湯気立つ幸せたまごサンド『エスポワール』[門前仲町]
「卵が熱いって言うまで静かに待つんです」とガスコンロに向かうマスターが言えば、その横で「トーストにも絶対使いません」と常に最高の切れ味を保った専用包丁で食パンを切る奥さん。先代直伝のレシピを守り、メニューも増やさない。いつも笑顔、いつも仲良しだから、いつもほっかほか極上の玉子サンドが、あっという間に出てくる。この優しい味と色合い、ふくよかな厚みと柔らかさは、この明るいチームプレーから生まれるのだ。
『エスポワール』店舗詳細
変わらぬ味と佇まいで半世紀『みどり屋』[住吉]
ドアを開けるとタイムスリップしたような下町純喫茶。「これが壊れたら店を閉めます」とママさん自慢のガスオーブンは、昭和33年の創業時に取り付けた特注品。このベテランマシンを知り尽くした母娘だからこそ、先代の考案した味をそのまま出せるのだ。こだわりのウインナー、和えた千切りキャベツをドッグパンに挟んで焼くというセンスが、どこか懐かしい味と食感を持った一品になる。深煎りコーヒーと共に召し上がれ。
『みどり屋』店舗詳細
ホットケーキはケーキである『小野珈琲』[森下 ]
「おいしいもの、良いものを出したい!それだけです」と言い切る小野さんは、喫茶店歴30年以上の若きベテラン。昔から焼いてたホットケーキをもっとおいしくしたいと、材料の分量、混ぜ具合、温度、焼き加減……思い付く限りのレシピを試して、初めて見たお客さんが必ずおぉ~と言う、この豊かな膨らみとしっとり感を持つスタイルにたどり着いた。今まで見慣れたお手軽ホットケーキが、しっかり洋菓子だったことを再認識させる。
『小野珈琲』店舗詳細
取材・文=高野ひろし 撮影=小野広幸