薪窯で焼く本格ピッツァ。『GINA』

ランチのAセットはピッツァかパスタを選べる。サラダとアイスピーチティーがついて950円。
ランチのAセットはピッツァかパスタを選べる。サラダとアイスピーチティーがついて950円。

麻布にある名店『SAVOY』で修行した2名がオーナーとして共同経営し、ピッツァはその味を踏襲している。平日のランチは、マルゲリータとマリナーラ、そして日替わりのピッツァ、日替わりのパスタから1つを選べる。やはり一番人気はトマトソースにモッツァレラチーズとバジルをのせた定番、マルゲリータだ。サクッとした食感の耳、バジルの風味、とろけたチーズと生地の一体感がたまらない。ところどころ焦げた部分の香ばしいさもおいしい。薪窯で焼くピッツァの焼き時間は1分30秒だ。「短時間で焼いているので、その分冷めるのも早いんです。焼き上がりをできるだけ早く食べてもらいたいですね」と店長の石井さん。素早く食べるのもおいしさのポイントだ。

西荻窪のバス通り沿いに2012年にオープンした。
西荻窪のバス通り沿いに2012年にオープンした。

『GINA』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北2-26-3/営業時間:11:30~14:30LO・17:00~21:30LO/定休日:無/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩5分

イタリア語で“大食漢”が由来の店名。『GOLOSO TETSU』

ランチは3つ。いずれもパスタは3種類から選べる。Bランチは5種類ほどの前菜の盛り合わせとカフェとデザートがついて1800円。Bランチではプラス1000円でパスタをメイン料理に変更も可能。
ランチは3つ。いずれもパスタは3種類から選べる。Bランチは5種類ほどの前菜の盛り合わせとカフェとデザートがついて1800円。Bランチではプラス1000円でパスタをメイン料理に変更も可能。

店名の”GOLOSO(ゴローゾ)”とは、イタリア語で大食漢やたくさん食べる人というという意味。だから『GOLOSO TETSU(ゴローゾテツ)』は、ランチもかなりボリュームがある。シェフ夫妻が野菜好きで、ランチのサラダや前菜の盛り合わせにはいろんな種類の野菜を取り入れている。ランチの日替わりパスタは常時3種類用意されていて、その中にも野菜がたっぷりのメニューが。自家製ソーセージと野菜のトマトソースが代表的だ。迫力を感じるボリュームにも釘付けになってしまう。スパゲティは1.7mmと、一般的な店がランチに使うものよりも見るからに太い。お腹をペコペコにして、思う存分料理の味を楽しみたい。

赤いテントの下にたくさんの植物が並ぶ外観から、この店が気さくな雰囲気なのがわかる。
赤いテントの下にたくさんの植物が並ぶ外観から、この店が気さくな雰囲気なのがわかる。

『GOLOSO TETSU』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻北3-31-6 西荻ハウス103/営業時間:11:30~14:00LO・18:00~22:00LO(営業時間については変更あり)/定休日:月・ランチは木休/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩3分

びっくりするほど柔らかいチキンチーズカツ!『ビストロ さて』

びっくりするほど柔らかいチキンチーズカツはライス付きで1250円。
びっくりするほど柔らかいチキンチーズカツはライス付きで1250円。

『ビストロ さて』のシェフ、真中直樹さんは学生時代から学ぶフランス語を操り、何年かに一度、フランスに滞在しては現地のフランス人が食べる料理に触れてきた。ディナーは予約制でタンシチューや牛頰肉の赤ワイン煮込みなど煮込み料理がメイン。特に心血を注ぐのはソース作り。フォンドボーから仕込んで仕上げるデミグラスソースや赤ワインのソースは自慢の味だ。ランチは予約不要。もも肉を使ったチキンチーズカツは、不思議なほど柔らかい。肉を噛む回数さえ少なくて済むせいか、あっという間に食べ終わってしまう。一度揚げてからチーズをのせてオーブンに入れるため、チーズがとろけるだけでなく、余分な油が落ちる。満足感はあるのに、揚げ物特有のずっしり感がないせいで、リピーターも多い。

西荻窪駅南通りに面する店は1984年のオープン。インテリアの一部はシェフが自ら手がけた。
西荻窪駅南通りに面する店は1984年のオープン。インテリアの一部はシェフが自ら手がけた。

『ビストロ さて』店舗詳細

住所:東京都杉並区松庵3-31-16-107/営業時間:12:00~14:00LO・18:00~21:30LO
※営業時間は変更の場合あり/定休日:月・火・水・木/アクセス:JR西荻窪駅から徒歩5分

