北海道名物「ザンギ」をお供に夜を楽しむ『釧路食堂』

ザンギ(骨あり)850円。骨なしもある。
ザンギ(骨あり)850円。骨なしもある。

目玉はなんといっても、北海道・釧路の『鳥松』が発祥といわれている鳥の唐揚げ「ザンギ」。釧路出身の店主・山本ごんたさんが、そのレシピを教わって2002年に開業した。鶏肉の味付けは、複数のスパイスと生姜、山椒。ウスターソースに似たオリジナルのタレをつけて食べるのが『鳥松』流だ。揚げ油のラードは注ぎ足して使うため、油だけを味見してもしっかりと鶏の風味がするそう。一般的な鶏の唐揚げとは全く異なる味わいで、ザクザクの衣は食感もあいまって香ばしく、鼻を抜ける香りにも旨味を感じる。店のメニューには、ザンギのほかにもホッケのくんせいや厚岸(あっけし)の岩ガキなど北海道の美味が並ぶ。

店主の山本さん。
店主の山本さん。
店内にはカウンター席のほか、2階には座敷席もある。
店内にはカウンター席のほか、2階には座敷席もある。

『釧路食堂』店舗詳細

住所:東京都品川区小山4-8-20/営業時間:18:00~23:00LO(日・祝は〜21:30LO)/定休日:不定/アクセス:東急電鉄目黒線武蔵小山駅から徒歩4分

サク飲みに最高なやきとりスタンド!『鳥勇 一番通り店』

セルフで保温器の上のやきとりを選び、たれをつける。
セルフで保温器の上のやきとりを選び、たれをつける。

創業約100年の老舗は元精肉店。「鶏肉を卸していたけど砂ぎもや皮、レバーがどうしても余る。それらで“ミックス”って串を作ったのがウチのやきとりの原点」と3代目。ミックスを頬張れば備長炭で焼いた皮はカリッ、レバーはふわとろで噛まずとも溶けていく。焼く際に一度たれにくぐらせているが、お客が食べる前に自らたれをつけ、好みの濃さに調整OK ! もちろん二度づけ禁止だ。

立ち飲みスペースも。
立ち飲みスペースも。
手前からレバ、シシトウ肉、ミックスなどやきとりは10種各190円。緑茶割り400円。
手前からレバ、シシトウ肉、ミックスなどやきとりは10種各190円。緑茶割り400円。
3代目の板倉龍二さん。
3代目の板倉龍二さん。

『鳥勇 一番通り店』店舗詳細

住所:東京都品川区小山3-24-7/営業時間:11:30~20:00ごろ(なくなり次第終了)/定休日:無/アクセス:東急電鉄目黒線武蔵小山駅から徒歩3分

広東出身シェフによる立ち飲み中華とは?『中華立飲 盛苑』

広東名物・蒸し鶏297円、まぐろ揚げ麻辣豆腐鍋605円(奥)など。紹興酒をソーダで割るドラゴンサワー440円。
広東名物・蒸し鶏297円、まぐろ揚げ麻辣豆腐鍋605円(奥)など。紹興酒をソーダで割るドラゴンサワー440円。

中華料理屋で25年以上腕を振るっていた羅国雄(ローコクション)さん。近所の立ち飲み屋が大人気なことに気づき、立ち飲み中華への転換を決意。ゆえに、料理の多くは税別220~520円ながら味は本格派だ。水餃子4個352円の皮は自家製でモチモチ、1人用塩どり1/8  473円は柔らかな肉質とバンウコンの根を隠し味に使ったソースの香味が後を引く。お酒も200円台からあり、今や羅さんの店も繁盛店に!

「少量を調理するのは大変だけど、おいしいと言ってくれるからうれしいネ」と羅さん。
「少量を調理するのは大変だけど、おいしいと言ってくれるからうれしいネ」と羅さん。
スツールもあるが基本立ち飲み。
スツールもあるが基本立ち飲み。

『中華立飲 盛苑』店舗詳細

住所:東京都品川区小山4-5-6/営業時間:17:00~翌3:00(土・日・祝は15:00〜)
/定休日:水/アクセス:東急電鉄目黒線武蔵小山駅から徒歩6分

飲むほどにピリリと辛さがしみる『豚星』

金魚サワー480円、カラスミポテトフライ720円。上シロ、ハツモト、カシラ各160円。
金魚サワー480円、カラスミポテトフライ720円。上シロ、ハツモト、カシラ各160円。

