削った氷を一口食べれば幸せ!『港家』[浅草橋]
日中は静かな鳥越おかず横丁で、午後3時を回るとここだけが大騒ぎ。幼稚園帰りの親子連れ、学校が終わった小中学生たちがエンドレスでやってくる。削った氷で満杯になったところでカップの底をトントントン。氷が半分くらいに沈んだらシロップと再び氷。「かき氷は家内の楽しみだから」とほほ笑むご主人、和菓子店三代目が作る自慢の餡や白玉入りも大人気だ。「毎日来てくれる子どもたちが買える値段じゃなくちゃね!」。下町の行列は続く。
『港家』店舗詳細
氷のふわふわ感が最高。『船橋屋 亀戸天神本店』[亀戸]
東京屈指のくず餅の名店が、真夏も季節を感じてほしいと始めたかき氷。今や提供開始を待ちわびる常連も多数の名物だ。シロップが別添えなのは氷のふわふわ感を味わえるようにとの心遣い。1952年生まれの木造家屋は天井も高く、照明も抑え気味。中庭を彩る花のなかにはくず餅職人が丹誠込めて育てたものも。江戸の名所 ・ 亀戸天神の藤と梅は時季じゃないけど、木々の色濃い緑を愛(め)でながら今日は何の味にしようかと思い巡らすのも、 夏のお楽しみ。
『船橋屋 亀戸天神本店』店舗詳細
スイカがおしゃれに澄まし顔。『フルーツパーラーゴトー』[浅草]
東京より関西で見かけることが多い氷すいか。パーラーを始めた1965年からのメニューというが、開店当初にいた職人が関西出身と聞いて納得。しかしスイカシロップを考案し、美しい盛り付けにしたのは三代目店主の後藤浩一さん。その時季に一番おいしい銘柄を選び、シロップの作り置きもしない徹底ぶりは氷すいかの革命だ。他にもプラムなど旬の素材の氷が揃うのは果物店ならでは。器に残ったジュース用にストローを添えるなんて心憎い!
『フルーツパーラーゴトー』店舗詳細
進化し続けるアイスキャンデー。『鯛焼きのよしかわ』[東伏見]
移動販売の鯛焼き屋を営む吉川好英(よしひで)さんが、夏用に手作りで始めたら好評に。鯛焼き用大納言にタピオカ粉を加えたむっちり食感の小豆120円や、ミニトマト入りのトマト180円、果肉満載の河内晩柑(かわちばんかん)240円など、約10種(前後)はどれも香味が抜群。
『鯛焼きのよしかわ』店舗詳細
手づくりジェラート。『タケヤ・デザートイン』[武蔵小山]
ジェラートはタケミドリさんの手作り。素材の香りが口いっぱいにはじけ、後味さっぱり。自家発酵のヨーグルトに、昨年漬けた梅酒、頂きもののヨモギや、自家栽培のミントなど、多彩だ。「味はひらめきで変えたりするの。亡くなった主人が教えてくれるのね、きっと」。シングル350円、ダブル450円、トリプル500円。
『タケヤ・デザートイン』店舗詳細
ひんやりなめらかな舌触り。『SOWA』[神谷町]
乳脂肪の高い生乳と生クリーム、バターで作り、コクがあるのにしつこくない。先代がアイスの時代到来を予見し、1955年に創業。アイスクリーム・シャーベットは全て220円、日替わりソフト290円は40種も用意する。
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老舗和菓子舗ならではの新味。『うさぎや』[上野広小路]
四代目店主の谷口拓也さんは、北海道紋別の牧場で食べたソフトクリームに感動。「これはイケる」と、看板菓子であるどら焼きの餡を携え再訪し、相性を確認。昨夏よりどら餡ソフトオレ300円を開始した。牧場仕入れの牛乳を加えたみずみずしいミルクソフトに粒餡が混ぜ込まれ、ほどよい甘みに頬が緩む。
『うさぎや』店舗詳細
子供も楽しめるモカソフト。『ミカド珈琲店 日本橋本店』[三越前]
「子どもも楽しめるメニューを」と誕生して50年余り。ミカド珈琲のモカソフト®(1階・テイクアウト390円、2・3階席500円)は、新鮮なミルクに負けぬようソフト専用に深く焙煎した豆を抽出。カップに添えた自家製シロップ漬けのプルーンが名脇役。
『ミカド珈琲店 日本橋本店』店舗詳細
小倉アイス発祥の店。『みつばち』[湯島]
明治42年(1909) から下町娘の憩いの場。 「女学生の頃来たわ」 と懐かしむお客も多い。看板商品は何といっても小倉アイス。その昔、かき氷用の小豆を凍らせてしまい、試しにアイスクリーム製造器で混ぜたら美味だったことから誕生した。原料は小豆と砂糖、塩少々。乳脂肪分ゼロなので牛乳アレルギーの人にも安心だ。店内ではもなかに挟んだり白玉を添えたり黒蜜をかけたりと、思う存分楽しめる。
『みつばち』店舗詳細
自家製ところてん。『てん屋』[京急蒲田]
50年ほど前にところてん屋を始め、ほぼ毎日店内でテングサを煮つめて、生寒天を作り続けてきた。テングサは伊豆半島の問屋から取り寄せている。面白いのはその場で 「細め」 「平太」 など、さまざまな太さのところてんを、木製天つきでついてくれること。その上、酢醤油タレのほかに黒蜜やアンコやぎゅうひといった自家製トッピングを、自分好みに選べる。持ち帰り中心だが、店内で食べることもできる。
『てん屋』店舗詳細
インパクト大な喫茶名物。『デン』[鶯谷]
