奥谷道草(達人)の記事一覧

奥谷道草
達人
奥谷道草
ライター
東京生まれ。MOOK『散歩の達人 台湾さんぽ』を執筆。都心部の道草散歩歴は半世紀あまり。月刊「散歩の達人」で独特のセンスと経験を駆使し、散歩ライターとして雑貨を中心に、喫茶・エスニックなどの企画を取材執筆。2010 年から台湾に夫婦でハマる。以後二人して中国語を学びつつ、主に首都台北をはみだし、各地方の魅力ある街あるきを模索散策。書籍は15 年『オモシロはみだし台湾さんぽ』、18 年に続編にあたる『もっとオモシロはみだし台湾さんぽ』を上梓。
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【恵比寿vs中目黒】ご近所観察10番勝負!~お隣同士のエリアを比較調査~
お隣さん同士の恵比寿と中目黒は、どこかしら土地柄が似通っている。とはいえ全く同じというわけではない。元祖「恵比寿」「中目黒」エリアを散策、適当に10項目にふり分け、違いを重箱の隅つつく精神で探ってみた。取材・文・撮影=奥谷道草
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神楽坂の坂上いぶし銀横丁の謎。コアな人とモノが集まる「一水寮」文化圏は世界を見すえる
神楽坂駅1A出口を出て前方右手、ひとつめの脇道に入る。神楽坂の坂の上は裏通りに一本入ると静かな住宅エリアが広がっている。脇道の渋い魚屋の先、トタン張りの民家脇の目立たない私道へ左折。細く折れ曲がった道をくねって進んで行くと道が開け、年季の入りまくった2階建て木造家屋が目に飛び込んでくる。脇に丁寧にリヤカーまで立てかけてあって、まるで昭和中期に迷いこんだかのよう。駅前のすぐ裏手にこんな白日夢の空間が潜んでいようとは……最初、いきなり目にすると少なからず驚くはず。通称「よこみち通り」に鎮座するこの建物は、「一水寮(いっすいりょう)」という。しかし、壁に文化庁・登録有形文化財であることを示すプレートが取り付けてあるだけで、看板らしきものも説明もない。中に人の気配はあるが玄関口は閉ざされ、周囲の静けさも手伝ってどことなく敷居が高い。メガネ店と料理店が隣り合っているが、こちらもひっそりとして入りにくい雰囲気。私道を隔てて並ぶ同じくらい年季の入った平屋のお屋敷ともども独特の雰囲気を醸しだしている。ここって何なの? 地元民のひとりとしても長く気になっていたのだが、今回全貌を掴む機会に恵まれた。紹介していこう。
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台湾人が詰めかける街角の絶品“購買部”。新宿『合作社』の軽食は、感嘆と郷愁の味
海外の美味をそのまま日本に持ち込むのは、料理店の場合、意外としんどい。その味がお客さん=不特定多数の日本人に支持されなければ、商売として立ちゆかないからだ。いつしか姿を消してしまったり、受け入れられやすいよう魔改造の洗礼を受けたりするケースが少なくない。台湾料理もしかり。約20年前、台湾の有名ルーロー飯チェーン「髭鬚張魯肉飯」が上陸、本場の味をリーズナブルに供していたが、時代が早すぎたのか消えてしまったし(金沢店のみ営業)、一方で台南発祥の担仔麺を魔改造しまくった「台湾ラーメン」は定着するなど、本場の味を貫くのは一筋縄でいかないのである。『合作社(フゥズォシュア)』の店主、黃さんも昨年2021年のオープン当初、不安にさいなまれたという。だが時は台湾ブームの最中。現地そのままの味にこだわりまくった『合作社』の小吃(シャオチー)=軽食は、当たり前のように受け入れられた。まず在留台湾人の間で話題になって瞬く間に広がり、日本人のコアな台湾好きが追随、巡礼地のひとつと化しつつある。実際、台湾で食べ歩いたことがある人ほど、この店のスゴ味に感嘆と郷愁を覚えるはずだ。
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台湾タロイモ・スイーツの時代が到来か?基隆の老舗が東京上陸!人形町『連珍』
台湾北端にある基隆(ジーロン)は、日本との海の玄関口として賑わった歴史を持つ台湾屈指の港街である。しばしば映画にも登場するし、岸田総理の曾祖叔父が戦前、呉服店を開いたりしてもいる。その建物は残っていて(現イタリア料理店)、近頃地元で話題になっていたりする。そんな基隆で100年を越える老舗が『連珍餅店(リェンヂェンビンディエン)』である。創業1912年。タロイモを使ったスイーツで有名な餅店、すなわち菓子屋である。台湾のセブンイレブン(日本同様わんさかある)では、この店監修の新作タロイモスイーツが毎年出回る。そのこと一つ取っても、店の知名度と実力が判ろうというものだ。この老舗の支店が2021年12月、初めて開店した。それもいきなり東京にである。開いたのは若き店主の程家旭(チャンジャーシュ)さん。実は『連珍』の3代目である。2014年に来日、日本語を習得して多摩美術大学でデザインを学び、さらに様々な研鑽を積んで今回の開店と相成った。
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コーヒー以外にも台湾美味がてんこ盛り!下高井戸の台湾コーヒー専門店『美麗 MEILI』
