御茶ノ水・神保町・神田の基礎知識
御茶ノ水駅の北には神田明神と湯島聖堂があり、街並みにも落ち着きが感じられる。一方、南は明大、日大、専修大を擁する学生街であり、楽器店街でもある。若者の姿が多く、街に活気を感じられる。線路を隔てて南北でまったく表情が異なるのが面白い。
明大通りの坂を下れば靖国通りに出る。通りの南側は本好きを魅了する神保町古書店街。周辺は飲食店も多いグルメタウンでもある。神田方面に進めばスポーツ用品店が立ち並ぶ。このエリアは、歩を進めるたびに街の様子が変化する。食いしん坊なら、神田須田町一帯に残る老舗飲食店も見逃せない。グルメ雑誌の常連ばかりで、店選びも迷ってしまいそうだ。
1 神田明神(神田神社)
朱塗りの社殿は登録有形文化財
天平2年(730)創建。江戸時代、江戸の表鬼門を守る江戸総鎮守として篤く信仰された。神田・日本橋・大手町・丸の内など日本の都心を守る氏神様である。2年に一度斎行される神田祭は江戸三大祭の一つ。
2 湯島聖堂
敷地全体が国の史跡に指定される
徳川5代将軍綱吉が儒学振興のために元禄3年(1690)に創立した聖堂。寛政9年(1797)に幕府直轄の昌平坂学問所を開設。近代教育の発祥となる。
3 ニコライ堂
明治中期竣工の東京復活大聖堂
日本に正教会を伝道したロシア人大主教ニコライの名に由来する。日本最大のビザンチン・リバイバル様式建物で国の重要文化財。
4 明治大学博物館
拷問・刑罰具の展示が珍しい
伝統的工芸品を中心にした「商品」、法と刑罰について解説する「刑事」、旧石器時代から古墳時代の出土品を展示する「考古」の3部門からなる。
5 阿久悠記念館
歌謡史に名を刻む作詞家の記念館
歌謡史に名を刻む作詞家の記念館
さぼうる
レンガ壁の落書きが歴史を語る
山小屋のような外観、3層に分かれた店内は洞窟のような空間。大粒イチゴを4〜5粒使ったいちご生ジュース600円が名物。隣接する『さぼうる2』では超大盛のナポリタン750円を。
6 神保町古書店街
本好きの宝箱、世界一の本の街
明治10年(1877)頃、近くにあった法律学校の学生のために書店ができたのが始まり。大正時代に『岩波書店』の創業者・岩波茂雄が古書店を開店させて以来、現在のような街並みになっていった。現在は、約180店の古書店があり、世界にも例を見ない本の街を形成している。
7 本と街の案内所
古書探しなら、まずはここに!
古書店や飲食店など、神保町の情報もここに来れば探すことができる。パソコンでの検索のほか、常駐するスタッフに聞けば、きっと探している情報がみつかるはず。
8 須田町レトログルメ街
老舗が立ち並ぶグルメ街
神田須田町は戦災から免れたため、戦前の建物が残されている。このエリアには『かんだやぶそば』『まつや(そば)』『ショパン(喫茶)』『竹むら(甘味)』『ぼたん(鳥すきやき)』『いせ源(あんこう)』『松栄亭(洋食)』など、江戸〜昭和初期に開業した飲食店が点在し、グルメ街を形成している。
三燈舎
カレーの街の南インドカレー
シェフの出身地である南インド・ケララ州のミールス(定食)や軽食を中心にした南インド料理店。3種の日替わりカレーとラッサム、サンバルが付く平日ランチのミールス1200円。
9 旧万世橋駅
明治時代の旧国鉄の駅舎跡
万世橋に隣接するレンガ造りの建物は旧万世橋駅。明治45年(1912)に造られたホーム部分や階段が残り、館内には万世橋駅ジオラマ模型を展示。
【街探検】神田古書店街を歩く
本好きの聖地には、軟派も硬派も魅了する専門店がひしめく
神保町は、世界最大の古書店街。この街の古書店の特徴は、各店が専門分野を持っているということ。大学教授や専門家が求めるような学術性の高いものから、アイドルや漫画、さらにアダルト系など、その分野は多岐にわたる。
『大屋書房』は古地図・浮世絵が専門。店内はまるで資料館のようだ。『呂古書房』は珍しい豆本の専門店。『古書BIBLIO』はスポーツ系が中心でスター選手のサイン色紙もある。
『ボヘミアン・ギルド』は美術・版画などが中心で、店内には椅子もあり、のんびり本選びができる。『ARATAMA新店』はアイドル系中心で、80年代のアイドルの写真集なども多くそろう。
また、毎年秋には神保町ブックフェスティバルや神田古本まつりも開催される。神保町は本好きにとっては、宝探しのような魅力満載の街だ。
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より