喫茶 蔵

建物の来歴にじっくり思いを馳(は)せる

蔵の奥にあるテーブル席は、建物の重厚感も、カウンターの景色も両方楽しめる特等席。蔵の入り口には、金網の格子引き戸が当時のまま。

大正12年に「大倉屋質店」として創業。帳場だった場所をカウンターにし、その中で和服姿の女将、この質屋の娘である大和田公子さんがコーヒーを淹れる様子は粋だ。常連客が多い時はとりとめもない話題に花が咲く。漏れ聞こえる会話に、こちらも心の中でうんうんと頷(うなず)いたり、感心したり、まるで落語でも聞きに来た気分。壁掛け時計や電話機など骨董品はどれもいただきものだそう。「私以外の古いものはみんな人からもらったの」なんて所々にオチがついて素敵。

建物には家紋や当時の屋号が残る。
ホットコーヒー500円、アイスコーヒー520円。

『喫茶 蔵』店舗詳細

住所:東京都足立区千住1-34-10/営業時間:10:00~18:00/定休日:日・祝/アクセス:JR・私鉄・地下鉄北千住駅から徒歩4分

cafe・わかば堂

あえてカフェという肩の力が抜けた選択

本日のキッシュプレート1045円はランチタイム限定。スープとサラダ、ドリンク付き。パンも自家製。

数人のグループで訪れ、楽しい時間をみんなで共有する。あるいは一人で訪れ、五感を稼働してじっくり味わう。幅広い客層を受け入れてくれる、それがカフェ。とはいえここのキッシュはしっかりしたレストラン級だ。ずっしりしたパイ生地は側面サクサクで、口の中でほろりと崩れる。ちなみに時折店内の建具を変えたり、ペンキを塗ったり、スタッフ自ら日曜大工を施すのだそう。だから親しみやすいのか。レストランではなく、カフェであってくれるのがうれしい。

アンティークが飾られ、パリの下町のような雰囲気。真空管アンプが音楽を奏でる。
路地裏の古民家をリノベーション。

『cafe・わかば堂』店舗詳細

住所:東京都足立区千住1丁目31-8/営業時間:12:00〜23:00LO(日・連休最終日は〜20:00LO)/定休日:不定休/アクセス:JR・私鉄・地下鉄北千住駅から徒歩3分

Coffee Work Shop Shanty

自家焙煎店でマスター一家とコーヒー談義

ビシッとキメた順一さんだが、熟年的だじゃれ好きの一面も。ツッコミつつ「焙煎士としてはまだ敵わない」とあい子さん。親子であり、よきライバル。

「同じマンデリンでも各自こだわりがあるので違う味に仕上がります」と、父娘で焙煎を行う宮本順一さんとあい子さん。順一さんは豆の野性味を生かし、あい子さんはキレのいい苦みが理想だ。「淹れる人の人柄も味に出る気がして」と展開すると、順一さんと並んでサイフォンを操る妻のふさ子さんも会話に参戦。味わい深く、かつ口当たりが軽いアチェをおかわりしてたっぷりおしゃべりしたい。正統派純喫茶ながら気取りがないのも千住流。

アチェ500円。
赤がアクセントカラー。

『Coffee Work Shop Shanty』店舗詳細

構成=フラップネクスト 取材・文=信藤舞子 撮影=内田年泰