丘の上の一軒家で、至極の南欧料理を『杜の小路』[藤沢]
駅から離れた住宅地のど真ん中に、本格洋食が味わえる名店あり。特筆すべきはサービスセット。厚さ2cmほどのヒレ肉はナイフがすっと通るやわらかさで、マスタードソースを絡めて頬張ると口いっぱいに滋味が広がる。メインを囲む、付け合わせのさくっと軽やかな天ぷらにも注目。「これで天丼を!」とリクエストされることもある、隠れた人気の品だ。太っ腹かつ破格で、心も胃袋も大満足!
『杜の小路』店舗詳細
藤沢産の食材を使ったスイーツにキュン『3+3 CAFE』[藤沢本町]
空の広いテラス席のソファでくつろぐお客さんの姿を見て、「藤沢駅北口で江の島ビューの屋上カフェはうちだけ」と店長の常盤木将さん。ロケーション以外に、藤沢産にこだわった充実のスイーツメニューも人気の秘訣。江の島のシーキャンドルをイメージしたキャロットケーキは、市内にある金子養鶏場の生みたて卵を使用。クリームチーズ&ホイップクリームのダブル使いで、食べごたえ満点!
『3+3 CAFE』店舗詳細
インテリアもスイーツも一目ぼれ必至『cafe yokoron:』[藤沢本町]
アンティーク家具が品よく美しく配された空間が、奥行きの深い建物の先まで続く。「手頃なものを思いつきで飾っているだけ」と店主・yokoさんは謙遜するが、まるで洋書の中の世界だ。メニューにも独自のセンスがキラリ。頭の中には常に新作のアイデアがあり、季節ごとにメニューを一新。夏のイチオシはプラムの果実酢のシロップジュース。口に含むと、きゅっと爽やかな酸味が体を駆け巡る。季節ごとに変わるメニューはInstagramにてご確認を。
『cafe yokoron:』店舗詳細
てんこ盛りの鮮魚と自家製からすみに感涙!『食彩 真こと』[茅ケ崎]
釣りに料理に食べること。大の魚好きが高じて料理の道に入った、岡﨑誠さんが営む。見目麗しい海鮮ばらちらしは、小田原漁港で揚がったアジに太刀魚に赤イカ。小笠原のツチホゼリ。さらに〆鯖に本マグロ、トドメのまばゆいからすみといった種が幾重にも重なる。ようやくたどり着いた酢飯は、土鍋で炊き、長期熟成の赤酢を打ったハリと艶が身上だ。「半分ほど召し上がってからかけて下さい」と添えられる卵黄は、伊勢原の直売所に買い付けに行く寿雀卵(じゅじゃくらん)。なんと濃厚か。夢中で箸を進めて顔を上げると、そこに岡崎さんの底抜けに明るい笑顔。元気まで満たされる!
『食彩 真こと』店舗詳細
たやすく夢心地。全部主役級の12貫『鮨みやもと』[茅ケ崎]
「昼は大サービス。より多くのお客様にご利用いただきたくて」とは、店主・宮本信也さんのお言葉。川崎北部市場をはじめ、伊豆・川奈や宮城・閖上(ゆりあげ)から直送される上質な鮮魚は、夜と同等。酢飯は、3合炊きの南部鉄器の羽釜で炊き上げ、赤酢を合わせるインパクトのある味わい。伊豆や東京、横浜で修業し、食べ歩きを重ねて江戸前鮨を追求する宮本さんが心を砕くのは、「酢飯との一体感」。隠し包丁を入れた鮨種は狙いどおりに融合し、一貫目から心を摑(つか)まれる。はしりのもずくや佐島のタコといった季節の一品や、濃厚な出汁のお椀まできっちり美味で夢心地だ。
『鮨みやもと』店舗詳細
取材・文=林加奈子、沼由美子 撮影=丸毛透、井原淳一、小澤義人