五感を刺激する美しいオードブル。『Bistro Petit』

プティのオードブルの盛り合わせ1980円(2人前)。
プティのオードブルの盛り合わせ1980円(2人前)。

店内はフランスの田舎町にあるビストロのよう。ランチでは前菜6種にメインが付いたセットメニューが評判。ディナーではコース料理4000円もあるが、ぜひアラカルトを頼みたい。オードブルの盛り合わせはボリューム満点で目も舌も楽しめる。一つひとつ手が込んでいて、シェフの料理への真摯な姿勢が伝わる。メインには、高級食材なのにお手頃なビュルゴー家(フランスにあるシャラン鴨の農家)の鴨ムネ肉料理を。

シャラン産 ビュルゴー家 鴨ムネ肉のロティ~カシスとポワブルヴェールのソース~ 4200円。
シャラン産 ビュルゴー家 鴨ムネ肉のロティ~カシスとポワブルヴェールのソース~ 4200円。

『Bistro Petit』店舗詳細

住所:杉並区西荻南2-20-4 恵荘1F/営業時間:12:00 ~ 15:00(火はディナーのみ)・17:00~ 23:00LO/定休日:月/アクセス:西荻窪駅南口から徒歩4分

ワンタンの名店の味を堪能する。『支那そば いしはら』

ワンタンメンミックス1210円を食べれば、ワンタンの概念が変わる。ワンタン800円をつまみながら一杯飲むのもいいだろう。
ワンタンメンミックス1210円を食べれば、ワンタンの概念が変わる。ワンタン800円をつまみながら一杯飲むのもいいだろう。

店主はワンタンメンで有名な、浜田山『たんたん亭』の創業者。当時、ワンタンに餡が少ないことが嫌で、たっぷり餡のワンタンを作ったという。ワンタンメンミックスならば、肉がたっぷりと入った肉ワンタンと、エビのすり身が入ったエビワンタンの2種類が食べられる。スープは動物系と魚介系を合わせたWスープで、豊かな香りや深い味わいを感じる。一品料理も豊富で、夜にはアルコールを楽しみながら過ごす人も多いという。

今では珍しくなった〝さで(平ざる)″で茹で上げる。
今では珍しくなった〝さで(平ざる)″で茹で上げる。

『支那そば いしはら』店舗詳細

住所:杉並区西荻窪北3-22-22/営業時間:11:30~15:00・18:30~22:00(土・日・祝は11:30〜 21:00)/定休日:火/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩3分

スパイスが奏でる魅惑の味は華やか!『モロッコ料理 tamtamu』

異国情緒ある店内。
異国情緒ある店内。

「クミン、コリアンダーなどスパイス遣いが基本です」と、オーナーの太田さん。モロッコ滞在で食べて覚えた家庭料理を再現している。トマトペーストをよく使うのも特徴で、ラム肉のハンバーグは、トマトとマーマレードの酸っぱ甘いソースとラムからあふれる肉汁がとろけ合う。タジン鍋料理のほか、生卵をマッシュポテトで覆い、小麦粉の皮で包んで揚げる変化球も。モロッコワインと合わせると旅心地に。

ラム肉のハンバーグ1300円とモロッコパン。
ラム肉のハンバーグ1300円とモロッコパン。
とろ〜り卵とマッシュポテトの包み揚げ、ブリック700円、チキンのクスクス1580円。
とろ〜り卵とマッシュポテトの包み揚げ、ブリック700円、チキンのクスクス1580円。
タムタム親子。入り口も特徴的だ。
タムタム親子。入り口も特徴的だ。

『モロッコ料理 tamtamu』店舗詳細

住所:杉並区松庵3-18-15/営業時間:11:30~ 15:00(要予約、平日のみ営業)•18:00~ 22:00LO(要予約)/定休日:月/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩8分

トロ肉付きのフレンチカレー!『SPOON』

トロ肉に温玉、そして10種類以上の季節野菜をトッピングしたスペシャルフレンチカレーは1650円。
トロ肉に温玉、そして10種類以上の季節野菜をトッピングしたスペシャルフレンチカレーは1650円。