なぜこんな姿になってしまったのだろう? アイスコーヒーと氷を入れたグラスに、ミルク色のソフトクリームを6、7巻き。最後にポンとコーンの帽子をのせれば、『デン』のコーヒーフロートは出来上がり。「ソフトは開店した1971年からあります。このフロートも親父のひらめきで作りました。うちは何でも思いつきなんです」と笑う2代目の根本たかのりさん。食べ方に悩むが決まりはない。筆者はまずコーンに少しずつ移して食べる。コーヒーに浸ったクリームは凍っていて驚きのシャリシャリ感。名物を生み出したお父さんのセンスと心意気に感謝。
『デン』店舗詳細
ひんやり甘~い8色のソフト『デイリーチコ』[中野]
中野ブロードウェイがオープンした約50年前、同時に開店。店主の鈴木正博さん曰く、好きが高じてソフトクリームを始めたのは、それから20年ほど経ったころだ。以来、ソフトクリームは店内で製造。名物の特大サイズを見るとわかるが、味は全部で8種類もある。8坪にも満たないスペースで大変じゃないですか? 「こんなにたくさんの種類、仕入れたくても出回ってないので、自分で作るしかないんです。ワハハ!」
あむっとかぶりつき、「ピンク(イチゴ味)が好きなのぉ」とはしゃぐちびっこの笑顔に、通りすがりの買い物客もつられてニッコリ。
『デイリーチコ』店舗詳細
果物のプロが手がける旬の味わい『マチヤス』[京成曳舟]
果物店だったお店がカフェにリニューアル。果物店だった頃、3代目の妻・町山公美子さんがジェラート店で働いた経験を活かし始めたジェラートは、カフェになっても変わらぬ人気。大田市場から仕入れた果物を、風味を損なわぬよう加熱せずに使用。すいかに宮崎マンゴー、マスクメロン、桃などと元果物店らしい旬のラインナップ。生の味わいをシャリシャリと! 250~350円。
『マチヤス』店舗詳細
新鮮生乳と旬の果物をご一緒に『アルティジャーノ・ジェラテリア』[百草園]
日野市内唯一の酪農家「モグサファーム」のジェラート店。東京牛乳に使われる搾りたて自家生乳の濃厚なミルク系のジェラートはもちろん、旬のフルーツ系もあなどれない。素材は極力地元産を使用し、水とグラニュー糖のみでさっぱりと仕上げる。夏はブルーベリーやトマトが登場。シングル350円、ダブル450円+お店で手焼きのワッフルコーン120円。
『アルティジャーノ・ジェラテリア』店舗詳細
フルーツそのまま入ってます!『ビスキュイ』[新柴又]
毎年GWから9月末頃まで販売される人気商品は、選ぶのも悩ましい約30種類のアイスキャンディー。ボリュームがあるので最後まで食べ飽きないよう、できる限り生の果汁を使い、オレンジにキウイ、イチゴにパインなど様々な果実を表面いっぱいに閉じ込める。フルーツ感満点! 380円。
『ビスキュイ』店舗詳細
『近藤醸造 工場直売店 [武蔵増戸]
「キッコーゴ」でおなじみ、創業110年になる都内で唯一の醤油工場。ここに併設された直売所で食べられるジェラートが、たまらないのだ。使われているのは二枚看板のひとつ、旨味成分たっぷりの五郎兵衛醤油。エアリーで軽やか、かつ素朴な甘みが、醤油の塩味、コクを帯び、芳醇な味わいを醸す。ああ、食べ終わりたくない。350円。
『近藤醸造 工場直売店』店舗詳細
精進料理をヒントに作られたアイス『池上本門寺 花峰』[池上]
池上本門寺名物は精進料理をヒントに作られたアイス。牛乳、バターなど動物性原料は一切使わず、豆乳がベースとなっている。九州産大豆を使ったTOFU(手前)は、後を引かないほのかな甘みが心地よい。仏様のおかげか、アイスのおかげか、健やかな気持ちになれる。ほかに黒みつきな粉、ほうじ茶を含め全7種。1個300円。
『池上本門寺 花峰』店舗詳細
せんべい屋が考えたアイデア商品『みりん堂』[とうきょうスカイツリー]
店で人気のぬれせんでソフトクリームをサンド。「ぬれ」と言っても焼き目はこんがり香ばしく、キリッと醤油が効いた硬派なせんべいだ。塩味と甘みのコントラストが、食べ進めるごとになじんでいくのが絶妙。上の1枚をはずし、スプーンのようにソフトクリームをすくって食べてもいい。1個270円。抹茶味324円も。
『みりん堂』店舗詳細
手づくり味噌と糀の老舗『井上糀店』[多摩境]
手づくり味噌と糀の老舗が、八王子にあるイタリアンジェラートの名店『ダ ルチアーノ』と共同開発。まず、アイスクリームのはっきりした甘みを感じ、後から味噌に含まれる滋味深い大豆の甘みが追いかけてくる。この2つが出合い、口中に行き渡ったら、今度は塩味がブワッ。めくるめく味の展開に味覚が釘付けだ。300円。
『井上糀店』店舗詳細
【ひと足延ばして横浜も!】象の鼻カフェ[日本大通り]
つい笑みがこぼれる、愛らしさ
アーティストカフェとして、食を媒介にアートの広がりを提案。その一つがゾウノハナソフトクリーム420円だ。北海道産ミルクのソフトを、専用の機械で搾り、チョコチップとワッフルで象さんに。作り手で微妙に表情が変わるのもご愛嬌。
『象の鼻カフェ』店舗詳細
取材・文=高野ひろし、佐藤さゆり・信藤舞子(teamまめ)、下里康子、眞鍋じゅんこ 撮影=木村心保、泉田道夫、千倉志野、オカダタカオ、鴇田康則