謎のゾンビ自販機

新橋駅周辺の自販機の普及率は高い。お隣の銀座では目抜き通り(国道15号線)に一台も見当たらないのだから雲泥の差である。どちらが雲なのかはともかく今回、銀座線新橋駅を中心に、JR新橋駅両側の広場および銀座8丁目の南端まで探ってみた。まず目に付くのは自販機(飲料系)がコインロッカーと共にあちこちに並んでいる姿だ。新橋はロッカーも多いと覚えておくとそのうち役に立つかもである。また自販機の年代にも幅がある。準備中の台が並ぶ駐車場があれば、いまだにガラケー赤外線通信機能付きの自販機も現存しているだからビックリだ。ただし全て「売り切れ」の表示でちょっと不気味ではある。

商品見本は新しめ、電源も入っているが全て売り切れ中の博物館的名品。
商品見本は新しめ、電源も入っているが全て売り切れ中の博物館的名品。

お札&お守り自販機

メーカー直営タイプの自販機が点在しているのも特長だろう。ヤクルト本社ビル前には自社製品専用の自販機、『とんかつまるや』入り口脇の冷凍とんかつサンド、JR駅前にはつけめんで名高い『六厘舎』の中華つけ麺、ぎょうざなどの冷凍食品を販売といった具合。試してみたが、いずれも味は本格派でうまい。さらに「メーカー直営」でくくってしまうのもなんだけど、風水で一世を風靡(ふうび)したDr.コパが2023年3月、コパショップ銀座脇に新設された神社三宅宮には、お札の自販機まである。7種類1000円・2000円でお札と浄めの塩(高い方は招運の手ぬぐい付き)を収めた小箱が頂ける。塩は、境内で方位を示す石柱へ作法通りに触れると、運勢ますますアップである。

ボディーから金色で見るだけで霊験あらたかそう。各種カード払いも可。
ボディーから金色で見るだけで霊験あらたかそう。各種カード払いも可。

格安チケット自販機

新橋は駅前のレトロなビル内も油断できない。ニュー新橋ビルには、金券ショップ脇に1本50円~の激安ドリンク自販機、それとは別の場所に湘南地域限定の湘南クッキー販売機があるのも珍しいが昆虫食も一緒に販売しているあたりがミステリアスだ。あるいは新橋駅前ビル2号館には上段に防災用具を展示品風に納めた空き缶回収ボックス、脇のロッカーゾーンに列車の格安チケット自販機もあり。これが新橋ならではの芸風か!

列車の格安チケット自販機が成り立つあたりがサラリーマンの聖地なり。
列車の格安チケット自販機が成り立つあたりがサラリーマンの聖地なり。

【クセつよ自販機コレクション】

ヤクルト専用自販機

人気のヤクルト1000ほかヤクルト製品が充実の品揃えの穴場的自販機。

街角の激安自販機

全部100円のはずが110円も混ざり込んでいる。不況の波がここにも!?

渋ビルの激安自販機

50円〜でもSECOM警備付。書き添えた「マジっす。」の台詞もイカス。

準備中の新品自販機

100円〜を掲げているが、中の値札は130円で統一する意図は何ぞや?

ゴミ箱と防災用具

缶入れと防災用具の取り合わせは60年代あたりの現代アートの風格。

とんかつ屋の冷凍カツサンド

店の定休日でも利用可。肉厚でさくさくの本格派を手軽に味わえる。

六厘舎の中華つけ麺やぎょうざ

調理にはひと手間かかるが、それだけにうまいし、ボリュームもある。

クッキー&昆虫食自販機

ビル1階占いコーナーに設置というロケーションからクセ物感ありあり。

取材・文・撮影=奥谷道草
『散歩の達人』2023年12月号より

相模原市にある『中古タイヤ市場相模原店』が、「レトロ自販機の聖地」として注目を集めている。レトロ自販機とは、コンビニが普及する前の昭和40~50年代に活躍した、うどんやそばを中心とした食品を自動で調理する販売機のこと。タイヤ販売店になぜ自販機なのだろうか? 同店の齊藤辰洋社長に話を聞いてみた。
薬局の軒先、錆びついた白い箱に「ファミリープラン」の文字。誰からも褒められず、頼られず、愛されず、それでも健気に誰かの愛を応援している……そんなコンドーム自販機たちの実態と行く末に迫ります。