魚屋DNAを受け継ぐ門仲の良心酒場『大衆酒場 魚三』[門前仲町]

右から中トロ650円、真鯛刺し450円、まぐろ240円。酒1合は190円! 明治38年創業。
右から中トロ650円、真鯛刺し450円、まぐろ240円。酒1合は190円! 明治38年創業。

ひいじいちゃんが魚の引き売りから始めて、じいちゃんが昭和34年に居酒屋を始めたんです。酒は飲まない人だったけどね。魚は、昔っから河岸仕入れ。親父と台風でも出かけてるよー。仲卸さんとは、何十年もの顔なじみだから、いろいろ気にかけてくれるんです。だから勧めてくれたものも仕入れるようにしてるんですよ。

お店のお客さんには最近若い子や女性が増えましたね。昔は女性がカウンターに座っただけで、空気がガラリと変わって男性客が妙に緊張したもんだけどネ。あと、うちは子連れ入店できないんです。だって“酒場”だからね。だけど、成人すると、今度は親子で来てくれるんです。でもね、大概は大女将の洗礼を受けるんですよ。 「最初に魚を注文しないなんて、 何しに来たんだい!」ってね。俺らがやったら、かえってお客さんに叱られちゃうけど、大女将はオーラがありますから。ま、一杯飲んでってよ。(4代目・鈴木三則さん)

1・2Fはコの字カウンター席。3~4Fの座敷は、10名以上・3000円~のコース注文に限り、予約可能。子連れ入店禁止。
1・2Fはコの字カウンター席。3~4Fの座敷は、10名以上・3000円~のコース注文に限り、予約可能。子連れ入店禁止。
店前の列はもはや名物。
店前の列はもはや名物。

『大衆酒場 魚三』店舗詳細

日本文化の伝道者『京呉服・宝石の店 田巻屋 深川清澄白河本店』[清澄白河]

京呉服のほか、シミ抜きなど和装のよろず相談にも応じる。大正13年創業。
京呉服のほか、シミ抜きなど和装のよろず相談にも応じる。大正13年創業。

店前の深川江戸資料館通りは昔、お彼岸通りと呼ばれてましたが、地下鉄が開通し、現代美術館やインターナショナルスクールができて、にぎやかになりました。外国の方も多く、浴衣をガウンとして着たり壁に飾ったり、帯留めはベルト、帯あげはマフラーで使う、なんて話も聞きます。

創業時から花街のお姐(ねえ)さん向けというより、街の人向けの店。この辺りは祭りのとき、半纏(はんてん)の帯で個性をアピールするんです。だから、和装でいろいろ楽しめるよう、 2代目の夫が宝石を、3代目の息子が和雑貨を扱うようになりました。最近は、 デニム着物や和柄足袋も人気です。

深川では七五三や小学校の卒業式で、袴(はかま)をはく子が増えているんです。うちでは 「着物はおじいちゃん、おばあちゃんのところにあるかもしれないから、見ておいで」って伝えます。そうすれば、箪笥(たんす)の肥やしの着物が生き返りますし、袴代だけで済みますから。 「こんなのがあったの」と持ってきてもらって、コーディネートしてあげることもあるんです。和の伝統文化は、ちゃんと伝えていかなきゃ。 (女将・田巻孝子さん)

マネキン3兄弟の語らいにも注目。
マネキン3兄弟の語らいにも注目。
象牙の帯留めや、羽織ひもをはじめ、和装に似合う宝飾アクセサリーも充実する。
象牙の帯留めや、羽織ひもをはじめ、和装に似合う宝飾アクセサリーも充実する。
宝石店で修業を積んだ3代目の田巻雄太郎さん、小百合さん夫妻と、2代目女将の孝子さん。
宝石店で修業を積んだ3代目の田巻雄太郎さん、小百合さん夫妻と、2代目女将の孝子さん。

