原宿・青山・神宮外苑の基礎知識
都内最古の木造駅舎がなくなり、スタイリッシュに大きく生まれ変わった原宿駅。西口は明治神宮へ、東口はケヤキ並木が美しい表参道へと続く、このエリアの表玄関だ。
青山は、江戸幕府初代将軍徳川家康の家臣・青山家の広大な下屋敷があった場所で、表参道とともに東京を代表するファッションブランドの集積地だ。青山霊園が大きな敷地を占めるが、一歩路地へ入ると、高級住宅街が広がり、芸術家・岡本太郎や実業家・根津嘉一郎の邸宅を開放した美術館などがある。
青山練兵場跡地に整備された明治神宮外苑の完成は1926年(大正15)。東京オリンピックに向けて新たに完成した『国立競技場』、神宮球場、秩父宮ラグビー場などスポーツ施設が整備されており、散策やスポーツを楽しむ人々の姿が多い。いちょう並木など美しい植栽の宝庫でもある。
1 明治神宮
杜におわす原宿の鎮守
明治天皇と昭憲皇太后を祀る、大正9年(1920)創建の神社。約70万㎡の敷地に約10万本の樹木が生い茂る。明治神宮御苑の菖蒲田は、5月下旬になるとハナショウブが咲く。
CAFÉ 杜のテラス
天然木で癒やし空間広がるカフェ
南参道の入り口にある。建物や内装の一部には、明治神宮の枯損木を利用している。古式農法製の山番茶を使った明治の山茶ラテ500円〜やケーキセット730円〜を味わえる。
2 明治神宮ミュージアム
隈研吾設計の建物にも注目
令和元年に開館。1-2階にある展示室には、明治天皇、昭憲皇太后が実際に使用した愛用品や、美術工芸品などを展示する。定期的に展示替えし、特別展や企画展も開催している。
カネ十農園 表参道
オリジナル緑茶をじっくり味わう
静岡県牧之原市で創業した茶農園が営む体験型日本茶ティーサロン。土づくりから生産、加工、販売までの全工程を自社で行っている。カネ十煎茶と和菓子セット1200円がおすすめ。
3 岡本太郎記念館
見て触れる、アート体験を
芸術家・岡本太郎が40年以上住んだアトリエ兼住居を記念館として公開。彫刻と植物が渾然一体となった庭、当時のまま保存されたアトリエなど、岡本太郎の息吹を体感できる。
4 根津美術館
深山幽谷の趣ある庭園も見事
東武鉄道の社長などを務めた実業家・根津嘉一郎が蒐集した日本・東洋の古美術品約7400点を収蔵・展示している。
5 青山霊園
日本初の公営墓地は桜の名所
明治7年(1874)に開設。美濃郡上藩(現岐阜県郡上市)の青山家の下屋敷があったところで、都心の貴重な緑の空間となっている。大久保利通、志賀直哉、斎藤茂吉などが眠る。
6 明治神宮外苑いちょう並木
146本が色づく黄葉が見事
青山通りから外苑円周道路まで300mに植えられる。『聖徳記念絵画館』へ向かって下り勾配を描くように植えられ、遠近法を用いた景観美として海外からも称賛される。
7 日本オリンピックミュージアム
スポーツの楽しさを再認識
オリンピックの精神について学べる体験型施設。歴史や大会の雰囲気がわかる映像、オリンピック出場選手の走る速さやバランス能力を体験できる展示などがある。
8 国立競技場
神宮の杜と調和するスタジアム
建築家・隈研吾らによるデザインで、「杜のスタジアム」がコンセプト。軒庇に使用した木材は47都道府県から森林認証を取得したもので、スタジアムの方位に応じて配置している。
9 聖徳記念絵画館
史実に基づく80枚の名画が圧巻
大正15年(1926)築の花崗岩造りの建物は、国の重要文化財。明治天皇、昭憲皇太后お二方の御事績を描いた「大政奉還」「江戸開城談判」などの80枚の壁画が展示されている。
取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『街がわかる 東京散歩地図』より