「いつもはガチに登るけど、わざわざごはんを食べに行く登山も楽しんでます」 と、吉田瑠実さん。
ごはんを目的にするなら、「食べたいものを妥協しない」、「洗い物を減らす」、「せっかちな人(本人)でもイラつかずに早くできておいしい」 が、重要なポイントという。加えて、ちまたのおしゃれで見栄えする流行を尻目に、地味路線を貫くのが吉田さんの山ごはんだ。いずれも家での準備が必要だが、山で素早くごはんにありつけるハッピーな自分を想像して、備えたい。
いつもの調理道具を賢く活用するべし
「山で定食が食べたい」という吉田さんのささやかな欲望から生まれたのが「鍋ピカ山定食」。
鍋を汚さずに、主食から汁物までを「アイラップ」で完成させる。生卵が袋中で固まるオムレツ、味噌玉のアイデアには猛烈に感服だ。湯煎(ゆせん)の湯で味噌汁、食後はコーヒーも入れ、片付けは皿を拭くだけ。
鍋の主役 「米団子」 は、軽量で保存が利くすぐれもの。仲間と囲むなら、具材を持ち寄り闇鍋といこう。そのまま投入できるちくわなど、シチュエーションを想像して選ぶのも楽しい。
「米団子で軽量重視しながら矛盾しますが、 これは重宝」 と、 「峠の釜めし」 の釜を絶賛。山道具を持たずとも、家にあるものを活用する頭の柔らかさよ。
いざ、見晴らしがよく、テーブル完備の低山へ。青空の下では料理の腕も、ほかほかの味も、食欲も、下界とは別格だ!
「鍋ピカ山定食」レシピ
アイラップをフル活用!
〔 材料 〕(1人分)
●ご飯……食べたいだけ
●甘塩鮭……1切れ
●オムレツ……タマゴ2個、シュレッドチーズ大さじ1
●味噌玉……味噌大さじ1+麩やワカメなど好みで
●ケチャップ……適量
〔 作り方 〕
【まずは家で】
1.それぞれ別々にアイラップに入れ、輪ゴムなどでギュッと縛る。
2.オムレツ、味噌玉は、アイラップに入れた後、上から混ぜ合わせておく。
【そして山で】
3.鍋に湯を沸かし、ご飯とおかずを湯煎にかけて火を通し(10分程度)、皿に盛る。
4.器に味噌玉を入れ、湯煎後の湯を注いで味噌汁を作る。
★POINT★
時間がある時に準備・冷凍しておくと重宝。青菜や道中拾った葉っぱ(湯煎後の湯で洗う)で鮮やかに。
「米団子入り鍋」レシピ
軽量“米団子”が主役の闇鍋
〔 材料 〕(1人分)*写真は3人分
●米団子……6・7個
●出汁の素(市販)……好みで
●定番具材(豚肉、白菜、ネギ、キノコ類など) ……適量
●持ち寄り(ちくわなど参加者が好きなもの) ……1人1種
〔 作り方 〕
【まずは家で】
米団子
1.ご飯(冷や飯可)をすり鉢で軽くつぶし、ピンポン玉よりやや小さく丸める。
2.150℃のオーブン2時間程ゆっくり焼き、中まで乾燥させる。
野菜
3.必要に応じて前夜に洗って切って袋へ。
【そして山で】
4.鍋に水を入れ火にかけ、出汁の素、米団子を入れる。
5.沸いたら肉、野菜、キノコを順に入れ、火を通す。
★POINT★
自家製米団子を常備すべし。具材担当は事前に決めておこう。米団子にスープを吸わせて一滴残らず。
「釜でフォンデュ」レシピ
「峠の釜飯」の釜 × たっぷりチーズ
〔 材料 〕(1人分) *写真は3人分
A コーンスターチ……大さじ1
A シュレッドチーズ……100g
●具材……バゲット、プチトマト、ジャガイモ、ソーセージなど(好きなものを適量)
●白ワイン……100cc
〔 作り方 〕
【まずは家で】
1. Aを袋に入れ混ぜ合わせる。
2.具材は洗って切る、茹でるなど必要に応じて。
【そして山で】
3.釜に白ワインを入れて沸かし、アルコールを飛ばす。
4. 3に1を入れ、木のスプーンで底からよく混ぜる。
5.とろんとしてきたら、具材を付けながら食べる。
★POINT★
具材を刺すものは、道中で枝を拾いナイフで先を削って使っても。釜は重いが背負う価値ありです(笑)。白ワインは多めに用意し乾杯!
『長男堂』店舗詳細
取材・文=松井一恵 (teamまめ) 撮影=片山菜緒子
『散歩の達人』2021年3月号より