、住民の方がウォーキングやお散歩に出て挨拶したりと活気があります」。

「ルネ門前仲町パークステイツ」は敷地規模約1万3500平方メートルを誇る。敷地中央には和風庭園、南側には洋風庭園を備え、住民憩いの場に。
味わいのある屋形船の借景に、豊洲の高層ビル群。江戸とTOKYOが交差する風景に、足が止まる。

門仲暮らしを楽しくしそうな個性派カフェたち

橋を引き返し、東京海洋大学の北側まで来ると、子供たちが走り回る牡丹町公園に到着。

「『門前仲町東豊エステート』は、この公園に隣接していて南側が開けているので、特に南向きの部屋は展望や日当りが良好。総戸数294戸と大規模ながら1DK~2LDKの部屋が多いので、シングルやDINKsに人気なんです。公園には大きな山のすべり台や動物型の遊具やアスレチック型遊具などがあって、子供の絶好の遊び場。マンションから我が子の遊ぶ姿を見ることもできます。古石場川親水公園の緑と水も身近に感じる事ができる環境です」。

牡丹町公園と古石場川親水公園に囲まれ、水と緑を身近に感じられる「門前仲町東豊エステート」。
越中島駅近くの裏路地で見つけた船宿。やはり深川は水運の街なのだ。

古石場川親水公園の気持ちのいい遊歩道を歩き、西へ。細長い親水公園の突きあたり付近で、天を刺す35階建ての「ウエルタワー深川」が現れた。

「こちらは、住宅・公益施設・商業施設が調和した総合的な街づくりをコンセプトに、旧東京市営アパート跡地で再開発されたタワーレジデンスです」と石川さん。確かに、1・2階には保育園や高齢者施設、薬局、コンビニなどが入り、建物内で日常生活を完結できそう。

「建物は四方の角部分にサイドの縦ラインを強調しています。正面と側面で違った印象を与えるデザインや、中低層部と上層部でバルコニーデザインに変化を持たせるなど、個性的な意匠が存在感を放っていますね」。

「ウエルタワー深川」はフロントサービスやゲストルーム、最上階のビューラウンジなど共用施設も充実。
古石場川親水公園に架かる小津橋。橋の名は、最初ここに小津秀祐(映画監督・小津安二郎の親戚とされる)という人が、私費で木造の橋を造ったことに由来。

再び大横川を超えて、門仲にリターン。富岡八幡宮の東側にあるのが、2017年オープンの『YANE』だ。グリーンショップやフォトスタジオなどが集う小さな複合施設で、中には『SORAYA』というカフェも。天井が高く開放的な店内は、鉄骨の梁やレンガの武骨な感じと、古材を用いた什器やグリーンの温かみが混ざりあい、長居したくなる心地よさ。お店を仕切る谷脇さんに門仲の魅力を聞くと「10年住んでますけど、やっぱり下町。道でご近所さんと出合ったら、よく声をかけてくれますし。来年こそは深川八幡祭りで神輿に『水かけ』したいですね」。

ランチは基本日替わりで、どのメニューもカフェめしとは思えぬほどの盛り。写真は三元豚のカツレツのごはんプレート1200円。

さらに北へ向かい、仙台堀川を超え、清澄白河方面へ。カフェ激戦区で異彩を放つのが、『Books&Cafe ドレッドノート』だ。「オーナーが軍事関係やUFOの本などを集めるのが趣味で。そのコレクションを保管しておくだけじゃもったいないと思い、ブックカフェをはじめたんです」とマネージャーの渡邉篤史さん。普段このジャンルに興味がなくても、ソ連やドイツもの、戦艦ものなど気になる本がずらり! コクと深みのあるオリジナルブレンドを飲みながら、未知なる本の世界に没頭してみたい。

中央のこげ茶色の棚が、ドレッドノートのオーナーいちおしの本。中には日本で3セットしか現存しないというマルクスエンゲルス全集の箱入りも!

最後は仙台堀川沿いの遊歩道を歩き、門前仲町駅へ戻る。エッジの立ったカフェやワイナリーなど新たな発見もあり、楽しい門仲ライフが想像できた今回の散歩。とはいっても、門仲のイメージど真ん中といえば飲み歩き。昭和風情あふれる辰巳新道で、シメに一杯やってきますか!

50mほどの路地に小さな酒場やスナックが並ぶ辰巳新道は、闇市が起源。コロナ禍で消えた灯りが、少しずつ戻っていた。
不動産鑑定士目線で、街の解説を見てみよう!
日本最大級の不動産データ量を誇る『東京カンテイ』が、各駅の平均中古マンション価格や平均賃料などのデータを大公開!

紹介したスポットの詳細

住所:東京都江東区富岡2-4-4/営業時間:11:00~21:00/定休日:無/アクセス:地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅から徒歩8分
住所:東京都江東区古石場1-4-10 高畠ビル1F/営業時間:12:00~21:00(レストラン16:00~20:00LO。月・火は物販のみで12:00~18:00)/定休日:無/アクセス:地下鉄東西線・大江戸線門前仲町駅から徒歩8分
住所:東京都江東区平野2-3-21/営業時間:11:30~20:30LO(土・日・祝10:00~)/定休日:無/アクセス:地下鉄半蔵門線・大江戸線清澄白河駅から徒歩9分

紹介したマンションの詳細

門前仲町パークホームズ
東京都江東区永代2-33-3
プラウド門前仲町ディアージュ
東京都江東区佐賀1-6-2
ルネ門前仲町パークステイツ
東京都江東区越中島1-3-1
門前仲町東豊エステート
東京都江東区牡丹2-9-16
ウエルタワー深川
東京都江東区古石場2-14-1

*イラストマップにある残りの5軒については、マンションライブラリをご覧ください。

 

取材・文・撮影=鈴木健太 イラスト=さとうみゆき