「『SPOON』のフレンチカレーは欧風カレーとは違ってルーを使わない軽い仕上がり。スパイスの個性を引き立てている」と話すのは、フランス料理の経験を10年以上持つオーナーシェフの和田直樹さんだ。店のいちばん人気は、スペシャルフレンチカレー。根菜や葉野菜、実の野菜など10種類以上の野菜が、食感や彩り、栄養素までを考慮して添えられている。食べ応えもあるトロ肉は柔らかく煮込まれていて、さらりとしたカレーソースと口の中で一体となる。牛肉の赤ワイン煮込み、ブッフ・ブルギニョンをアレンジしたというからさすが。フレンチカレーは、世界中で愛されるフランス料理の魅力に気付くきっかけにもなってくれそうだ。

カウンターに座って見やすい場所に、フレンチカレーについての説明がしっかりと書かれている。
カウンターに座って見やすい場所に、フレンチカレーについての説明がしっかりと書かれている。

『SPOON』店舗詳細

住所:東京都杉並区松庵3-38-19 リヴェール西荻1F/営業時間:11:30~14:30LO・18:30~22:30LO(土・日・祝は 11:30~15:30LO・17:30~22:30LO)/定休日:火(ランチ営業、ディナー休み)/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩1分

グルテンフリーのカレーとロースイーツ!『raccoon』

3種盛りは1300円。左から野菜カレー、サバカレー、ポークカレー。
3種盛りは1300円。左から野菜カレー、サバカレー、ポークカレー。

カレーの名店が多い西荻窪で、ロースイーツを作る妻と、カレー好きな夫が営むカフェ『raccoon(ラクーン)』。小麦粉不使用でグルテンフリーのカレーは常時3種類が用意されている。定番のポークカレーは、食べ応えのある大きさのバラ肉入り。脂身のおいしいSPFポークの岩中豚を柔らかく煮込んでいる。カレーにはスパイスはたくさん入っているというが、まろやかでやさしい味わいで、ますます豚肉の甘みを引き出している。スイーツの人気メニュー、ローチーズケーキは、土台をアーモンドとカシューナッツをシロップで固め、カシューナッツとココナッツミルク、ココナッツオイルを使って滑らかな食感に仕上がっている。カレーを食べた後のデザートとしても相性がいい。

さわやかで口どけのいいローチーズケーキは600円で、乳製品不使用。ナッツ類が主な原料だ。
さわやかで口どけのいいローチーズケーキは600円で、乳製品不使用。ナッツ類が主な原料だ。

『raccoon』店舗詳細

【休業】天空庭園でいただくカレーな一皿。『ササユリカフェ』

合いがけカレーセット1500円(ランチセットは1300円でサラダ、スープ付き。フルーツマリネ+500円。メニューは全て税別)。
合いがけカレーセット1500円(ランチセットは1300円でサラダ、スープ付き。フルーツマリネ+500円。メニューは全て税別)。

雑居ビルの最上階に誕生したテラスのあるカフェ。アニメーターとして、スタジオ・ジブリで約25年活躍した舘野仁美さんが開いた。名物は、体力が落ちたときでも食欲を刺激し、元気が湧くような2種のカレー。キーマカレーは鶏のひき肉にショウガをたっぷり。フルーツカレーはリンゴとキノコのやさしい味わい。いずれも油を控えた軽やかな印象だ。テラス席と広くのびやかな店内で、ゆっくりティータイムまで過ごせる。

店主の舘野仁美さん。紅茶は10種を用意。
店主の舘野仁美さん。紅茶は10種を用意。

『ササユリカフェ』店舗詳細

住所:杉並区西荻北3-16-6小美濃本社ビル 4F/営業時間:11:30~ 20:00LO/定休日:火・水/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩2分

スパイスしみ込む、魚のカレーに注目!『Sajilo Clove』

ニールさんとチャーミングな料理人たち。
ニールさんとチャーミングな料理人たち。

北インド・ネパール料理専門店、といっても国旗や民俗音楽はなし。店内はアンティーク家具でまとめられ、ネパール人店主・ニールさんの美的センスが光る。吉祥寺『Sajilo cafe』の姉妹店として2012年1月に開店。厨房を広くしてメニューを増やし、吉祥寺の店舗にはないシーフードカレーも提供する。長時間煮込んでペースト状にしたタマネギをベースに、オリジナルブレンドのガラムマサラなど要所にスパイスを利かせたカレーは絶品。う~ん、立ち上る芳香にうっとり!

