新宿の「ほりうち」で月見らあめん。
青空の広がるみどりの日。なんだか突然今は無き新宿御苑の「佐高」の味が恋しくなり、ならばと向かう小田急ハルクの裏にある「ほりうち」。
その先にある本家にはいつだかの仕事納めの日に訪れてなにか変わったと感じて以来足が遠のいている。
ほり、うち、と文字が入る白い暖簾をくぐりこんにちは。親子にカップルに若い子たちにおじさんが混じる祝日の満席の店内。
今日は生卵に海苔の気分。券売機で「月見らあめん」をポチとして店内で並び待つ。しばらくして空いた席に案内される。
逆「し」の字のカウンター席。高台に突き出る給水栓で水を汲み、白衣纏う店員さんのテンポよい所作を眺めて待つ時間。
少しして「月見らあめん」ですと高台に。
重みある丼を両手で抱えそろりと下すと並々の水面の中心に卵が座りどさりと散るもみ海苔からわずかに顔を出すメンマとチャーシューと青菜とかまぼこと黄色の麺。
凛々しいと荒々しいが滲む顔立ち。久しぶりとレンゲを取りいただきます。あの頃の「佐高」を思い出す清湯のやさしいまろやかな醤油。沁みる午後。
たっぷりと沈む海苔が纏わる麺を啜る。平打ちのもっちりとした少し柔めの麺。ズババと啜り喉を滑る。
少し飽きた頃に黒胡椒をふる佐高の頃と変わらぬルーチン。輪郭がはっきりとし引き締まるやさしさ。
そろそろと大切に残す黄身をそっと割り海苔と麺を塗し啜り込むしあわせ。
一枚で充分の小さい草鞋のような汁が染むチャーシューにかぶりつき溢れ出る旨みの汁に放心する。
この系譜のそれなりの麺の量。なんとか食べきり一息つく。
見渡すとあちらもこちらもちゃーざる、ちゃーざると肉を求めるけれどこれが良い50オーバー。
丼を高台に置き満腹で席を立つ。ごちそうさま。