老若男女を包み込む昼飲みの聖地。『三ちゃん食堂』[新丸子]
「もともとは中華屋だったんだけど、いつの間にか大衆酒場みたいになっちゃった(笑)」と2代目の中山知久さん。常連の老紳士が「うまい、(量が)多い、早い!」とほめる料理は、知久さんたちが注文のメモも取らず皿の種類で料理を覚え、手早く作るから、すぐに客の元へ。熱々のハムカツ250円や麻婆豆腐700円をビールで流し込み、恍惚顔でいると対面に座るギャルがひとこと。「ここさ、おしゃれしないで来れるし、とにかく居てラクなの!」。
『三ちゃん食堂』店舗詳細
焼き鳥の巻き物を考案。『炭火焼 仲』[武蔵小杉]
断面の美しいアスパラ巻き253円はカリカリの豚バラの旨味の後にアスパラの甘みが広がり、香ばしいひな皮176円をかむと脂のジュースがあふれる。雑居ビルの奥でこんな珠玉の焼き鳥に出合えるとは! 聞くと、店主の中川欣昭(よしあき)さんは六本木の名店『南蛮亭』の創業時、焼き場を任されていたそう。「焼き鳥の巻き物を考えたのは、東京では私が初だと思います」。絶品串を安く味わうなら串7本と料理5品が付く2640円コースで!店内はテーブル含め全19席。
『炭火焼 仲』店舗詳細
元気ママと常連のやりとりに笑顔咲く。『大衆酒場 亀勢』[元住吉]
前沢紀美子ママを中心に3人の看板娘で切り盛り。「うちは心の美がモットー!」とママが言えば「でもママ、今日は妙に服もきれいじゃん。撮影だから?」と常連のツッコミが入り、空気が和む。そのママが毎朝、生麦魚河岸通りへ仕入れに行く海の幸が肴の主役。刺身盛合せは中トロクラスのマグロなどどれも肉厚で、アジフライは身がふわふわ。改良した酒燗器で熱々にしたおしぼりやそろばんでの会計など、アナログな雰囲気に心が一層温まる。
『大衆酒場 亀勢』店舗詳細
男気マスターと大人の社交場。『立ち呑み 寅さん』[日吉]
日吉で立ち飲みを6年、その後、立ちと座りの二刀流に。「働いた後日吉に帰ってくる人たちが楽しく和める店にしたいから、学生さんはお断りしてるんです」とねじり鉢巻きのマスター・曽我部裕さん。酒肴は横浜南部市場で仕入れる鮮魚やマスターの出身地・北海道の味覚である生ラムのジンギスカンなど100種以上。マスターの人柄を慕い長年通う常連いわく「大皿料理はカウンターの角の皿が当日のスター料理だから、ぜひ頼むべし!」。
『立ち呑み 寅さん』店舗詳細
酒屋+居酒屋=ハイブリッド角打ち。『三国屋』[反町]
「コンビニにするか、酒屋を続けるかで悩んで今のスタイルにしました」と店主・岩瀬光重さん。昭和9年(1934)創業、かつては24時間営業で、朝からも飲める角打ちだったが、時代の変化に合わせて現在のハイブリッドスタイルを選び、人気店になった。秘訣は数ある酒を選べるのと、料理。通常、角打ちだと乾きものと缶詰程度しか出せないのだが、各種許可をとりつけ、漬物からステーキまで日替わりで20種類ものメニューをそろえている。
『三国屋』店舗詳細
潮風に吹かれて岩ガキで乾杯。『キンカウーカ グリル&オイスターバー 横浜ベイクォーター店』[横浜]
ベイブリッジを望む広いテラスは約20卓あり、夜景を満喫できる特等席だ。自慢の食材は、日本各地の生産者が丁寧に育てるカキで、より安全に提供するために、自社施設にて特許技術で浄化殺菌している。春から夏は、岩ガキ、秋から春先までは真ガキ。時季で変わる産地&銘柄もお楽しみ。殻からはみ出んばかりの身にレモンを搾って、一気にツルンといこう。
『キンカウーカ グリル&オイスターバー 横浜ベイクォーター店』店舗詳細
取材・文=鈴木健太、フリート横田、teamまめ(佐藤さゆり、信藤舞子、松井一恵) 撮影=丸毛透、本野克佳、泉田道夫、井原淳一