窯焼き魚のカレー1210円。スパイスを絡めて寝かせ、タンドリーで焼いたカジキマグロが入る。ナン385円。モモ770円。
窯焼き魚のカレー1210円。スパイスを絡めて寝かせ、タンドリーで焼いたカジキマグロが入る。ナン385円。モモ770円。
店構えはまるで骨董品店のよう。
店構えはまるで骨董品店のよう。

『Sajilo Clove』店舗詳細

住所:杉並区西荻北3-42-13永谷マンション1F/営業時間:11:30~ 15:00LO・18:00~ 22:30LO(土・日・祝は通し営業)/定休日:水(祝の場合は翌木)/アクセス:西荻窪駅から徒歩5分

出汁とスパイス、野菜の滋味が融合『OHIO』

野菜Curry&rice1100円。甘みを増して旨味を吸う、干した大根や長ネギ、エリンギなどが入る。ロースト感も秀逸。海老Curry&rice1300円。
野菜Curry&rice1100円。甘みを増して旨味を吸う、干した大根や長ネギ、エリンギなどが入る。ロースト感も秀逸。海老Curry&rice1300円。

「うちはカレーライス屋。お米に合うカレーを意識しています」。2012年9月開業、店主・酒井竜二さんは言う。カレーはチキン、牛(豆入り)、南瓜とバナナなど全6種。どれもルーが異なり、それぞれのおいしさがあるが、共通しているのは出汁の旨味とスパイスが融合していること。出汁は野菜、かつお節、時間をかけて炊いた鶏ガラスープを合わせたもの。油は極力使わず、2種を添える付け合わせも凝る。いつのまにか、山盛りの皿のご飯も完食。

音楽好きな酒井さん。
音楽好きな酒井さん。
交差点そば。
交差点そば。

『OHIO』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南4-31-10/営業時間:12:00~14:30LO・18:00~ 21:30LO(日・祝はランチのみ)/定休日:月(不定休あり)/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩6分

混ぜて、混ぜて。野菜と豆の旨味がひたひた~『大岩食堂』

セットプレートB ヨーグルト追加1500円。この日は、新ごぼうのポリアル(炒め物)、豆カレーのパリップなど。
セットプレートB ヨーグルト追加1500円。この日は、新ごぼうのポリアル(炒め物)、豆カレーのパリップなど。

「野菜だけでこんなに満足感があるの!?」と、店主・大岩俊介さんがかつて衝撃を受けた南インドカレーを提供。さらに、チキンやポークを使ったノン・ベジタリアンの料理、スリランカの家庭料理も用意する。スパイスは粒のままのホール、パウダー、香りづけ用を組み合わせ香り豊かに。酸味のあるスープや豆と野菜のカレー、炒め物などを盛り合わせたミールスは、ご当地流の定食。はじめはそのまま。混ぜて、深まる味わいを堪能して。

自然派ワインと共に。
自然派ワインと共に。
大岩さんは、南インドカレー専門店『エリックサウス』の店長を経て、2014年8月に独立。
大岩さんは、南インドカレー専門店『エリックサウス』の店長を経て、2014年8月に独立。

『大岩食堂』店舗詳細

住所:東京都杉並区西荻南3-24-1/営業時間:11:30〜14:30LO・18:00〜21:00LO/定休日:月/アクセス:西荻窪駅から徒歩1分

取材=稲葉美映子・大海渡宏美(風来堂)・高山和佳・泉田道夫・オカダタカオ・速志 淳・松井一恵(team まめ)、野崎さおり 撮影=井原淳一・沼 由美子・金井塚太郎・木村心保、野崎さおり

JR西荻窪駅を中心として北は善福寺川、南は五日市街道あたりまで広がるこの街。「西荻窪」という地名は1970年に廃止され現存しないが、“西荻(ニシオギ)”という街の存在感はむしろ年々増している。吉祥寺駅と荻窪駅の間に位置し、「松庵」など高級住宅地を擁するせいで、中央線の中では比較的上品なイメージで語られることも多い。しかし、ひとたびこのエリアを歩けば、上品などころかかなり個性的な地だということが分かるだろう。店主がそれぞれの哲学を貫く店と、それらを愛してやまない住民が集まる、けっこう熱くてヘンな街なのだ。
前のめりになる充実の食事を前に、「軽く一杯飲もうか」。そんな気分に応えてくれるちょうどいい店が荻窪・西荻窪に多数。 定食屋からカレー、普段づかいできるイタリアンまで、 一人でも気軽に訪ねて、おなかと心を満たしてもらおう!
好みのツボをグイグイ押してくれる店のご近所っていいなあ。明日も明後日も、ここで食べたい。通うために店の近くに引っ越す、そんな人生があっていいかも。荻窪界隈には住みたくなるグルメがたくさん。和食・洋食・エスニック、今日は何を食べようか。駅近、徒歩5分、ちょい遠くも出揃いました。帰り道は部屋探し……。