一緒に歩くのは……石川 勝さん
不動産専門家集団の「東京カンテイ」でマンションの評価・調査を担当する、不動産鑑定士。中古マンションに特化した評価方法で複数の特許を取得! 街歩きとともにおすすめマンションを巡る企画を行う、マンションさんぽの達人でもある。「東京カンテイマンションライブラリ」内ではブログ「今週のチラ見物件」を連載、駅で待ち合わせて周辺環境を紹介しながらマンションまで案内するというバーチャルな体験をWEB上で展開している。「選ぶまえに知っておきたいマンションの常識 基礎編」「選ぶまえに知っておきたいマンションの常識 実践編」を監修・執筆。

青山の街になじむ優雅なフォルム

3路線が乗り入れる地下鉄青山一丁目駅に着き、青山通りに出た。見上げれば高層ビルの青山ツインや、Honda本社ビルが空に背を伸ばす。この辺りは大手企業の本社がいくつかあり、サラリーマンの往来も多い。少し南側へ歩くと、一転して静かな青山公園に到着。木々の向こうには、有機的な曲線美をもつ「パークコート青山ザ・タワー」が。

最上階の2フロアに、水面と眺望が連続するインフィニティプールや、スカイラウンジなどの共用施設を備える「パークコート青山ザ・タワー」。

「設計は、世界的インテリアデザイナーのブルーノ・モワナー氏、ガラス師のエマニュエル・パロワ氏、彫刻家の安田侃(かん)氏を起用しています。360°どこから見ても曲線の美しいフォルムなんです」と石川さん。

青山通りに戻ったら、『伝統工芸 青山スクエア』で職人技が光る全国の伝統的工芸品を物色。伝統的工芸品と聞くと高級なイメージがあるけれど、そのほとんどが日用品だ。お椀や漆塗りのグラス、お箸など手ごろな価格帯も結構ある。こういう“本物”を少しずつ買い足していくと、暮らしが豊かになるんだよな。

『伝統工芸 青山スクエア』では鉄器や漆器、陶磁器、刃物に木工品、織物、紙類まで、カテゴリごとに並べて展示販売。

界隈の緑の多さを実感する隠れ家カフェ

青山通りをさらに東に進むと、高橋是清翁記念公園の緑が目に飛び込んでくる。庭園の池の水が涼しげで、都会のオアシスとはこのこと。その横に建つのが、丹下健三設計の『草月会館』。「いけばな草月流」の拠点となる文化施設で、気軽に参加できるいけばな体験レッスンも行われているそう。

高橋是清翁記念公園は、第20代首相を務めた高橋是清の邸宅跡を利用。灯篭のある庭園エリアと遊具スペースに分かれる。
1977年築とは思えないほどモダンな『草月会館』。外装のカーテンウォールに青空や赤坂御所の緑が映り込む。

『草月会館』2階には、知る人ぞ知るカフェ『Connel Coffee』が。ガラス張りの店内からは、高橋是清翁記念公園を一望。こちらで買ったコーヒーやラテは、同じく2階の談話室で飲むこともできる。窓際のカウンター席は、赤坂御所の緑を見渡す特等席!

『Connel Coffee』のスペシャリティコーヒー(アイス450円)は、浅煎り~深煎りまで3種の豆から選べる。自家製スコーン各350円。
赤坂御所の緑が目を和ませる談話室。逆側はイサム・ノグチ作の石庭『天国』を見渡せる。

『草月会館』を出て南西に進むと、新坂を渡った先にあるのが「赤坂アーバンライフ」。石川さんによると「1971年築のヴィンテージマンションです。ブラウンタイルと、突き出た2つの搭が特徴的で、一見ホテルと見間違うほど風格のある外観ですね」。

大イチョウが目印となる「赤坂アーバンライフ」。100平方メートル強の広いリビングルームと個室を備えた、ゆったりとした住戸が多い。

同じくヴィンテージマンションとして人気の高いのが、1975年築の「赤坂パークマンション」だ。「三井不動産のマンションブランドのなかでも、最上級の高級ブランドが『パークマンション』。その第一号として誕生したのが、こちらなんです」。

ほかにも、三菱地所レジデンスの「パークハウス」など、青山一丁目・赤坂周辺は、各マンションの高級ブランド第1号が生まれた場所でもあるのだ。

「赤坂パークマンション」は斜めに住戸が連なる雁行型。そのため、どの住戸も角住戸のように開口部が多く取れ、明るく開放的。

坂の上で羽を休める巨大な鳥とは?

