大人なら知っておきたい小粋な店『卯佐』[神保町]
路地裏にあってわかりにくいが、主人の優しい人柄と洗練された料理が評判で連日満席。主人・齋藤良さんは、葉山の名店『日影茶屋』で修業した後、地元の神保町に戻って店を開いた。旬の味を大切にしたいというだけあり、常時10種類ある純米、純米吟醸酒、純米大吟醸酒1杯各900円~にも季節替わりの銘柄が並ぶ。これからの季節のおすすめは、松茸土瓶蒸し1500円前後をはじめとする料理だ。酒の締めは鯛茶漬け1000円で決まり。
『卯佐』店舗詳細
沖縄の方言で“熱々”『東京アチコーコー』[神保町]
“アチコーコー”とは沖縄の方言で“熱々”や “ほかほか”を意味する。そんな店名のこちらでいただきたいのは、やはりあったかいデミグラス煮込み。国産の牛すじを2日間煮込み、トマトを加えて爽やかに仕上げた定番の人気メニューだ。「赤ワインもいいけれど泡盛の古酒もおすすめです」と女主人の小野薫さん。樫樽熟成した「暖流」と合わせると、肉の旨味と重なってより味わいが深くなる。豊潤な後引く余韻もたまらない。
『東京アチコーコー』店舗詳細
自然派ワインと愛媛の恵みの愉快な共演『ワイン食堂 ChatGatto』[神保町]
愛媛の肉・魚・野菜を用い、店主の薄田貴志さんがイタリアン、妻の宜子さんがフレンチを作る。「やりたいことをやってるだけなんです」と貴志さんは笑うが、実に贅沢だ。のびのび生み出される2人の料理に合わせるのは、食事に寄り添う自然派ワイン。イタリアのダミアン「リボッラ・ジャッラ」は果実味がまろやかで、夏鹿の香りや旨味を邪魔せずスーッと体になじんでいく。あぁ幸せ……。
『ワイン食堂 ChatGatto』店舗詳細
バーガーとヘイジーIPAへの愛が爆発!『folk burgers & beers』[神保町]
メニューに並ぶビールのほとんどが、ヘイジー IPAと呼ばれる濁り系。口に含んだときのホップの爽やかさは衝撃的だ。これと、プルドビーフの旨味たっぷりのバーべキューソースが絡んだパテのハンバーガーが見事に相性抜群! 「僕の好みなんです」と店主の髙野和彦さんは笑うが、自らが飲んでおいしいと確信したものを揃えているだけある。業界大注目の「うちゅうブルーイング」が樽生で飲めるのも貴重!
『folk burgers & beers』店舗詳細
九州の焼酎は都内随一の品揃え『地鶏と焼酎 とりちゅう』[水道橋]
入り口付近の壁一面に並ぶ焼酎のボトルは、九州を中心に約250種類! 再び焼酎界を盛り上げるべく、鹿児島の名酒販店『コセド酒店』とタッグを組んだことで、稀少な銘柄が揃うのも強みだ。店主の佐藤将さんが「焼酎は身近な酒なんです」と言うように、グラス429円~なのもうれしい。焼酎に合うさつま知覧どりの黒焼きや宮崎名物の若鶏漬け南蛮なども揃い、心ゆくまで焼酎の世界を堪能できる。
『地鶏と焼酎 とりちゅう』店舗詳細
一刻者だった初代の残り香もまた酒肴『兵六』[神保町]
飲み方を心得た常連たちは酩酊しすぎず、背筋がピン。「薩摩武士を思わせる、粋なお客さんが集うのが兵六だと思います」とは柔和な3代目店主の柴山真人さん。今は水やお湯も付けるが、鹿児島出身の頑固だった初代のころは「米焼酎は冷やして氷なし、芋焼酎はお燗。基本ストレート」で出すのが兵六流だった。炒豆腐やきびなご丸干しと一緒にじっくり味わいたい。
『兵六』店舗詳細
100年超の歴史を刻む大衆酒場の殿堂『みますや』[神田]
明治38年(1905)創業。現存する店では日本最古といわれる居酒屋。現在の建物は戦火を免れた昭和3年(1928)に建てられた看板建築だ。縄のれんをくぐって店内に入れば、畳敷きの小上がりと一枚板のテーブル席があり、黒光りした壁や天井が歴史を物語る。老舗ではあるが、無料のお通しをはじめ、まぐろさしみ650円、焼きとり3本550円など、料理も価格も庶民的。これからの季節なら柳川なべや牛煮込み650円を肴に、「白鷹」の燗酒1合450円を味わうのもいい。