市場から直接仕入れた新鮮な豚肉を用いたもつ焼きを、リーズナブルな価格で味わえる名店。17時を過ぎると、サラリーマンでにぎわう。ここを訪れたらぜひとも頼みたいのが、大葉を水草に、唐辛子を金魚に見立てた金魚サワーだ。見た目の涼しさもさることながら、大葉のさわやかな香りと唐辛子のピリリとした辛さが食欲をそそり、強炭酸が脂を切ってくれるので、もつ焼きが何本でもペロリと食べられてしまう。サワーをお代わりするたびに増えていく金魚を、「1匹、2匹……」と数えながら夜を楽しもう。

もつ焼きの香ばしい匂いに誘われる。
もつ焼きの香ばしい匂いに誘われる。
店内はカウンター席とテーブル席がある。
店内はカウンター席とテーブル席がある。

『豚星』店舗詳細

住所:東京都品川区小山4-3-6 林ビル1F/営業時間:17:00~23:30(土・日は16:00〜)/定休日:無/アクセス:東急電鉄目黒線武蔵小山駅から徒歩3分

手でむしり、食らいつく幸せ『目黒 月鳥 武蔵小山店』

月鳥名物ひな鳥素揚げ半身1990円~(大きさで変動あり、店内別途消費税)、サントリーモルツ中生590円。
月鳥名物ひな鳥素揚げ半身1990円~(大きさで変動あり、店内別途消費税)、サントリーモルツ中生590円。

まずはキャベツをビールの供に、揚げ上がりを待つべし。胃が準備を整えた頃、銀皿にのったひな鳥半身がでんと姿を現す。食べやすいようカットもしてくれるが、ここは半身のまま、熱さと闘いながら、ムネ、手羽、モモへと攻め込みたい。パサつきがちなムネでさえジューシ〜で、喉がビールを手招き。「素揚げだから、あまり油も吸わず、食べやすいんです」とは、店主の吉田貴弘さん。内臓を抜いた国産生のひな鶏を店でばらし、塩をなじませて半身ごと揚げる。火の通り具合は部位ごとに異なるものだが、揚げ温度や余熱でタイミングを計り、調整。その技にも感服だ。くびからぼんじりまでひとつなぎの元祖せすじや、モモ内側の脂「なみだ」など、希少な素揚げも捨てがたい。

高低温と余熱を駆使し、4度揚げを独自に研究。
高低温と余熱を駆使し、4度揚げを独自に研究。
カウンター8席の他、テーブル1卓あり。持ち帰り窓口あり。
カウンター8席の他、テーブル1卓あり。持ち帰り窓口あり。

『目黒 月鳥 武蔵小山店』店舗詳細

住所:東京都目黒区目黒本町5-32-12/営業時間:17:00~21:00(食事20:00LO・ドリンク20:30LO)/定休日:日・祝(不定休あり)/アクセス:東急電鉄目黒線武蔵小山駅から徒歩7分

元寿司職人の繊細な技にほろ酔う『佐一』

席はL字カウンターのみ。日本酒は約12種。奥の冷蔵庫で客自ら選べる。
席はL字カウンターのみ。日本酒は約12種。奥の冷蔵庫で客自ら選べる。

両親が開いた大衆酒場を、寿司職人の佐藤雪男さんが引き継いだのは2009年。古い付き合いの豊洲の仲卸などから仕入れた鮮魚を、良心的価格で味わえる。例えば、イワシはさばきたてを包丁でなでるように和え、なめろうに。まぶされたトビコの食感が心地よい。当日はそのイワシの内臓周辺の脂身を刺し盛りに添えてくれたが、コクと爽やかな甘みに驚く。魚を触って約半世紀、店主の技と知恵の詰まった酒肴が、地酒を進ませるのだ。

人気のなめろう700円。その他の料理や日本酒は日によって変わる。
人気のなめろう700円。その他の料理や日本酒は日によって変わる。
落ち着いた店構え。
落ち着いた店構え。

『佐一』店舗詳細

住所:東京都品川区小山3-22-7 メゾンいずみ1-115/営業時間:17:00~23:00/定休日:木/アクセス:東急電鉄目黒線武蔵小山駅から徒歩6分

男気あふれるムサコ最大級のやきとり『うち田』

手前の皿左から手羽中250円、ふわとろのレバー250円など。
手前の皿左から手羽中250円、ふわとろのレバー250円など。

ヤゲンなんこつ250円は回りに身がたっぷり、官能的なねっとり食感のつくね250円はピンポン玉級のデカさ。どのやきとりも巨大で、持つと串が折れそう。「お客さんが喜ぶからどんどん大きくなり、串も太くしました」と店主の内田智也(ともなり)さん。柔らかな肉質の信玄どりのうまさを引き出すため、基本は天日塩で提供。肉の旨味が詰まった巨大胸トロ250円もねぎま250円も確かに塩が一番!

