蓄音機で聴く音楽を楽しむために“集う場”『かふぇ あたらくしあ』
中学生の頃からレコードを買い集めていたという店主・久保田克敏さん。1926年製の蓄音機「クレデンザ」の購入をきっかけに、「いつか神保町で喫茶店をやりたい」という長年の夢を叶えた。コーヒーはシングルオリジンを10種類ほどそろえ、味わいや香りが残るよう金属フィルターで淹れている。チョコレートケーキにはこの店のロゴである蓄音機の部品を模したマークも! 「オリジナルの音を、オリジナルの機械で聴くということが大切。それを楽しむために“集う場”にしていきたい」と久保田さん。クラシック音楽好きにはもちろん、コーヒーやアンティークが好きな人にもたまらない至高の空間だ。
『かふぇ あたらくしあ』店舗詳細
陶器のオブジェに囲まれ、好きなカップで炭火焙煎コーヒーを『古瀬戸珈琲店』
店内に入ると、カウンター越しの壁一面にずらりと並ぶカップ、そしてあちこちに飾られた陶器のオブジェに目が留まる。オーナーは愛知県瀬戸市の出身で、店名に冠する「古瀬戸」は瀬戸で室町末期頃まで焼かれていた陶器のことだ。ホットドリンクを注文すると、200客以上もあるカップの中から好みのものを選ぶことができるのがうれしい。炭火焙煎のコーヒーは「豆の味をいかに損なわずに抽出するかを大切にしています」と店長の伊藤さん。特に人気だという手作りのシュークリームは、注文が入ってからシュー皮をリベイクするためほんのり温かく、コーヒーとの相性は抜群!
『古瀬戸珈琲店』店舗詳細
アートに囲まれて自分の時間を満喫できる空間『ギャラリー珈琲店 古瀬戸』
“生活に芸術を”ということをコンセプトに、1980年創業の本店『古瀬戸喫茶店』に続いて1988年にオープン。オーナーが洋画家でタレントの城戸真亜子(きどまあこ)さんに依頼して完成した壁画が美しい。店名の通りギャラリーであり貸し画廊もやっている店内は、壁画のほかにもアートが散りばめられ、コーヒーを味わいながら鑑賞できる。シフォンケーキはしっとりとした舌触りがくせになるおいしさで、神戸「萩原珈琲」の炭火焙煎コーヒーのなかでもこだわりのストレートのモカはコクがあってまろやか。自分の時間にどっぷり浸かれる居心地のよさも魅力だ。
『ギャラリー珈琲店 古瀬戸』店舗詳細
東京の紅茶専門店としては最古参の老舗『TeaHouse TAKANO』
「ポットでゆっくり丁寧に紅茶をたてる時間をつくってみてほしい」と、紅茶の本来の魅力を広めるべく尽力してきた店主・高野健次さん。直輸入する新鮮な茶葉の紅茶は、産地の特徴がよくわかり、本来の香りを楽しめるシングル茶をぜひ味わいたい。ティーポットやティーストレーナー(回転式の茶漉し)などの茶器は、使いやすさを考えて開発したこの店のオリジナルで、茶葉とともに店頭でも購入できる。デザートも自家製のケーキやババロアなど紅茶に合うものがそろう。熱いプレートにのせて提供されるほかほかのスコーンは、やさしい甘みで紅茶の味や香りを邪魔せず相性バッチリだ。
『TeaHouse TAKANO』店舗詳細
創作意欲あふれる料理やスイーツの数々に大満足!『atacu cafe』
ショーケースには何種類ものスイーツがずらり。ランチもよりどりみどりで、棚にはお酒の瓶も並ぶ。飲食業界で幅広く経験を積んできた店主・安宅(あたく)智彦さんいわく「お客さんに、何食べたい? って聞いてそれに応えていたら、だんだん増えてきました」。オーダーケーキも受け付けていて、コンセプトをかっちり決め込むことはなく、お客さんのニーズに合わせて柔軟に対応するスタイルだ。大きな平皿にこれでもかというほど野菜が盛られたグリーンサラダボウルや、きめが細かくみっちりした弾力のある生地のロールケーキなど、ランチでもお茶でも大満足できること間違いなしだ。
『atacu cafe』店舗詳細
昭和の面影を残すタンゴが流れる名喫茶『ミロンガ ヌォーバ』
2023年2月に元の店舗から40mほどの場所に移転オープンした、都内屈指の名喫茶のひとつ。移転後も店内の雰囲気、魅力的なメニューもそのまま。創業当時の面影を残す店内でひときわ存在感を放っているのは、カウンター席にあるレンガの壁だ。改装の過程で昭和時代の古いレンガが出現したという、まるで遺跡のようなエピソードだ。オーダーが入ってからハンドドリップするコーヒーは、ウェッジウッドのカップで提供される。カフェ・オ・レやカフェラテ、紅茶やピザなどの軽食、甘いものも充実。もちろん、世界のビールも。
