ピッツァの有名店で修行したオーナー2人が2012年にオープン
『GINA』が西荻窪のバス通り沿いにオープンしたのは2012年のこと。麻布にあるナポリピッツァの名店『SAVOY』で修行した2名がオーナーとして共同経営で店を始めた。オープン以来、周辺住民を中心にピッツァのおいしい店として愛されている。
オーナー2人が焼くピッツァのおいしさに憧れ、日々腕を磨いているのが店長の石井将斗さんだ。中野坂上にあったイタリア料理店で10年ほど修行していたが、ピッツァが好きで、薪窯でピッツァを焼きたいと2013年に入社。現在、日々の営業を任されている。
『GINA』では、『SAVOY』のピッツァ作りを踏襲している。生地は低温で丸1日長時間発酵。1日寝かせることで小麦粉の風味が立ってくるという。
トマトソースは、厳選した酸味の少ないホールトマトをブレンダーで滑らかにするのがナポリ流。モッツァレラチーズもイタリアから空輸で届いたものを使っている。もちろんオリーブオイルもこだわりがあって、ピッツァ用とパスタなど他の料理に使うものとは別のオイルを使っている。
500度まで温度を上げた窯で1分30秒! 短時間で勝負するピッツァの焼き上げ
オーダーが入ると、まずは窯の状態を確認する。通常、中の温度は450度に保たれているが、ピッツァを入れるまでに500度に温度を上げなければいけない。「火の管理に慣れるまでは時間が掛かりました。最初はどうやったら火が回るようになるのかが、わからなかったんです。今はコツが掴めてきて、後輩にも教えられるようになりました。窯の奥に薪を入れるとき、中の石に立てかけて、下側にも風が通るように置かないといけないんですよ」と石井さん。
火力を強まったことを確かめると、木の箱に入っている生地を取り出して、手で手早く広げていく。あっという間にソースとトッピングがのってピッツァの準備ができる。いよいよ窯に入れるのかと思ったら、パッと窯の中になにかを投げ込んだ。「塩です」と石井さん。生地の底の部分に塩味をつけるにために窯にほんのひとつまみほどの塩を投げ入れておくのだという。「子どもたちが不思議そうに見にくるので、これはおいしくなる魔法の粉なんだよと話すと、興味を持ってくれますね」と住宅街の店らしいエピソードも披露してくれた。
ピッツァが窯の中で焼き上がるまでの時間はたったの1分30秒。オーダーから提供までは、早ければ5分ほどだ。
一番人気は定番マルゲリータ。ランチは950円から
やはり一番人気はトマトソースにモッツァレラチーズとバジルをのせた定番、マルゲリータだ。サクッとした食感の耳、バジルの風味、とろけたチーズと生地の一体感もたまらない。ところどころ焦げた部分の香ばしいさもおいしさの一部だ。
平日のランチは、マルゲリータとマリナーラ、そして日替わりのピッツァ、日替わりのパスタから1つを選べる。サラダとほんのり甘いアイスピーチティーがついたAセットなら950円と、食材のこだわりや手間を考えると割安感がある。ピッツァはもう1枚頼むとプラス800円と、いろいろな種類を食べたい気持ちに応えてくれるのも心憎い。
「軽いピッツァを目指していることもあって、男性は2枚食べる人も多いです。2人連れのお客様は、3種類食べたいからと追加されることもあります」と石井さん。
食後も店でゆっくり過ごしたいお客さんは、ピッツァの後にデザートとカッフェがつくBセットを選ぶことが多い。自家製のデザートは季節のフルーツを使ったパウンドケーキや、ティラミスなどその時によって変わるのも楽しみだ。
もともとピッツァ好きで『GINA』で働くようになった石井さんだが、日に日にピッツァを作ることが楽しいと思えるようになってきたという。生地は日々の気温に影響され毎日状態が違うことにも惹かれている。「どうやったらもっとおいしくなるのかな、といつも探求しています。店長なので店の中のいろいろな業務を担当していますが、できるだけ長くピッツァに触れていたいです」と愛を隠さない。
ピッツァ愛あふれる石井さんに『GINA』のピッツァを、よりおいしく食べるポイントを尋ねてみた。
「焼き上がりをできるだけ早く食べてもらいたいですね。1分30秒という短時間で焼いているので、その分冷めるのも早いんです。それから耳の部分が苦手な人は、生地をくるっと巻いて食べると全体をおいしく食べられるのでおすすめです」
本場ナポリの味を再現する『GINA』。ますますピッツァがおいしい店に進化していきそうだ。
取材・撮影・文=野崎さおり