個性的なボウリングピン看板を見ていこう

昔から多くのボウリング場では、ピンをかたどった巨大な立体模型が看板として用いられてきた。それは遠くからでも「ボウリング場がある」ということが一目で分かり、さぞかし効果的だったことだろう。そのボウリングの巨大ピンが10本集まったら、巨人たちのボウリング大会を開催できるのではないだろうか。ついそんな空想にふけってしまうのである。

そんな気持ちを抱きながら各地のボウリングピン立体看板を見ていくと、それぞれに個性があることに気がついた。

かつてのボウリングブームの頃に比べれば、ボウリング場の数も減っているように思う。しかしピン看板は、街を歩けば比較的容易に発見できる。それは複合レジャー施設を多数展開している「ラウンドワン」が、伝統を踏襲して店頭にピン看板を設置してくれているからというのもあるだろう。

ラウンドワンにはさまざまな遊興設備があるが、特にボウリングをアピールしてくれているのがうれしい(池袋)。
ラウンドワンにはさまざまな遊興設備があるが、特にボウリングをアピールしてくれているのがうれしい(池袋)。
ビルの上に設置されているものと、地上に設置されているものとがある(府中)。
ビルの上に設置されているものと、地上に設置されているものとがある(府中)。

ボウリングのピンのデザインは、白地に赤の模様が入るというのが一般的である。上記のラウンドワンの看板ピンはクラウン模様で、他にも笹塚ボウル、

笹塚ボウルの、甲州街道側に設置されている突出し看板型のピン。
笹塚ボウルの、甲州街道側に設置されている突出し看板型のピン。
笹塚ボウルの建物側面、路地側に設置されたピン。以前は表通りのものと同じデザインだったような記憶があるが、最近通りかかったら緑ラインのものになっていた。
笹塚ボウルの建物側面、路地側に設置されたピン。以前は表通りのものと同じデザインだったような記憶があるが、最近通りかかったら緑ラインのものになっていた。

王子のサンスクエアボウルなどがこのクラウンタイプである。

王子・サンスクエアビルの屋上に燦然と輝くピン。
王子・サンスクエアビルの屋上に燦然と輝くピン。

一方、二本線のタイプの方が、数としては多く見られるようだ。

永山・コパボウルのピン。かなり高い位置に設置されている。
永山・コパボウルのピン。かなり高い位置に設置されている。

形でアピールするだけじゃない、巨大ピン看板の働き

また、ピン看板の設置場所についてもさまざまだ。大きく分けて遠くの人にも見えるビルの屋上設置、通りすがりの人にアピールする地上設置の2パターンがあるように思う(笹塚ボウルは、突出し看板型の珍しいケースである)。どちらも看板であるがゆえに、色々と工夫が凝らされている場合が多い。

地上設置型のピンは、オブジェのように装飾が施されているものを多く見かける。

店名は「東京ドームボウリングセンター」なのだが、施設のある「黄色いビル」の名称が書かれている(水道橋)。
店名は「東京ドームボウリングセンター」なのだが、施設のある「黄色いビル」の名称が書かれている(水道橋)。
全面にキスマークがあしらわれたデザイン。かなり目立つ(神戸)。
全面にキスマークがあしらわれたデザイン。かなり目立つ(神戸)。
トーナメントなどで利用されることもあるゴールドのピン。看板に使われるのは珍しい(経堂)。
トーナメントなどで利用されることもあるゴールドのピン。看板に使われるのは珍しい(経堂)。

一方ビル屋上型は、遠くの人にもアピールするために、店名をデカデカと書き込んでいるもの、

渋谷の街中でもひときわ目立つ、店名入りピン。
渋谷の街中でもひときわ目立つ、店名入りピン。

営業時間を記すものなどが見られる。

高い所に設置されているので、ビル屋上タイプに分類する中野サンプラザボウルのピン。残念ながら中野サンプラザの閉館に伴い閉店した。
高い所に設置されているので、ビル屋上タイプに分類する中野サンプラザボウルのピン。残念ながら中野サンプラザの閉館に伴い閉店した。

ピン看板は、形でアピールするだけではなく、それ以上の働きを見せているのである。

さて、そうこうしているうちに巨大ピン看板を10本集めることができた。まさかこれで巨人のボウリング大会が開かれるなどとは本気で思ってはいないが、これらの巨大ピンを一堂に集めて、並べてみたい衝動に駆られている今日この頃である。

イラスト・文・写真=オギリマサホ

4月は始まりの季節だが、一方で去り行くものもある。冬場が本格的なシーズンであるカニ広告もその一つだ。以前このコラムでは、冬の駅にカニ広告が増殖していく様子に触れた。今年の冬も各駅はカニで賑わっていたが、4月に入ってからはほぼ見かけることはなくなった。そんな「カニロス」に陥っているあなた、悲しむには及ばない。なぜなら街のあちらこちらには、カニの巨大な立体看板が設置されているからだ。メインとなる食材を巨大な立体看板にする飲食店はよくあるものの、カニの巨大化率は他の食材を凌ぐものがある。なぜ人は、カニを大きくしてしまうのか。今回はそんな巨大立体カニ看板を鑑賞していきたい。
子どもの頃、夏休みになると葉山に住む祖父母宅に行くのが恒例であった。その道中、横須賀線の窓から見える白くて巨大な像が、私は気になって仕方がなかった。一体あれは何なのだろう。祖父母宅に向かう途中なので、途中下車ができる訳もなく、毎年疑問だけが膨らんでいった。
2023年6月1日に開業50周年を迎える喜ばしいニュースがある一方で、その翌月には残念ながら閉館が決まってしまった『中野サンプラザ』。今もなお異彩を放つ複合施設の殿堂は、いかに生まれ、歩んできたのだろうか。