◆散歩コース◆

体力度:★☆☆
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 1月~12月
  • 最高地点 290m(官ノ倉峠)
  • 登山開始地点 115m(東武竹沢駅)
  • 歩行時間 3時間
  • 歩行距離 約7km
スタート
東武竹沢駅
線路の下をくぐって車道を右へ行くと、「東登山道」の大きな看板あり。そこから左手に入って行く。

東登山口
登山口からすぐ尾根コースへの分岐。道なりに上がる。避難小屋から少し勾配が増す。岩場を上がって山頂。

金勝山
裏金勝山、「小川げんきプラザ」の先で下山開始。道は入り組んでいるので道標を参考に下りて行く。

南登山口
少し戻って八高線を越え国道254号を右折する。先で左折し兜川沿いに進む。右手の小路に入れば吉田家住宅だ。標識が多いので迷わない。

吉田家住宅
勝呂の中心部の道に戻ると分岐に「三光神社 官ノ倉山」の道標あり。そこから入り、三光神社方面へ。

三光神社
右手に三光神社。拝殿は1951年に建築。ここから天王池までは舗装路。その先から土道の登山道に。

官ノ倉峠
峠の手前はジグザグの急坂。峠から官ノ倉山へは岩場の急坂になる。峠からは緩く歩きやすい下りの道に。

ゴール
安戸バス停


アクセス:
[行き]池袋駅から東武東上線で小川町駅へ。小川町駅から東武東上線で東武竹沢駅へ、約1時間15分。
[帰り]安戸バス停からイーグルバスで小川町駅へ。小川町駅から東武東上線で池袋駅へ、約1時間20分。


安戸バス停から小川町駅へ行くイーグルバスは、平日なら1時間に1便はあり、16時と17時台が2便あるが。土休日は16時、17時台も1便となる。平日のほうが便利なようだ。

武蔵国の里山を歩いて、今も息づく風土を体感する

官ノ倉は344m、金勝山は263m。標高はたしかに80m負けている。官ノ倉は山頂手前が急坂で岩場というのも本格的で良いのかもしれない。が、人気はというと金勝山の勝ち。データは地元の人、それもたった2人。実に信頼性のないデータだが、お2人ともこう口をそろえる。

「官ノ倉もいい山ですよ、でもね、金勝山のほうがいいですよ。こちらのほうが楽しめる。実際、登られる方も多いですよ、官ノ倉よりも」

実証は難しい。お2人を信じるしかないが、東武竹沢駅から金勝山に向かうことにした。官ノ倉は、ついで行くかもしれない。

平日の10時前に東武竹沢駅で下車。早朝なら乗降客などはいるのだろうが、今日は皆無。駅前の広場でも同じ。駅の反対側に出て車道を歩いて登山口へ向かった。

と、右手に大きな看板。これは道標とはいえないまさしく看板、大きな文字で「東登山道」とある。民家の脇の道から山路は始まった。

すぐ分岐になり、左手の尾根ルートを選ぶ。最後の民家の脇を上がると土道の尾根道になる。木立の中のゆるやかな道を上がって行く。周りは杉林だが、陽が射しこんでくるので暗くはない。勾配がやや増してくると、名もないピークへ。ベンチだけがあった。ひと休みして、いったん下ってまた上がると白い避難小屋が見えてきた。第一避難小屋と書いてある。中はかなり広い。いわゆる山の避難小屋ではないようだ。

最後のちょっと急な岩場を上がると金勝山の山頂だ。大霧山方面と小川町方面の眺めがいい。麓の勝呂の集落などもよく見える。

金勝山から東側の眺望。小川町の街並み、東上線と八高線の眺め。奥の山は仙元山など。南側には勝呂の集落や官ノ倉山などがよく見える。
金勝山から東側の眺望。小川町の街並み、東上線と八高線の眺め。奥の山は仙元山など。南側には勝呂の集落や官ノ倉山などがよく見える。

これはちょっといい。地元のおすすめは信用できるかもしれない。

すぐ裏金勝山に上がり、「小川げんきプラザ」へ。そこからは日光方面の山々が見えるというが、霞んでいていまひとつ。眼下のホンダの白い工場が目立っている。

小川げんきプラザから南側を見ると、官ノ倉山(右)と石尊山(左)が見える。写っていないが、堂平山と笠山も見えた。
小川げんきプラザから南側を見ると、官ノ倉山(右)と石尊山(左)が見える。写っていないが、堂平山と笠山も見えた。

