佐一

元寿司職人の繊細な技にほろ酔う

席はL字カウンターのみ。日本酒は約12種。奥の冷蔵庫で客自ら選べる。

両親が開いた大衆酒場を、寿司職人の佐藤雪男さんが引き継いだのは2009年。古い付き合いの豊洲の仲卸などから仕入れた鮮魚を、良心的価格で味わえる。例えば、イワシはさばきたてを包丁でなでるように和え、なめろうに。まぶされたトビコの食感が心地よい。当日はそのイワシの内臓周辺の脂身を刺し盛りに添えてくれたが、コクと爽やかな甘みに驚く。魚を触って約半世紀、店主の技と知恵の詰まった酒肴が、地酒を進ませるのだ。

なめろう550円、コハダや柚子七味塩で味わう真ダコなど刺身3種盛り1100円、たけのこ焼き330円。屋守純米中取り660円。
4年前に移転。

『佐一』店舗詳細

住所:東京都品川区小山3-22-7 メゾンいずみ1-115/営業時間:17:00~23:00/定休日:木/アクセス:東急目黒線武蔵小山駅東口から徒歩6分

うち田

男気あふれるムサコ最大級のやきとり

手前の皿左から手羽中240円、ふわとろのレバー200円など。

ヤゲンなんこつ200円は回りに身がたっぷり、官能的なねっとり食感のつくね230円はピンポン玉級のデカさ。どのやきとりも巨大で、持つと串が折れそう。「お客さんが喜ぶからどんどん大きくなり、串も太くしました」と店主の内田智也(ともなり)さん。柔らかな肉質の信玄どりのうまさを引き出すため、基本は天日塩で提供。肉の旨味が詰まった巨大胸トロ200円もねぎま230円も確かに塩が一番!

「俺は3本で満腹!」と常連。奥にテーブル席も。
備長炭で焼くからロースト感も楽しめる。

『うち田』店舗詳細

住所:東京都品川区荏原3-4-10/営業時間:17:30~22:30LO(土・日・祝は17:00~)/定休日:木/アクセス:東急目黒線武蔵小山駅東口から徒歩7分

晴坊

商店街2階で地酒と肴のペアリング謳歌

ネギトロキムチ納豆のタルタルユッケ770円。フレッシュな香りの篠峯純吟うすにごり935円、旨味とキレを合わせ持つ残草(ざるそう)蓬莱特純990円など(各1合)。

中延出身の吉川康二さんは大の日本酒好き。「味がしっかりのった地酒を中心に15~20種用意してます」。ゆえに、酒肴も日本酒に寄り添うものが豊富。中延商店街の精肉屋から仕入れる和牛カイノミのたたき1408円は山廃などどっしり系に合い、ホタルイカとアボカドの生のり和え770円は酸のあるフレッシュな酒が磯の風味を引き立てる。「ただの居酒屋」と謙遜するが、各料理外れなし!

アサリと菜の花の酒蒸し748円など。
奥には小上がり席も。

『晴坊』店舗詳細

住所:東京都品川区中延3-13-9 TSビル2F/営業時間:17:00~24:00/定休日:月/アクセス:東急大井町線中延駅から徒歩2分

鳥ふじ

木造ビルの奥から常連たちの笑い声

心優しい2代目の加藤征紀さん、結さん夫婦。

檜のカウンターは50年近く使いこまれているのに白肌が美しい。「週一以上、クレンザーで磨いてます。店の宝ですから」と2代目。そこへ止まり木のように集う常連に混ざり、まずは一杯。ササミや野菜をマヨネーズで和えた鳥サラダも薄衣のから揚も、どこか懐かしい味わいだ。何度も通いたくなる味と雰囲気。壁にある50周年祝いの寄せ書きを書いた常連方も、そう思ったに違いない。

から揚440円、お通し感覚で頼む人も多い鳥サラダ330円、鳥ももわさび焼440円。自家製お新香440円も定番。喜多方の夢心の樽酒495円。
先代時代から通う客も多い。

『鳥ふじ』店舗詳細

住所:東京都品川区中延5-7-10 富士マーケット2F/営業時間:17:00~23:00/定休日:日、祝日の月/アクセス:東急大井町線荏原町駅正面口から徒歩1分

パーラーCheesiiz

たぶん、中延イチゆるい酒場

奥がヒロシさん。幅広い客層。

20代は沖縄の米軍基地で働いていた店主のヒロシさん。つまみはアメリカのスパイスを振るフライドポテト500円やスパム&玉子焼き660円など、沖縄人の大衆食がずらり。料理の味は濃いめでただでさえ酒が進むのに、生ビールは泡無し、サワーも濃いから酔いが加速。「酒と割り材が半々の常連もいます」というヒロシさんもすでに赤ら顔。マイペースな店主のキャラにハマる、のんべえ続出!

パーラーは沖縄で軽食を売る簡易店舗の意味。
フライドチキンとポテトのコンボ680円、沖縄の酒盗、ワタガラスとブルーチーズのクラッカー480円など。シークワサーサワー550円。

『パーラーCheesiiz』店舗詳細

住所:東京都品川区東中延2-7-18 吉田ビル101/営業時間:15:00~23:00ごろ(木~土は5:00~12:00の朝ごはん営業あり)/定休日:火/アクセス:東急大井町線中延駅から徒歩3分

大衆酒蔵 漁

豊洲仕入れの鮮魚と淡麗な酒が相思相愛

「久保田の千寿純吟なども稀に入荷します」と店主。

この日の刺身盛り合せは生マグロやブリなどが彩り、分厚い活ダコのプリプリ食感が鮮度を物語る。「うちはランチもやっているので魚介の回転率も高い。コスパはよそに負けませんよ」と足しげく豊洲に通う橋爪浩一さん。真ガキは殻が20㎝近くありながら2個で935円! 一気呵成に啜れば鮮烈な磯の香りが広がり、そこに八海山や春鹿など淡麗辛口の地酒をキュッとやれば、旨味開き笑顔咲く。

黒ムツの煮付け935円、刺身盛り合せ一例1800円など。日本で最初に造られたビールを復刻した品川懸(けん)ビールの生も。715円。
カウンターのほか小上がり席も。

『大衆酒蔵 漁』店舗詳細

住所:東京都品川区戸越1-20-10/営業時間:11:30~13:50・17:00~23:00/定休日:水/アクセス:地下鉄浅草線戸越駅から徒歩6分

戸越銀座バル NEKO NO HITAI

紳士淑女に愛される猫を路地裏に発見

ひとり客が多い。初来訪でも店主が客同士の会話をさりげなくつないでくれる。

店主のナミさんは料理好きが高じ、2011年に店をオープン。トリッパのトマトソース煮715円はテニアンペッパーの辛さがアクセント、紅芯大根とパクチーのサラダ小625円はドレッシングの味噌が隠し味と工夫が随所に。どのワインと合わせよう、と黒板を見れば猫のイラストが。「お客様が描いてくれたんです。陶芸が趣味のお客様は店の食器を作ってくれました」。この店、お客の愛深し!

豚肉のソテーのケッパーとドライトマトのマリネ660円など。ワインは計10数種で550~880円。オレンジワインなども用意。
12、13人で満員に。

『戸越銀座バル NEKO NO HITAI』店舗詳細

住所:東京都品川区戸越2-5-1 花善ビル1F/営業時間:18:00~24:00(土・日・祝は16:00~23:00)/定休日:翌月の休みは月末にインスタグラムなどで告知/アクセス:地下鉄浅草線戸越駅から徒歩3分

取材・文=鈴木健太 撮影=山出高士、井原淳一
『散歩の達人』2020年3月号より