この金属缶は、上部の絵柄部分にラインストーンが付けられており、光の加減でキラキラと光る(そのためキラキラ缶と呼ばれる)。中のラムネ菓子を食べ終わった後はピルケースや小物入れとしても使うことができ、ちょっとした土産物にも最適だ。
野球グッズに限るのかと思いきや、そんなことはない
当初、私はこのキラキラ缶を野球グッズに限られたものと思っていた。各球場のグッズ売り場に行けば、それぞれの球団のキラキラ缶が販売されていたからである。
ところがふと気が付いてみると、ミュージアムショップや観光地の売店でもキラキラ缶が売られているではないか。もしかするとキラキラ缶は、キーホルダーや置物といった土産物界の定番に殴り込みをかける存在なのではないだろうか。
まずは企画展のグッズを見てみる。2018年の「藤子不二雄Ⓐ展」(六本木ヒルズ展望台・東京シティビュー)では、代表作『笑ゥせぇるすまん』の主人公・喪黒福造の、
2019年の「マンモス展」(日本科学未来館)では丸いマンモスのキラキラ缶が販売されていた。
企画展のグッズはその時の流行りのアイテムが用意されることが多く、その点でキラキラ缶は土産物のトレンドと判断されたのだろう。
観光地土産としてはどうか
観光地で土産物として販売される場合は、ご当地の名所などが描かれることもある。
しかしキラキラ缶はサイズが小さく、面積も限られているので、やはりキャラクターの絵柄が多くなってくる。ドラえもんなどの全国区キャラクターが地域限定バージョンとして販売されることもあるが、
ほとんどは「ひこにゃん」や
「くまモン」といった
ご当地キャラが選ばれる。
会津の武家屋敷で購入した赤べこキラキラ缶は、
特定のキャラという訳ではなさそうだが、地元の郷土玩具をモチーフにしている点で、広義の「ご当地キャラ」に含めてもよいだろう。
鉄道博物館などで販売されている各新幹線をモチーフにしたキラキラ缶も、土産物としては良さそうだ。
絵柄的には子ども向けの印象だが、カラフルなキラキラ缶になることで、大人でも違和感なく持てそうである。
かくしてキラキラ缶は、各地の土産物店で一定の位置を占めつつあるように思う。今後もそのバリエーションが増えて欲しいところであるが、一つ問題がある。私のようなしみったれた人間は、「缶を持ち歩いているうちに、ラインストーンが取れてしまうのでは……」と心配になって、なかなか缶を再利用できないのである。結局各地で集めたキラキラ缶は、押し入れにしまわれたままとなり、キラキラ缶最大の長所である「使える土産物」という特徴は発揮できないままなのであった。
イラスト・文・写真=オギリマサホ