『ミロンガ ヌォーバ』古き良き昭和の面影を残す神保町の名喫茶
神保町駅から徒歩2分。1953年に誕生したアルゼンチンタンゴと世界のビールを楽しめる喫茶店『ミロンガ ヌォーバ』は、姉妹店の『ラドリオ』(1949年創業)や近隣の『さぼうる』(1955年創業)らとともに、都内屈指の名喫茶として知られる。2023年2月、元の店舗から40mほどの場所に移転オープンした。
「旧店のものを可能な限り持ってきた」という店内の雰囲気も、魅力的なメニューもそのまま。オーダーが入ってからハンドドリップするコーヒーは、ウェッジウッドのカップで提供される。カフェ・オ・レやカフェラテ、紅茶やピザなどの軽食、甘いものも充実。もちろん、世界のビールも。
創業当時の面影を残す店内でひときわ存在感を放っているのは、カウンター席にあるレンガの壁だ。改装の過程で昭和時代の古いレンガが出現したという。まるで遺跡のようなエピソードだ。
昭和の空気感を残しながらも、カウンターにはコンセントが付き、Wi-Fiも導入。時代に合わせて進化もしている。
『ミロンガ ヌォーバ』店舗詳細
『神田伯剌西爾』民芸調の店内で味わう骨太コーヒー
白のれんを頼りに地下へ潜れば、まさかの和の風情。障子ごしの明かりを土っぽい壁が受け止め、丸太の柱、太い梁、囲炉裏まで備えている。カウンターでドリップするのは、店長の竹内啓さん。学生時代に自家工房で焙煎する豆に惚れ、そのまま30年近く、コーヒーを淹れ続けることに。まずは店の顔、神田ぶれんどを。マンデリンも配合され、しっかりした苦味のあと、立ち上る甘みにため息。
『神田伯剌西爾』店舗詳細
『味の珈琲屋 さぼうる』60年以上変わらぬ店にもある楽しい変化
トーテムポールが出迎える木を多用した店構えは山小屋のよう。1955年の創業時から外観はもちろん、半地下と中2階のある入り組んだ造りも変わらない。「でも結構変わっていますけどね。表のヒマラヤスギも去年、やむを得ず切ってしまったし」と正社員の伊藤雅史さん。メニューでは、4色あったクリームソーダにグレープとオレンジが加わり6色に! 「でもこれで限界ってことはないですよ」と不敵な笑み。いつかまた増えるかも!?
『味の珈琲屋 さぼうる』店舗詳細
『ラドリオ』歴史の重みと渋さの中に、柔らかな空気
生クリームホイップがなみなみ盛られたウィンナーコーヒー。その発祥地としても知られる1949年創業の店。レンガ積みの内外装に、高さが不ぞろいの丸釘のような木のカウンター席が印象的だ。17時までランチセットがあるのも魅力で、ボリュームたっぷりのナポリタンが食べられる。「麺は固めで、トマトソースにタバスコを入れるのがポイントです」と7代目店長の篠崎麻衣子さん。店の渋さとは裏腹に、店員はみな女性で柔らかな空気感にホッとする。
『ラドリオ』店舗詳細
『カフェ・トロワバグ』オールドビーンズとネルドリップを貫いて40年以上
創業は1976年。フランス語で“3つのリング”を意味する店名は、創業者の名字の“三輪”にかけたというが、「コーヒーとお客様と私たち店員も表すそうです」と2代目店主の三輪徳子さん。ネルドリップとコクテール堂のオールドビーンズを創業以来貫くコーヒーは、その甘みに驚く。「ワインと似ていて、温度が下がるうちに味がまろやかになるんです」。ワイン好きが高じて、2018年、神泉にワインとコーヒーが楽しめるスタンドもオープンさせた。
『カフェ・トロワバグ』店舗詳細
『GLITCH COFFEE & ROASTERS』世界基準の焙煎技術が生み出す味
2015年4月にオープン。ハンドドリップでいれるコーヒーがすべて浅煎りなのは、「豆の個性を生かし、風味をしっかり感じさせるため」と、オーナーの鈴木清和さん。味や香りはカップの形状でも変化するため、オリジナルのカップを用意。豆は、ドイツから取り寄せたPROBAT社の機械で焙煎。火の入れ方などは毎回データで管理し、国内外のバリスタとも技術共有して世界基準の味を提供している。
『GLITCH COFFEE & ROASTERS』店舗詳細
『CHEKCCORI』ハングルを読めない方もどうぞ!
