炎天下、沸騰寸前の体にはピンポイント冷却が一番。ひやっこい甘みで、うだるような夏の暑さを吹き飛ばそうではないか。自慢の涼スイーツを提供する東京12店と横浜1店をご案内! 涼スイーツといっても、かき氷、アイス、和甘味など、多種多彩でいろどりみどり。見目麗しく涼やかなるスイーツを求めてあの街へ!

『竹むら』(淡路町)

甘過ぎないのが見事なクリームあんみつ800円。

この店は昭和5年(1930)創業時の木造建築。「うちは並びにあるかんだやぶそばが親戚筋で、この建物もそば屋建築に何となく似ています」というのは二代目ご主人。長年のお客がいつ来ても同じ味をと昔ながらの調理法だが、クリームあんみつも案外甘さ控えめに感じる。自家製赤えんどう豆の塩気や生寒天の風合いが絶妙に調和しているのだ。寒天で程よく腹を冷やし、最後に熱いお茶で締めくくるのが江戸の粋だ。

揚げまんじゅう500円は全部手作りの限定品。
昭和初期に万世橋駅が開業、当時はここが駅前商店街だった。近頃アニメに登場し、ファンの聖地に。

『竹むら』店舗詳細

住所:東京都千代田区神田須田町1-19/営業時間:11:00~19:00/定休日:日・月・祝(8月13~16日)/アクセス:地下鉄丸ノ内線淡路町駅から徒歩3分

『てん屋』(京急蒲田)

澄んだ味わいが職人の真面目さの証し

あんみつ700円。店内で食べる場合、あんみつの豆は温かいまま別添えで提供される。

原材料が天草、水のみとシンプルゆえ、「丁寧に行うことが一番」と2代目の平野雄司さん。天草は伊豆産で 「半島の東側は波が荒く、太くて香りや味が強いものが多い」 そうだ。塩梅をみながら東と西を調整して使う。完成品は水にさらしてあり、注文ごとに天突き器で切ってくれるのがうれしい。あんみつもあんこなど一つひとつ手作りで、赤エンドウ豆のふっくらした食感がハリのある寒天とコントラストを成し、やみつき。

ところてん(1人前半)200円。あんこや豆は別売り。
店頭で持ち帰り用を販売。

『てん屋』店舗詳細

住所:東京都大田区蒲田3-7-6/営業時間:7:00~19:00/定休日:無/アクセス:京急本線京急蒲田駅から徒歩5分

『甘味処 みつばち』(湯島)

こしあんとあま~い黒蜜が濃密に絡み合う

小倉白玉あんみつ780円。求肥も自社製で、抹茶を混ぜた緑色はイートイン限定。

あんこが舌の上でほろっと崩れ、とろ~っとした黒蜜と絡む。北海道産小豆の旨味を引き出した素朴なこしあんと、ファンから「どこよりも甘い」「癖になる甘さ」と評判の黒蜜は、紛うことなき名コンビだ。あんこは初代の味を守り、黒蜜はそれに合うように考案されたとか。通常の約3倍の量の沖縄県産黒糖を寸胴鍋の中で砕きながら煮詰め、それをポットで提供。お好みの量をかけて。

明治42年(1909)の創業時は氷業を営ん でいた。看板の小倉アイスは大正生まれ。

『甘味処 みつばち』店舗詳細

住所:東京都文京区湯島3-38-10/営業時間:11:00~21:00(喫茶は~20:00。3~10月の平日は10:00~、喫茶は10:30~ 20:00。土 ・日 ・祝は通年10:00~、喫茶は10:30~20:00)/定休日:無/アクセス:地下鉄千代田線湯島駅から徒歩2分

『甘味処 甘寛』(北千住)

絶妙にふっくらした個性派つぶあん

あんみつ880円の寒天は味付きで、宇治抹茶、 徳島県産の阿波和三盆、黒糖の3種。

日々、愛用の羽釜でこしあん、つぶあんを炊き、メニューによって使い分け。あんみつに合わせるつぶあんは北海道産とよみ大納言の豆の歯触りと、ほどよく水分を含みふっくらした食感を併せ持ち、独特の仕上がりになっている。さらりとした白蜜の透き通った甘みも白眉。別々の器で登場するので、あんこオンリーで味わったり、椀に移して白蜜をつけたりいろんな食べ方を楽しんで。

レトロなランプシェイドや窓にはめた色 ガラス、壁の絵が店内を彩る。

『甘味処 甘寛』店舗詳細

住所:東京都世田谷区北沢2-9-24 博雅ビル2/営業時間:12:00~19:30LO/定休日:月(祝の場合は翌火)/アクセス:小田急線 ・京王井の頭線下北沢駅から徒歩3分

『あんみつ みはし 上野本店』(上野)

究極のソフトこしあん&さっぱり黒蜜

専門店らしく、クリーム、杏(あんず)、小倉、抹茶など、あんみつは種類豊富。基本のあんみつ530円。

珍しい直方体のあんこは雑味のない穏やかな甘みが感じられ、舌触りもユニーク。北海道産の小豆を丁寧に炊いた後、昔ながらの製法によって晒らし、よく搾り、加糖。柔らかく、口溶けのいいこしあんにするには、最後にあまり練り上げすぎないのが秘訣だ。これとタッグを組むのは、那覇市より450kmほど南にある波照間島の黒糖を使った黒蜜で、さっぱりした甘みと鼻先を舞うきりっとした香りがたまらない。