旅行ガイドなどで台湾の飲み物といってまず紹介されるのが「台湾茶」であろう。旅先で雰囲気ある茶芸館でまったりなんてのは定番のお楽しみ。しかし台湾の美味しい飲み物はお茶だけではない。お茶が採れるんだから同じく茶葉で作られる紅茶だってある。そもそも我が国の老舗紅茶ブランド「日東紅茶」は、戦前まで台湾で製造されていた。品種改良が進んでいるし、味・質ともに上々で目が離せない。そしてコーヒー豆も採れる。台湾はよいコーヒー豆の育つ立地条件を備えていて、日本統治下の大正時代、台湾総督府が天皇への献上したことを皮切りに盛んに栽培された。戦後、競合する他の原産国の量と値段に圧倒され低迷していたが、21世紀に入り再び世界的に注目され、少しずつ生産量も増えている。産地ごとに味のバリエーションも豊か。品質の高さは世界的品評会などでも折り紙付き。台北には『森高砂咖啡』という台湾コーヒー専門のカフェまである(おすすめ)。一方まだ大量生産とまではいかないので、台湾でもどこでも飲める店は多くない。ましてや日本では存在そのものが知られていない。そこで『美麗 MEILI』の登場である。
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台湾ローカルの家庭味に浸れる貴重店、ここにあり。浅草橋『家豆花』
江戸時代から続く老舗人形店を筆頭に、アクセサリーや梱包用品などの問屋が大小軒を連ねる浅草橋駅周辺。商売の街らしい、気取らぬ活気が心地よい下町エリアである。そのただ中、駅前の江戸通りぞいにあるのが『家豆花(ジャードーファ)』。この場所にあるのは、店主らの地元だからにほかならない。
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台湾愛の染みこんだ情熱のうまメシ・魯肉飯を、三軒茶屋『帆帆魯肉飯』で
『帆帆魯肉飯(ファンファンルーローハン)』の店主・唐澤さんは音楽的にも台湾通で、店内にはいつも台湾インディーズが抑えめに流れている。ことにお気に入りは「拍謝少年(パイセーシャオニェン)」だ。抜けのいい重厚なリズムに乗せ、台湾に根ざした人生を力強く唄い上げる彼らは、実力派ロックバンドである。2021年に日本盤CDも発売された最新作のMV「踅夜市(夜市をぶらぶら)」は、散歩好きにもおすすめの一曲。夜市は方々で毎晩開かれている台湾観光の定番。このMVは有名な台北「士林夜市」でロケされていて、観るだけで台湾さんぽの楽しさの一端を味わえる(日本語字幕付き)。「拍謝少年は私の英雄なんです。会社員をしながら音楽を続けて、ついに自分たちの音楽会社を作って専業になった彼らのストーリーを私も会社員をしながら間借り営業をしていた時に何度も繰り返し読んで頑張りました」そう語る唐澤さんの魯肉飯(ルーローハン)愛は半端ない。
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飯田橋・牛込神楽坂散歩コース!絶景奇景ほっこり穴場を上り下りする、神楽坂下さんぽ
飯田橋から神楽坂にいたる丘陵地帯は、ビジネスマンや観光客が足しげく訪れる繁華街。江戸にさかのぼる渋い街並みと、新たな絶景ポイントとの取り合わせが楽しい。
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達人考案、神楽坂・江戸川橋散歩コース!地元感満載の裏筋に新スポットを探る、神楽坂上さんぽへ
大久保通りから先の神楽坂は地元の住宅エリアだが、江戸川橋方面の裏手に新しい店が次々誕生中。庶民的な住宅地をゆるゆる歩くと、新たな顔が見えてくる。
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要町『台湾早餐天国/TSUMUGU CAFE』の、台湾の食文化が育んだ「意識しない系」ベジ美食でゆったり週末モーニング。
タピオカティーに豆花、ルーローファン、台湾カステラ等々……なじみやすい台湾の美味が続々上陸しているのは、ご存じの通り。一方、台湾にはいまだ知られざる美味がまだまだ残っている。代表格が「素食(スーシイ)」であろう。字面だけ見ると、一杯のかけそば的な質素な雰囲気がずずっと漂ってきそうだけど違います、日本の精進料理にあたる、ベジタリアン料理のことあるよ。台湾は約10人に一人がベジタリアンという、世界第2位のベジタリアンの宝島でもある(1位はインド)。それゆえ、素食がスマホのごとく日常生活に溶け込んでいる。どの街に行っても「素食」を看板を掲げる店があり、ざっくりした露店から繊細な味わいの高級店まで、味も種類も豊富。日常の一部だから、健康志向が特に高くない人も何気なく食べている。精進料理的な堅苦しさも基本的にない。中華を基本に、和食・洋食にスイーツまでなんでも素食で食べられて、しかも年々進化を続けているのだからオモシロい。興味があれば、そのあたりの様子は、台北にある素食の名店を紹介する記事をご参照いただきたい。
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