焼き鳥の概念を変える丁寧な自家解体『若鳥焼き もばら』
食鳥処理場の許認可を受けているため、丸鶏を店内で解体。「ここでさばけば肉が酸化しにくい。丁寧に内臓処理し、さばくときの温度帯に気をつければブロイラーでもおいしい焼き鳥になるんです」と石井さん。大きな塊で焼くもも焼きは、外のロースト感とロゼ色の内側のレア感の対比が素晴らしく、ホッピーや焼酎が進む。薄衣で揚げたから揚げの、肉の旨味ときたら!「肉に力があるから、いかにそのまま伝えるかを大事にしてます」。
『若鳥焼き もばら』店舗詳細
料理人歴四半世紀の技が光る海の幸『料理屋 幸森』
「いつか地元で店をやりたかった」と2020年に開業した幸森さん。ネタケース内の豊洲から仕入れる鮮魚に喉が鳴る。日替わりの品書きには焼き・揚げ・煮つけ料理が並ぶが、まずはお造り盛り合わせを。コチのウニのせはプリプリととろり食感の共演、生本マグロ中トロはきめ細やかな脂にうっとり。締めは注文後に炊いてくれる炊き込みごはんや、米を4~5種から選べる土鍋ごはんで決まり!
『料理屋 幸森』店舗詳細
気さくな女将に導かれ出合うレア地酒『日本酒 宵月』
OLだった片山さんはお酒好きが高じ、この店の女将に。「日本酒は辛口から旨口まで20種程度。お好みを言って頂ければ合うものをお出しします」。大井町以外の酒販店4軒から仕入れるので、新谷酒造(山口県)のわかむすめなど、近隣酒場と銘柄が被らないのもうれしい。女将手製の酒肴はお通しの酒粕のクリームチーズに始まり、銀ダラ西京漬1300円など左党の好みを心得たニクい面々。
『日本酒 宵月』店舗詳細
なごやかな空気の3坪バルでワイン談義『Hanaワイン』
主役はワインコーディネーター・金井麻紀子さんが選ぶマキコレワイン。「試飲会で一目ぼれしました。基本自然派で、きれいな飲み口のものが多いんです」と店主・塙さん。つまみは群馬県みなかみ町の『育風堂』から仕入れる和牛コンビーフや生ハムが抜群に合うのはもちろん、大皿料理や鍋料理などおふくろの味とも相性よし。極小店舗ゆえ店主や隣客と一体感が生まれ、つい長居しちゃうのだ。
『Hanaワイン』店舗詳細
酒の通人が絶品酒肴を求めてコの字へ集う『酒と食 ひなた』
内壁は瀟洒(しょうしゃ)なコンクリート打ちっ放しながら、カウンターはコの字の大衆酒場仕様「お客さん同士が仲よくなれる。この形が好きなんです」と重盛さん。低温調理で肉質しっとりに仕上げた豚ロース焼醤油麹添970円や、タレに3日間漬けたクルマエビの漬けをはじめ豊洲仕入れの魚介が並ぶ刺し身盛り合せなど、肴は丁寧な技がキラリ。約12種揃う焼酎か、自ら冷蔵庫で選べる日本酒を合わせるか悩む!
『酒と食 ひなた』店舗詳細
近所に一軒欲しい居酒屋の理想形『地酒屋のぼる~幟~』
賀儀屋や天穏などの地酒が並ぶ冷蔵庫を見て、まずは刺し身の盛り合わせを注文。賀儀屋をメインに様々タイプの厳選された日本酒が12類ほど揃う。ぬる燗で味わう菊姫などと塩釜から仕入れる絶品の生マグロとの太い味わいの相性に、相好(そうごう)が崩れる。同じく名物の冷菜の盛り合わせは、恋味(こいあじ)という甘い品種のミニトマトの甘酢漬けほか、愛媛県大洲産野菜が彩り豊か。店主の山田さん曰く「食材自体が素晴らしいので、なるべくシンプルな味付けを心がけてます」。
『地酒屋のぼる~幟~』店舗詳細
取材・文=鈴木健太 撮影=小野広幸