観光地みやげの代表格、スノードーム
この「いかにも土産物」の一つが、スノードームではないだろうか。透明な液体が満たされたガラス球の中にミニチュアが配置され、ひっくり返すとパウダーが雪のように舞う、あの置物である。日本に限らず世界各地の観光名所で土産物として作られ、愛好家も多い。最近ではオシャレグッズとしても作られ、高値で販売されているものもあるが、そうしたオシャレに寄らない土産物スノードームがまだまだ日本各地の観光地には残っている。
私がオシャレなスノードームか否かを判断する一つの基準は、台座である。カラフルな台座に、さまざまなモチーフが彫り込まれているものは、オシャレだ。
一方「いかにも土産物」の場合、台座は黒いプラスチック製で、観光地の名前がバーンと記されているものが一般的である。
しかしオシャレなカラフル台座であっても、中身のミニチュアがトンチキなものもあって、そうしたトンチキさを味わう楽しみも捨てがたい。
黒プラスチック台座のスノードームは、やはり古くから有名な観光地の土産物店に生息していることが多い。京都に行くと、金閣寺・銀閣寺のスノードームを発見することができる。
奈良・興福寺近くの土産物店では、鹿や興福寺の五重塔を詰め込んだスノードームが売られていた。
特産物がモチーフになる場合もあるが、
スノードームの題材として圧倒的に多いのが建物、特に城と塔である。
こうした城や塔のスノードームは「いつでも売っている」という安心感から、「また来た時に買おう」ということで購入を後回しにしがちだ(少々重いということもあり)。私も、各地の城でスノードームを目にしながら、未だに城スノードームを一つも入手していない。
しかし、城や塔にもオシャレの波は忍び寄ってきているのである。
例えば京都タワーの下層階には昔ながらの土産物店が軒を連ねていたが、4年前に全面リニューアルし、オシャレなショップばかりになった。その結果、京都タワースノードームが忽然(こつぜん)と姿を消してしまったのである。「いかにも土産物スノードーム」は見つけた時に買え、というのが現在の私のモットーだ。
東京タワーは「東京スノードーム」の宝庫だ
とはいえ、このコロナ禍において、なかなか全国の観光地に赴くことも難しくなっている。しかし近くにこそ「いかにも土産物スノードーム」は潜んでいるかも知れないのだ。
東京在住の私の場合、そうした土産物に最も出会える場所が東京タワーである。2階の「おみやげたうん」には昔ながらの土産物店が並んでおり、遠くに行かずとも旅行気分が味わえたものだ。私が所持している東京スノードームは、いずれも東京タワーの土産物店で購入したものである。
こちらも2021年初めに全面リニューアルし、多くの店が閉店となったが、数店舗は営業を続けている。ぜひともスノードームは販売し続けてもらいたい。
早くコロナが収束し、また各地の土産物店で「いかにも土産物スノードーム」を発見したいという思いを抱きながら、自由の女神と力士と国会議事堂が並べられたスノードームをひっくり返してみたりするこの頃である。
画・写真・文=オギリマサホ