「俺は3本で満腹!」と常連。奥にテーブル席も。
「俺は3本で満腹!」と常連。奥にテーブル席も。
備長炭で焼くからロースト感も楽しめる。
備長炭で焼くからロースト感も楽しめる。

『うち田』店舗詳細

住所:東京都品川区荏原3-4-10/営業時間:17:30~22:30LO(土・日・祝は17:00~)/定休日:木/アクセス:東急電鉄目黒線武蔵小山駅から徒歩7分

味覚の反復運動にヤミツキ『coQere』

右は、青花椒魚片 タラの煮込み青山椒と唐辛子オイルがけ2800円。 左は、四川生山椒と発酵唐辛子 パクチーの辛い和え物2500円。
右は、青花椒魚片 タラの煮込み青山椒と唐辛子オイルがけ2800円。 左は、四川生山椒と発酵唐辛子 パクチーの辛い和え物2500円。

興味はあれど、取っ付きにくい。そんな個性の強い日本酒は「振り子の法則を応用すればトライしやくなります」。そう教えてくれたのは、店主の柘植和志さんだ。つまり、甘くて癖のあるどぶろくには、山椒の効いたピリ辛の中華料理を対峙させ、異なる味覚を交互に作用させるといいという。四川生山椒と、老酒で発酵した乾燥唐辛子、パクチーの和え物は、よく混ぜて食べる。舌がカーッとなったところに大分県『中野酒造』の「ちえびじん」を流し込むと、ヨーグルトのような酸味が辛味を一掃。次の瞬間、舌のビリビリはよみがえるが、食材が秘めた苦み、酒の甘み、コクも盛り上がってきて複雑なグラデーションを醸す。辛さのせいもありつつ、この新感覚に感動の涙。柘植さんは本場の食材を入手するため定期的に中国へ渡る。

多様な日本酒を取り揃えつつ、約30種を店内でさらに熟成。いい塩梅のものをチョイスし、日替わりで提供している。
多様な日本酒を取り揃えつつ、約30種を店内でさらに熟成。いい塩梅のものをチョイスし、日替わりで提供している。

『coQere』店舗詳細

住所:東京都目黒区原町1-16-17/営業時間:18:00~23:00(土・日・祝は~22:00)
※事前予約で17:00~可/定休日:月・第3火/アクセス:東急電鉄目黒線西小山駅から徒歩4分

パンが肴の至福のイタリアン酒場『Cizia』

グラスワインは900円~。前菜は880円~、パンたち900円。パスタは1600円~。
グラスワインは900円~。前菜は880円~、パンたち900円。パスタは1600円~。

イタリア料理人歴8年、パン職人歴2年の馬場且江シェフがオープンしたイタリアン。自家製酵母を使ったパンや、イタリアンな前菜を肴にグラスワインを味わえる。ワインは国産、イタリア産、ジョージア産などの自然派を複数用意。写真のトマトソースやからすみのペペロンチーノなど、締めに食べたいパスタの種類も豊富だ。

パンはテイクアウトできる日も時々ある。
パンはテイクアウトできる日も時々ある。
馬場且江シェフの手前の容器はパン用の自家製酵母。
馬場且江シェフの手前の容器はパン用の自家製酵母。
白が基調の、女性一人でも入りやすい外観。
白が基調の、女性一人でも入りやすい外観。

『Cizia』店舗詳細

住所:東京都品川区小山6-6-3/営業時間:18:00~23:00(ランチ営業はSNSで要確認)/定休日:月・不定/アクセス:東急電鉄目黒線西小山駅から徒歩2分

構成=中村こより 取材・文=鈴木健太、佐藤さゆり(teamまめ)、 石原たきび、信藤舞子、風来堂、中島茂信、中村こより 撮影=オカダタカオ、高野尚人、丸毛 透、山出高士、井原淳一、金井塚太郎、中村こより