「新しい韓国の文学」シリーズを出版する『クオン』が、“読者とふれあいたい”との思いから、2015年7月にカフェを開設した。本棚に並ぶのはハングルで書かれた文芸書や実用書、日本語によるガイドブックなど。韓国の文化や本について店員に質問しながら本を読んだり、現地をイメージしつつ旅の計画を立てたり、楽しみ方は十人十色だ。「お客様と一緒にお店を創っていきたい」と代表の金承福さん。「だから、違う店みたいに変わっちゃうかも。ウフフ」。
『CHEKCCORI』店舗詳細
『ブックカフェ二十世紀』店名に込めた意味は「20世紀の記憶装置」
人気古書店『@ワンダー』に併設されたカフェ。文学や芸能、食文化、サブカルなど20世紀を象徴する本が揃う。約35年前早稲田で創業した当初、店はサロンも兼ね、頻繁に読書会を開催。その後販売に絞ったが、2015年6 月、20余年ぶりにカフェを始めた。「初心に帰り、本を介して人が交わる場所を創りたいと思ったんです」とは店主の鈴木宏さん。「食事しながらだと気兼ねなくゆっくりできるから」と料理も手抜きなし!
『ブックカフェ二十世紀』店舗詳細
『ESPACE BIBLIO』本の森に迷い込んだ探検家のごとく
雑踏を離れ、地下へ続く階段を下りると、そこは異空間。緑あふれる中庭が見え、立ち並ぶ本棚に約6000冊の蔵書がひしめく。天井に向かって書棚がにょきにょき。その合間を"小宇宙"ととらえたテーブルが埋めている。不揃いの椅子、異なる照明を設け、座る場所で気分が変わるから不思議だ。「自分のうちでも、会社でもない空間を作りたくて」と話すのは、デザイナー兼写真家の齋藤芳弘さん。資料として集めたアートブックは、絶版、稀少本も多く、「本は読んでこそ価値あるもの」と一般開放している。都心とは思えぬ木漏れ日の下で愉しむ、テラスでの読書の時間も、なんかいい。
『ESPACE BIBLIO』店舗詳細
構成=前田真紀 取材・文=佐藤さゆり(teamまめ)、下里康子、佐久間春奈・加藤桐子(風来堂)、野田りえ、信藤舞子、パンチ広沢(アート・サプライ) 撮影=オカダタカオ、加藤昌人、中込 涼、門馬央典、パンチ広沢(アート・サプライ)
扉を開けるともう独特の雰囲気が広がっています。1Fはカウンター席。2階へどうぞ!と言われ一面本の壁にそいながら2階へ上がるとそこでもずらりと並ぶ本。忍者屋敷のような仕掛けのお手洗いも必見です♪ お客さんもほとんどが読書楽しんでいらっしゃいます。物珍しそうにお店を楽しんでいるのはわたしたちだけだったかも。
階段を上がり扉を開けると素晴らしい空間が広がる「珈琲舎 蔵」。そして迎えてくださるのは黒い蝶ネクタイをしたマスター。お客様として大切に迎えてもらっていると感じます。丁寧に入れてくださった珈琲とケーキをじっくりと楽しみました。カウンターに並ぶWedgwoodの器もアート。店内もアートに溢れています。足を運びたくなるお店です。