ここらで昼休憩をと思い、ドイツ文化会館にあるドイツ・オーストリア料理の店『Mahlzeit(マールツァイト)』へ。そういえば、今回の散歩エリアはカナダ大使館やカンボジア王国大使館など海外の公館が多い。「確かに、朝、ランニングしている外国の方も多いですね」とはドイツ料理のシェフ歴15年、山口雅鷹さん。肉を叩いて伸ばしたドイツのカツレツ、豚フィレ肉のシュニッツェルを注文すると、皿からはみ出すほどの大きさにびっくり!

ドイツパンやサラダがつく豚フィレ肉のシュニッツェルのランチセット1600円。+150円でドリンクを写真のウィーン風カプチーノ・メランジェに変更可。

続いて、南へ針路を取り赤坂中心部方面へ。途中、細い路地や個人商店もあり、青山通りとは雰囲気が変わる。赤坂7丁目にあるマンション「インペリアル赤坂フォラム」は、石川さんいわく「1ルーム、1DKの間取りが中心で、場所柄SOHOとして使われることが多いんです」。力道山が分譲した赤坂リキマンション所有のプールがかつてあった場所に、このマンションが建てられたというエピソードも面白い。

総戸数212戸を誇る「インペリアル赤坂フォラム」。広いロビーにはソファーやテーブルが置かれ、打合せなどに利用できる。
赤坂という地名通り、薬研坂をはじめ坂が多いのも街の特徴。

薬研坂に出て、青山通り方面へ戻ろうとすると、天を刺すようなタワマンが目に飛び込んでくる。「市街地再開発事業で2009年に誕生した、43階建ての『パークコート赤坂ザ・タワー』ですね。ユニークな三角形の建物形状は『薬研坂という高台に鳥が羽を休めている姿』がモチーフなんです」。

約6400本の樹木が緑豊かな住環境を演出する『パークコート赤坂ザ・タワー』。地上約140mの屋上には開放的なスカイデッキも!

パークコート赤坂ザ・タワー」から徒歩すぐの場所にあるのが、『Cheesecake plus』。こちらの店主は幼少時代からお菓子作りが大好きで、店の名物・チーズテリーヌのレシピが完成したとき「このおいしさをいろんな人に伝えたい」と、2019年にお店をオープンした。「仕事帰りにテリーヌを買ってくれる常連さんもいます。この辺りの住民やビジネスマンは、多少高くてもいいものを食べたい、という方が多い気がします」。

『Cheesecake plus』はテイクアウト専門。チーズテリーヌ700円、バスクチーズ650円、チョコレートテリーヌ630円(各1ピースの価格)。

豊かな緑と、洗練された空気感と。庶民には手が届きにくいけれど、この街に住めばきっと毎日がキラキラして楽しいに違いない。

マンションライブラリ
【青山一丁目~赤坂編】あの高級マンションブランドの第1号もここで誕生!「神宮外苑」「赤坂御用地」「青山霊園」など大きな緑あふれるスポットに挟まれた環境と、上品で洗練された街並みを歩けば気分はドラマの主人公?シンボリックなデザインのタワマンや味のあるヴィンテージマンションはいかが?

紹介したスポットの詳細

住所:東京都港区赤坂8-1-22 1F/営業時間:11:00~19:00/定休日:無/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線・大江戸線青山一丁目駅から徒歩3分
住所:東京都港区赤坂7-3-39/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線・大江戸線青山一丁目駅から徒歩5分
住所:東京都港区赤坂7-2-21 草月会館2F/営業時間:10:00~18:00/定休日:土・日・祝/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線・大江戸線青山一丁目駅から徒歩5分
住所:東京都港区赤坂7-5-56 ドイツ文化会館1F/営業時間:10:00~22:00(17:00からのディナータイムは要予約)/定休日:不定/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線・大江戸線青山一丁目駅から徒歩8分
住所:東京都港区赤坂4-10-21/営業時間:11:00~19:00/定休日:日・月・祝(12~5月は日・祝)/アクセス:地下鉄千代田線赤坂駅から徒歩5分

紹介したマンションの詳細

パークコート青山ザ・タワー
東京都港区南青山2-3-3
赤坂アーバンライフ
東京都港区赤坂8-6-31
赤坂パークマンション
東京都港区赤坂7-6-7
インペリアル赤坂フォラム
東京都港区赤坂7-5-34
パークコート赤坂ザ・タワー
東京都港区南青山2-3-3

*イラストマップにある残りの5軒については、マンションライブラリをご覧ください。

 

取材・文・撮影=鈴木健太 イラスト=さとうみゆき