『京呉服・宝石の店 田巻屋 深川清澄白河本店』店舗詳細

住所:東京都江東区三好2-13-3/営業時間:10:00~18:30/定休日:水/アクセス:地下鉄半蔵門線・大江戸線清澄白河駅から徒歩3分

豊洲の台所を支える頼もしいお肉屋さん『肉のイチムラ』[豊洲]

臨海地区にバーベキュー場が点在。良質な肉が安く手に入るとあって、週末の朝は買い出しで訪れる人も少なくない。昭和23年創業。
臨海地区にバーベキュー場が点在。良質な肉が安く手に入るとあって、週末の朝は買い出しで訪れる人も少なくない。昭和23年創業。

豊洲は軍の施設があった場所。それが戦後、民間に払い下げになるっていうんで、初代のじいさんが、業種を 「精肉店」 と書いて応募したら当たったんです。肉屋なんてやったことがないから、急いで門仲のお店で修業したけど、初めはロースもモモも、同じような細切れ、同じ値段で売ってたらしいです。それを、修業先に出入りしていた親父が見兼ねたのか、子供のいないじいさんに見込まれたのか、二人で切り盛りするようになりました。総菜は昔からやっていたから、昭和の終わり頃から弁当もはじめました。日替わりのほか、ハンバーグ630円や牛ステーキ弁当830円がおすすめ。1日に150食ほど売れるかな。

昔に比べて、豊洲もようやく普通の街になってきたなって思います。団地も増えたし、会社もあるし。だから昼間は弁当、夜は焼き鳥なんかを作って並べてます。職人の街だからか、牛より、豚のほうが好まれるかな。遠くから買いに来てくる人もいるんです。確かにあんまり価格は上げてないけど、うち、そんなに安いの?(3代目・市村恭庸(やすのぶ)さん)

ていねいに処理を施す熟練の腕。
ていねいに処理を施す熟練の腕。
めんちかつ140円など、総菜も人気。
めんちかつ140円など、総菜も人気。
3代目の市村恭庸さんと職人さんたち。
3代目の市村恭庸さんと職人さんたち。

『肉のイチムラ』店舗詳細

住所:東京都江東区豊洲4-6-3/営業時間:9:30~19:30/定休日:日/アクセス:地下鉄有楽町線・ゆりかもめ豊洲駅から徒歩1分

子供たちの社交場『下町のおもちゃ箱トイパーク まさみや』[森下]

店の内外にある昭和なゲーム機。当たるとお菓子券がもらえるとあって、子供たちは真剣だ。昭和22年創業。
店の内外にある昭和なゲーム機。当たるとお菓子券がもらえるとあって、子供たちは真剣だ。昭和22年創業。

玩具は遊びの原点。 昔から 「壊しちゃダメ」 が決まり文句ですが、壊して分解して向学心を培うものなので、大事にすることも身につくんですよ。

この店は、戦後の焼け野原の物資のない折に、商店街から要望があり、両親が創業しました。1996年から駄菓子を扱い、ワンコインで遊べるゲーム機も置きました。昭和中頃にはやったものなので、大人も子供の頃に思いを馳せています。当たる (お菓子券) 確率もいいんです。

“高橋のらくろード”は、日・祝10~19時は歩行者天国なので、家族でご来店ください。(2代目・川喜田敏夫さん)

永遠の少女たちの憧れも。
永遠の少女たちの憧れも。
駄菓子コーナーもあり。
駄菓子コーナーもあり。

『下町のおもちゃ箱トイパーク まさみや』店舗詳細

住所:東京都江東区高橋8-3 /営業時間:11:00~18:00/定休日:水/アクセス:地下鉄大江戸線・新宿線森下駅から徒歩4分

取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=門馬央典

水辺の下町でおすすめはどこ?と聞かれたら、私は深川と答える。特に清澄白河から森下にかけて辺りが最高だ。それはここが“水の都”だからなのだが、今はコーヒーの街としての方が名が売れている。だから、まずコーヒーの話から始めましょう。