川崎市(右)とメキシコの地図。大きさ、方位は違えど、形はそっくり!
川崎市(右)とメキシコの地図。大きさ、方位は違えど、形はそっくり!

食べ応えに腹いっぱい、胸いっぱい『EL TACOS(エルタコス)』

人気のおまかせ3種1400円。
人気のおまかせ3種1400円。

「本場の味を地域の皆さんになじむようアレンジしてます」と、店主の川村紀彦さん。メキシコ産マサ粉のコーントルティーヤにはあふれんばかりの具材がどどん! サルサをたっぷりのせ、ライムをひと搾り。手づかみでがぶりとかじりつけば、コーンとパクチーの芳香がふわっ。チキンのみっちり食感にも頬がゆるむ。鼻腔を抜けるサルサの爽やかな後味が食欲を再燃。次の1枚へと誘(いざな)われて、止まらねえぜ。

豪快に平らげるのがメキシコ流⁉
豪快に平らげるのがメキシコ流⁉
大通りから入った横路地に。持ち帰りやデリバリーも。
大通りから入った横路地に。持ち帰りやデリバリーも。
住所:神奈川県川崎市川崎区貝塚1-10-15 田中マンション102/営業時間:11:00~15:00・17:00~22:00/定休日:水/アクセス:JR川崎駅から徒歩12分

売り場の風情はメキシコそのもの『LA MALINCHE TIENDA CULTURA(ラ マリンチェ ティエンダ クルトゥーラ)』

メキシコの旅行会社に勤める牧野一太朗さんが、現地で買い付けた雑貨を生家の婦人服店『すみれ』に展開。「日本の日常に溶け込むものを」と、色彩豊かな小物からクールなアパレル、面白プロレスグッズまで幅広い。なかにはトルティーヤウォーマーなる珍品も。牧野さんは「日本では鍋敷きに使うお客さまもいて、それもアリだなと」と笑う。漂いまくる旅情感に、財布の紐(ひも)がゆるんじまうねぇ。

トルティーヤを蒸らすトルティーヤウォーマー。
トルティーヤを蒸らすトルティーヤウォーマー。
住所:神奈川県川崎市川崎区東田町10-40 三木ビル1F『すみれ』内 /営業時間:9:00~18:00/定休日:日/アクセス:JR川崎駅から徒歩8分

走れ! 転がれ! 楽しく鍛えよ!『ヒートアップ道場』

「お客さまを巻き込んで熱くヒートアップ!」が団体訓の「プロレスリング・ヒートアップ」の道場は、一般向けのプロレスクラスが大人気。体験で受け身やロープワークに挑戦。ロープに弾(はじ)かれ、マットに転がり込めば……これはクセになる! 鍛錬を積んだ会員には“発表会”なるイベントも。「実際の試合のごとく、入場曲を流すんです」と、代表のTAMURA☆GENE☆(タムラ・ジェネレーション)さん。リングに上がる自分を妄想。なんて甘美な誘惑か!

リングでトレーニングという時点でアガるわけですよ。
リングでトレーニングという時点でアガるわけですよ。
住所:神奈川県川崎市多摩区菅北浦1-2-3/営業時間:13:00~22:00(土・日は10:00~17:00)/定休日:祝・不定/アクセス:JR南武線稲田堤駅から徒歩6分
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想像以上のメキシコ風情

川崎駅近くの壁画。「誰もがアートを体験」の志が「メキシコ壁画運動」と通ずる。
川崎駅近くの壁画。「誰もがアートを体験」の志が「メキシコ壁画運動」と通ずる。
NTTドコモ川崎ビルを真横から見よう。ラテンアメリカタワーそっくりだ!
NTTドコモ川崎ビルを真横から見よう。ラテンアメリカタワーそっくりだ!

何はともあれ、腹ごしらえだ。メシを食えば現地の風情を味わえるってもんさ。そんなわけで『EL TACOS』でタコスにかぶりつく。いいぞ、メキシコの風を俺は感じてる!

「川崎でメキシコ文化、盛り上げたくて」と、店主の川村紀彦さん。「祭りの日には『すみれ』の前で出店を出すんです」。その『すみれ』には『LA MALINCHE TIENDA CULTURA』のメキシコ雑貨がズラリ。あれ? もしや本当に「川崎 de メキシコ」、キテる?

「これ、かぶって帰る人もいるんです」と、差し出されたのはレスラーのマスク。メキシコったらプロレス(ルチャリブレ)だもんね。こんなん衝動買いしちゃうよね。こりゃプロレスもやらなきゃ噓だ。ならば『ヒートアップ道場』の門を叩たたくしかあるまい!

「いいですよぉ」「頑張って!」

一緒に練習する会員さんの応援にファイティングスピリッツが滾(たぎ)る。最高だぜ、アミーゴ!

しかし思い付きで始めた旅だが、想像以上にメキシコ風情を味わえたもんだ。「川崎 de メキシコ旅」はべらぼうにアツい!

川崎大師の参道は彩り豊かなメキシコの街っぽい?
川崎大師の参道は彩り豊かなメキシコの街っぽい?

取材・文=どてらい堂 a.k.a.メキシコに行ったことのない男 撮影=井上洋平
『散歩の達人』2025年4月号より

2011年にできた『川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム』は川崎市民にとっておなじみの場所。でも、実は知られていないこだわりがたくさん詰まっている。何度もミュージアムを訪れているライター半澤が魅力を深堀り!
おむすびのザ・定番型といえば、三角おむすび。実はこの形、ひょんなことから江戸期の川崎宿で生まれ、上様のお褒(ほ)めにあずかった葵の御紋むすび伝説をもつ。そして今や、食べて、歌って踊って、街を活気づけていた。
川崎、武蔵小杉、溝の口を結ぶ沿線の街は、メーカー本社や工場が点在する大企業のお膝元。「目立たない路線」と揶揄(やゆ)する声もあるが、各駅に商店街が延び、昭和の下町感をも漂わせる。とはいえ昨今、おだやかに新風が吹いているようで……。