ワイン好きの美食家が集まる路地裏の小さな店
板橋駅、新板橋駅、下板橋駅に囲まれる住宅街の中でひっそりと営業をしている『WineBistro Le mariage』。店の名の通り、ワインと食事のマリアージュを楽しめる店として2017年にオープンした。
取材時(2021年7月)は新型コロナウイルスの感染防止のため酒類の提供は中止していたが、店の中にはワインセラーがあったり、ランチタイムには赤・白ワイン、スパークリングワインの用意があったりとワイン好きにはたまらないだろう。
ゴルゴンゾーラチーズの味わいとトマトのハーモニーが至福の一皿
好きなパスタまたはリゾットを選べるランチセットは1300円。この日はゴルゴンゾーラのトマトクリーム、サーモンとベーコンクリーム、たっぷりアサリの塩味、モッツアレラのトマトリゾットが並んでいた。サラダとパン、ドルチェと好きなドリンク1杯つきとボリュームたっぷりの内容になっている。
「クセのあるゴルゴンゾーラはトマトと合わせると食べやすくなるんです」と教えてくれたのは店主の笹川温さん。おいしさの秘訣はトマトにじっくりと火を通すこと。するとトマトの旨味が引き出されゴルゴンゾーラと一体化して、絶妙なコクのある味わいに仕上がる。お酒と合わせるのも良さそうだ。
顔なじみも一見さんも虜にするアットホームさが魅力
店主の笹川さんは現在、栃木県から単身赴任中。たまたま店を引き継ぐ人を探していると聞き、手を挙げたのがきっかけで店に立つことになった。縁もゆかりもない板橋へ来たが、東京都23区の中でものんびりとした空気が広がる板橋をすっかり気に入ってしまったそう。今では顔なじみも増えたとか。メニューが書いてある黒板や、エプロンと看板にあるイラストデザイン、コロナウイルス対策のためのパーテーションやテラス席は板橋で知り合ったお客さんや知人が手を貸して作ってくれた。
『WineBistro Le mariage』は板橋駅、新板橋駅、下板橋駅のどの駅からも歩いていける距離にあるが、駅前の繁華街や飲食店街にあるというわけではないため、この場所を知らないとなかなか足を運びにくいかもしれない。そのため地元のお客さんがほとんどかと思いきや、埼玉から東京へ通勤をするお客さんも訪れるそう。途中下車をしてでも行きたくなるその理由は、豊富なワインの品揃えとおいしい料理、そして店主・笹川さんのどこかとぼけた風の愛されキャラ。一度訪れると、また顔を出したくなるような魅力でいっぱいの店なのだ。
構成=フリート 取材・文・撮影=宇野美香子