茅葺き屋根の吉田家で思わず長居

「げんきプラザ」から南登山道を下り、勝呂にある吉田家住宅へ。今も薪を燃やして茅葺き屋根を燻し続けている生きた古民家だ。八高線の線路を渡って兜川沿いに歩く。なんでも国の重要文化財とのことなので寄っていくことに。

八高線の北側からみた勝呂(すぐろ)の集落。明治期までは竹沢六村のひとつで竹沢勝呂村といった。
八高線の北側からみた勝呂(すぐろ)の集落。明治期までは竹沢六村のひとつで竹沢勝呂村といった。
竹沢駅近くのJR八高線。線路は何度も見たが、走っている電車を見たことがない。八高線は1時間に1本程度の運行。
竹沢駅近くのJR八高線。線路は何度も見たが、走っている電車を見たことがない。八高線は1時間に1本程度の運行。

吉田家は茅葺き屋根の大きな家だった。背の高い木戸を開けて入ると、そこは別世界。家の中を煙で燻しているので、中は薄暗い。目が慣れてくると、囲炉裏が2つ。

主に勧められて腰をおろしたら、根が生えたように長居してしまった。予定では1時間以内に出て官ノ倉山へ行こうと思っていたが、2時間を越えてしまった。

内部は三間広間型と呼ばれる江戸時代の典型的な建物。内部には囲炉裏が2カ所、土間の東側には厩で、牛や馬が飼われていた。
内部は三間広間型と呼ばれる江戸時代の典型的な建物。内部には囲炉裏が2カ所、土間の東側には厩で、牛や馬が飼われていた。

1721年(享保6)に建てられた民家で、実年代が判明している家としては埼玉県最古のもの。1988年に国の重要文化財に指定された。寄棟造りの大きな茅葺き屋根の家。広さは200㎡くらい。よくある重要文化財はただ家があるだけ、というのが多いが、ここは薪を燃やして屋根を燻しているという。生きた文化財といえる。

●10:00~16:30、月・火休(不定あり、訪問前に御確認ください)。JR竹沢駅から徒歩15分  ☏0493-73-0040

囲炉裏では自分で団子を焼いて食べられる。火のそばにある竹筒はカッポ酒で、日本酒を入れてお燗して飲む。
囲炉裏では自分で団子を焼いて食べられる。火のそばにある竹筒はカッポ酒で、日本酒を入れてお燗して飲む。
外からはわからないようになっている二階の部屋。ちなみに改修、復元にはほぼ2億円かかったという。寄付ではないので、吉田家が一部負担したという。
外からはわからないようになっている二階の部屋。ちなみに改修、復元にはほぼ2億円かかったという。寄付ではないので、吉田家が一部負担したという。

お茶を飲んだり主と話したり。とにかく居ごこちがいい。ここにいるだけでいい。これでは帰れなくなると思い、おいとまして官ノ倉方面へ向かったが、案の定、官ノ倉峠に着いたときには日が陰ってきたので、今回はまっすぐ安戸のバス停に下りた。

山歩きメモ

官ノ倉山から小川町駅まで歩くルートもあり。官ノ倉山から石尊山へ進み、クサリ場の急坂を下りて北向不動へ出る。駅までは5㎞近くあるので、土道のあとは舗装路歩きとはいえ所要1時間以上。

アドバイス

さほど危険箇所はないが、官ノ倉峠から官ノ倉山への登りが急坂で、岩場。とくに下る際に注意したい。しっかりとした登山靴を履いていこう。金勝山は危険箇所はあまりない。途中、お店などはない。駅周辺にもない。

illust_14.svg

太田ホルモン

小川町駅前通りに山アフター向けの名店あり

夕方になると、閑散とした寂しい小川町の通りに灯りが灯る。それは太田ホルモンの赤提灯の灯りである。最近はのれんが新しくなったが、以前は、ややぼろいものだった。しかし味とボリュームは抜群。煮込みや焼き鳥などなど。おすすめ。

●16:00~22:30、日・第3月休。JR・私鉄小川町駅から徒歩5分 ☏0493-72-1025

つくねやレバーなど。食べきれないほどの大きさ。
つくねやレバーなど。食べきれないほどの大きさ。
店先で焼き鳥を焼いている。通りまでいい匂いが漂う。
店先で焼き鳥を焼いている。通りまでいい匂いが漂う。

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ 低山をきわめる!』より