店内ではおでん(冬季限定)800円 など軽食も。
店先にみやげコーナーも。持ち帰り用あんみつ420円。

『あんみつ みはし 上野本店』店舗詳細

『成城あんや』(成城学園前)

素材を生かしたピュアな味わいが秀逸

あんやあんみつ847円。

北海道産小豆を使ったあんこは、空気を含ませながら火入れし、あんみつ用に柔らかく練ったもの。キメの細かい上品なこしあんで、えぐみのないまろやかな黒蜜がマッチする。黒蜜の材料は種子島から直送されてきた黒砂糖のみ。器の底には、一般的な賽の目状の寒天ではなく、南伊豆の天草を大鍋で煮出して作るところてんを崩して入れてあり、ちゅるんとした喉ごしのよさが全体をきれいに一つにまとめている。

茶房は店の奥。手前には売り場があり、持ち帰り用あんみつ584円も手に入る
和 ・洋どちらも手掛ける老舗菓子店『成城凮月堂』の姉妹店。和菓子をより追求すべく2004年にオープン。

『成城あんや』店舗詳細

住所:東京都世田谷区成城6-5-27/営業時間:9:00~20:00(喫茶は10:00~19:00LO)/定休日:無/アクセス:小田急線成城学園前駅から徒歩1分

『あんみつの深緑堂』(向島)

華のある見た目、味わいにときめく

あんみつ750円にはクルミと赤スグリ、ハ ーブの一種、チャービルをトッピング。

赤みを帯びた紫色のこしあんにうっとり。豆を煮る過程で渋切りを素早く行うのが、北海道産小豆の色をきれいに出すコツだ。口に入れるとなじみがよく、黒砂糖をはじめ数種類の砂糖をブレンドして作った黒蜜が、絶妙な対比効果であんこの滋味、澄んだ香りを煽る。後味をすっきりさせるのは寒天で、伊豆各地から異なる食感を生む天草を集め、配合によってベストな弾力を拵えている。

カウンター席があり、一人でも入りやすい。店を営む鈴木さん夫妻との会話も楽しい。
桜橋通り沿いの地元に愛される甘味処。

『あんみつの深緑堂』店舗詳細

住所:東京都墨田区向島5-27-17/営業時間:11:00~17:00LO(売り切れ次第終了)/定休日:月 ・木(祝の場合は翌日)/アクセス:私鉄 ・地下鉄押上(とうきょうスカイツリー)駅から徒歩10分

『甘味 かどや』(大師前)

昭和から紡ぐ風情と味わいに惚れる

あんみつ400円。

存在感のある筆看板の下で、白地暖簾(のれん)がはためく。店に入り、昔ながらのあんみつを頬張れば、身も心も大満足。クリームあんみつや、ゆであずきも味わえるのがうれしい。「おばあちゃん直伝」と、娘の中田有香さんが胸を張る今川焼きも見逃せない。卵入り生地とラードの温かな香りが鼻先をかすめ、食べれば端はパリッ、それでいてふんわり。中に詰まった北海道小豆のつぶあんもほっくりとろり。

西新井大師の門前町で1955年から家族で営む店は、小瓶のサイダー200円がよく似合う。
今川焼120円のみ注文の場合は2個~。
有香さんの腕に惚れた是枝裕和監督は映画『万引き家族』に登場させた。今川焼の購入は専用入り口から。
焼そば350円の具はシンプルにキャベツのみ。焼そばを注文すれば、二度蒸しの麺がほんのり茶色。そこに自分でソースを回しかけ、一口すすれば麺がぷるっぷるだ。
味のある看板と白地暖簾がお出迎え。

『甘味 かどや』店舗詳細

住所:東京都足立区西新井1-7-12/営業時間:11:00~16:30LO/定休日:不定/アクセス:東武鉄道大師線大師前駅から徒歩3分

『甘味 おかめ 麹町店』(半蔵門)

恍惚(こうこつ)となるほど、目に舌にうれしい素朴な甘み

ソフトクリームを蔵王の山に見立てた蔵王あんみつ840円。

おかめのお面とお福さんに出迎えられ、松本民芸家具の水屋簞笥(たんす)が粋。終戦翌年に有楽町で始まった店は、再開発を経て、1990年に麹町に本店を移した。ゆったりした席に着けば、「甘いものにはお茶よね」と、静岡産ほうじ茶がすっと差し出される。果実なしの蔵王あんみつは、金時豆のふくよかなこと。みやげとしても人気の拳大おはぎも絶品。北海道小豆のつぶあんと糯米(もちごめ)がねっとり絡み、やさしい甘みにため息がもれる。「田舎のおばあちゃんの味に似てるって言われるの」と、 目を細めるのは3代目の阿部弘子さん。「本当は甘味だけでやりたかったの」と笑うが、毎朝の仕込みはかつお出汁をひくことから。茶めしおでんや雑煮で、じっくり味わいたい。

煎茶・おはぎ(2ヶ付き)セット840円。つぶ餡ときなこの他、胡麻、春限定のさくらから選んで。
出汁で炊いた茶めしおでん980円。
書家の久泉氏が店内で書き、経師屋がその場で仕立てた「しる古」が印象的。

『甘味 おかめ 麹町店』店舗詳細

住所:東京都千代田区麹町1-7 フェルテ麹町1F /営業時間:10:30~18:30/定休日:土・日・祝/アクセス:地下鉄半蔵門線半蔵門駅から徒歩3分

構成=フラップネクスト 取材・文=信藤舞子、佐藤さゆり 撮影=オカダタカオ、阿部了