西池袋に誕生した家系ラーメンの新店
東京芸術劇場から西池袋公園に向かう三叉路の角に立ち、「福」の文字が描かれた赤提灯が目印だ。表に置かれた看板には「ライスに本気」の文字が……。何のことだろうと、ちょっと気になる。
券売機前で何を食べようか迷っていたが、店名が付いた福袋盛りラーメン1000円の写真に惹かれて、こちらを注文することに決めた。注文時に、味の濃さ、脂の量、麺の硬さをそれぞれ3段階から選べるが、初めてなら“普通”から試してみよう。
自慢のトッピングを楽しむ豪華盛り
どんと目の前に置かれた丼にびっくりした。どこからどう崩して食べようか迷ったが、まずは自慢のスープから味わってみる。鶏油(ちーゆ)が少し浮いたスープは、さらっとした飲み口なのが特徴だ。
醬油のキレと、動物系スープのコクが合わさって、濃厚ではあるが飲みやすく、小さな子供から年配の方まで食べやすい。塩気もちょうどよく、これはご飯がよく合うだろうなと思い、ライス100円も追加で注文した。
「だるま製麺」の中太平打ち縮れ麺は、モッチリとそしてプリッとした食感で、スープの旨みを絡みとる好みの麺だ。短めだからするっと食べられるのもいい。
トッピングのチャーシューは、豚肩ロースを使用。柔らかく、ジューシーな食感なので、麺をくるっと包んで食べてみるのもおすすめだ。
食べ進めるうちに、追加で頼んだごはんを食べてみると、ごはんそもののが甘くておいしい! 表看板の「ライスに本気!」の意味がわかった。トッピングの海苔をスープにひたして、ご飯をくるんで食べるのがおすすめで、スープの濃厚さとごはんの甘さ、そして海苔の風味の調和がよく、最後の1滴までしっかり味わうことができた。
ラーメン作りに真摯に向き合う若き店主に期待
店主の阿部優輝さんは、10代のころからラーメン店でアルバイトをし、後に『吉祥寺 武蔵家』で修業後、今回独立開業をした。「最初にアルバイトで入った店がとても面白くて、ラーメン店の仕事にはまっていきました。縁があって吉祥寺のお店で3年半ほど修業をし、こうして独立できました」と話す。
スープ作りについてもとても丁寧に説明してくれて、自信があるのを感じる。意思の強さと、ラーメン作りにしっかりと向き合う姿に関心した。
スープは呼び戻し方式といわれる2つの鍋で作っている。創業時から絶えずスープを継ぎ足し続けるメインの1番と、毎日フレッシュなスープを継ぎ足すための2番を使い分ける。どちらにも大量の背骨を使い、ここが味の基本となるため調整がとても重要だ。
「修業時代に学んできたことをここでしっかり出せるようにしています。自分が作っているラーメンがいつでも100点だと思って仕事をしています」と阿部さん。スープ鍋を見つめる目は真剣そのもので、だからこそ完成度の高い家系ラーメンが味わえるのだと納得がいった。
今度は、あご塩や肉そばといった違った味も試してみたいと、ますます期待感も高まった。
取材・文・撮影=千葉香苗 構成=アド・グリーン