『ミロンガ ヌォーバ』店舗詳細
民芸調の店内で味わう骨太コーヒー『神田伯剌西爾(かんだぶらじる)』
白のれんを頼りに地下へ潜れば、まさかの和の風情。障子ごしの明かりを土っぽい壁が受け止め、丸太の柱、太い梁、囲炉裏まで備えている。カウンターでドリップするのは、店長の竹内啓さん。学生時代に自家工房で焙煎する豆に惚(ほ)れ、そのまま30年近く、コーヒーを淹れ続けることに。まずは店の顔、神田ぶれんどを。マンデリンも配合され、しっかりした苦味のあと、立ち上る甘みにため息。
『神田伯剌西爾』店舗詳細
歴史の重みと渋さの中に、柔らかな空気『ラドリオ』
生クリームホイップがなみなみ盛られたウィンナーコーヒー。その発祥地としても知られる1949年創業の店。レンガ積みの内外装に、高さが不ぞろいの丸釘のような木のカウンター席が印象的だ。17時までランチセットがあるのも魅力で、ボリュームたっぷりのナポリタンが食べられる。「麺は固めで、トマトソースにタバスコを入れるのがポイントです」と7代目店長の篠崎麻衣子さん。店の渋さとは裏腹に、店員はみな女性で柔らかな空気感にホッとする。
『ラドリオ』店舗詳細
オールドビーンズとネルドリップを貫いて40年以上『カフェ・トロワバグ』
創業は1976年。フランス語で“3つのリング”を意味する店名は、創業者の名字の“三輪”にかけたというが、「コーヒーとお客さまと私たち店員も表すそうです」と2代目店主の三輪徳子さん。ネルドリップとコクテール堂のオールドビーンズを創業以来貫くコーヒーは、その甘みに驚く。「ワインと似ていて、温度が下がるうちに味がまろやかになるんです」。ワイン好きが高じて、2018年、神泉にワインとコーヒーが楽しめるスタンドもオープンさせた。
『カフェ・トロワバグ』店舗詳細
老舗の遺伝子を受け継いだ、装い新たな2号店『トロワバグ ヴェール』
『トロワバグ』の2号店として2024年6月にオープンした『トロワバグ ヴェール』では、コーヒーは基本的に本店と同じオールドビーンズ、同じネルドリップで淹れる。「ネルドリップは味わいも嗜好品としても好きな技術」と店長・緑川さん。人気メニューであるグラダンクレープは、本店の名物・グラタントーストと同じベシャメルソースをクレープ生地で包み、トマトソースとチーズがたっぷりかかった一品だ。長く愛されてきた本店の遺伝子がしっかりと感じられるとともに、一味違う装いで新たなチャレンジも光る。
『トロワバグ ヴェール』店舗詳細
世界基準の焙煎技術が生み出す味『GLITCH COFFEE & ROASTERS』
2015年4月にオープン。ハンドドリップで淹れるコーヒーがすべて浅煎りなのは、「豆の個性を生かし、風味をしっかり感じさせるため」と、オーナーの鈴木清和さん。味や香りはカップの形状でも変化するため、オリジナルのカップを用意。豆は、ドイツから取り寄せたPROBAT社の機械で焙煎。火の入れ方などは毎回データで管理し、国内外のバリスタとも技術共有して世界基準の味を提供している。
『GLITCH COFFEE & ROASTERS』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ)、下里康子、佐久間春奈・加藤桐子(風来堂)、野田りえ、信藤舞子、パンチ広沢(アート・サプライ)、柿崎真英、中村こより 撮影=オカダタカオ、加藤昌人、中込 涼、門馬央典、パンチ広沢(アート・サプライ)、柿崎真英、中村こより

扉を開けるともう独特の雰囲気が広がっています。1Fはカウンター席。2階へどうぞ!と言われ一面本の壁にそいながら2階へ上がるとそこでもずらりと並ぶ本。忍者屋敷のような仕掛けのお手洗いも必見です♪ お客さんもほとんどが読書楽しんでいらっしゃいます。物珍しそうにお店を楽しんでいるのはわたしたちだけだったかも。

階段を上がり扉を開けると素晴らしい空間が広がる「珈琲舎 蔵」。そして迎えてくださるのは黒い蝶ネクタイをしたマスター。お客様として大切に迎えてもらっていると感じます。丁寧に入れてくださった珈琲とケーキをじっくりと楽しみました。カウンターに並ぶWedgwoodの器もアート。店内もアートに溢れています。足を運びたくなるお店です。