『みますや』店舗詳細
おでんの味を守るのは気っ風のよい女将『尾張屋』[神田]
昭和2年(1927)創業。かつお節、昆布、煮干しで出汁をとり、白醤油と淡口醤油で味を調えたおでんはやや薄味で、そのぶん素材の持ち味が引き出される。合びき肉や玉ねぎ、長ねぎ、卵などが入ったロールキャベツ400円、特注のがんもや厚揚げ、大きめに切った大根各300円など、おでんは常時30種類以上。おでんと並ぶ二枚看板が、「白身魚に自信あり」と、3代目主人が語る刺し身。日本酒は「大関」1本450円、ビール大瓶700円と庶民派価格だ。※価格はすべて税別
『尾張屋』店舗詳細
旨いカレーに隠されたマスターの生き様『葡萄舎』[神田]
マスターの池田賢一さんは、若いころ放浪の旅の途中でマラリアにかかった。その時に食べたのが南インドのベジタリアン中心の定食、ミールス料理。それがメニューにも生かされている。1980年代に、ワインバーとして開店したが、カレーの味が評判になり、やがて、昼はカレーランチ750円~、夜はカレーのほか、にこごりや刺し身などのつまみも楽しめるバーになった。天然木のテーブルを配置した、ゆったりと居心地のよい店内にも、マスターの人柄がにじみ出ている。
『葡萄舎』店舗詳細
日本酒好きが聖地とたたえる名店『かんだ光壽』[神田]
常時30種類ほどある日本酒は、オーナー自らが全国の酒蔵を訪ねて選んだもの。品揃えは純米吟醸以上で、なかにはこの店のためだけに搾った酒(高知県の南75ml 605円~)や、現地でしか入手できない酒など、レアなものも多い。旬の魚介料理、赤身の生馬刺し1628円、じゃが芋塩辛バケット付968円など、料理もバラエティ豊か。酒蔵から寄贈された小道具を飾った店内にはJAZZが流れ、まさに大人の居酒屋。予約必須の超人気店なのである。
『かんだ光壽』店舗詳細
酔客全員で満面の笑み激安酒場で楽しまnight『イチゴー』[神保町]
じゃがいもが丸ごと入ったカレーじゃがも濃いめのレモンサワーも、品書きは大体200円。「店名通り、昔は150円均一でやってたんだよ。注文や食器の片付けをセルフでお願いしてるから、そのぶん安く盛りよく出せるの」とユニークな店長さん。ノドンサワーなど謎の品書きも多く、サワージャパン300円を頼むと、ジョッキ内にJ形に曲がった魚肉ソーセージ。振り切ったギャグに乾杯!
『イチゴー』店舗詳細
自家製発酵食でお酒をちびちびが幸せ『Japanese SAKE STAND 85』[神保町]
開店以来、千客万来なのはお母さん担当の肴がお酒と抜群に合うから。唎酒師で酒匠の佐藤剛さんが選ぶ日本酒は、キレのある辛口からフルーティなものまで4カテゴリーに分けた16種含む計約35種を用意。「有名無名問わず全国の旨いと思った地酒を置いてます」。日本酒は約1週間で入れ替えなのでいつ行っても新しい出合いを楽しめる。
『Japanese SAKE STAND 85』店舗情報
なめろうは至極の逸品『立ち飲み 大松』[神田]
【さんサポイチオシ】なめろうは至極の逸品
構成=フラップネクスト 取材・文=鈴木健太、塙 広明、山内聖子、井島加恵 撮影=本野克佳、加藤熊三、山出高士、丸毛 透、逢坂聡
神田駅の高架下にある、小さな立ち飲み屋です。一見、どこにでもありそうな普通の立ち飲み屋なのですが、とにかく海鮮料理が群を抜いておいしい! 近くに『宝山 いわし料理 大松』という、いわし料理専門店があるのですが、ここはそこの立ち飲み屋です。それだけに“いわし料理”に関しては、特筆すべきおいしさです。刺し身、南蛮漬け、竜田揚げ、つみれ鍋などの定番メニューもさることながら、中でもなめろうは別格。注文をしてから作り出すこだわりと、ねっとりとした口当たりの中にも、新鮮ないわしの歯応えがサクサクとたまりません。このなめろうを一度味わったら、他ではもう食べられなくなる至極の逸品です。(味論さん)