小金井公園にある「前川圀男」の家。
すこし余白の無い日々を過ごし縮む気持ちを癒しに向かう好きなとこ。
抜ける青空の下、ペダルを漕ぎ、下り上る小金井街道。ゴルフ場を横目で眺め、緑が茂る「都立小金井公園」を走る。
その中にある江戸時代から昭和初期までの30棟の復元移築の建造物が建つ「江戸東京たてもの園」。
二・二六事件の現場とか居並ぶ看板建築だとかジブリの映画のあの場面に使われているに触れて感じ心に響く建物が並ぶ中で目指すのはいつもここ。
園内に入り、少し歩く大通り沿いにたずむ、重心低くどっしりと構える五角形の箱。バランスよく配置される大きく開く格子と障子の窓のいつかここで暮らしたいと目論む家。
戦争が始まる翌年の1942年に品川区上大崎に建てられた前川圀男の自邸。
1974年に「新・前川圀男邸」建築の際に解体され軽井沢の別荘へ運ばれて長い間保管されていたものを藤森照信氏ら関係者の尽力によってこの場所に復元されたという木造の家。
裏に廻り、大谷石の塀に付く木彫りの「前川圀男」の表札に迎えられアプローチを通り玄関で靴を脱ぎこんにちは。
廊下を進むと濃紺のモザイクタイルで包まれるトイレ。モダンだねと心の声。その先の書斎のテーブルにずっとあるSONYの小さいテレビがずっと好き。
廊下を戻り偏芯する軸の大きな建具の先にロフトのようなものを備えるサロンと呼ばれる南に開く目一杯の開口から光が注ぐ心地よい空間。
しばしここでこの空気に浸る。
並ぶ座り心地良さ気な椅子には「座らないでください」と置かれるお知らせ。こっそり退けて座りこの空間で寛ぎたいの気持ち。
何組か入れ替わる中、ボケっと佇み過ごす気持ちの良い時間。戦時中に建てられた和に寄り添うモダニズム。ただここで暮らしたいと想いを馳せる