地元に愛されるタヌキのお風呂屋さん
創業は昭和27年(1952)。かつては宮造り建築であったが、1992年に建て替え、現在のビル型銭湯になる。入り口に信楽焼のタヌキを置いていることから、地元客からは「タヌキのお風呂屋さん」として親しまれている。
現在の店主は3代目の佐々木正治さん。長男の駿さんが4代目修業中だ。駿さんは一時、サラリーマンとして外で働いていた。家業を手伝うことはあったが、跡を継ぐということは考えていなかったという。しかし、2019年頃に正治さんが入院したことがあり、家業を絶やしてはいけないという思いが強くなり、銭湯を継ぐ決意をしたという。
「銭湯って、お客様との距離が非常に近い商売だと思います。お客様も気軽に話しかけてくれますし、こうしたふれあいが楽しみです」と駿さんは話してくれた。
1階ではテレビを観ながら、3階では明るい自然光を浴びながらの入浴を
建物は3階建てで、フロントは2階にあり、浴室は1階と3階にある。1階と3階の浴室の趣は異なるが、ジェットバスと寝湯、バイブラ機能を備えた冷水風呂、温泉浴槽、そしてテレビ付きのサウナという構成は同じ。
1階の浴室にはテレビを備えている。サウナにテレビを備えるところは多いが、浴室にテレビというのは珍しい。思わず長湯になってしまいそうだ。
サウナは、床と腰かけ、背もたれの一部は木製だが、壁はタイルなので反射熱が強い。90度の設定にしているそうだが、体感温度は100度を超すかもしれない。サウナセットがないので、タオルかサウナマット(レンタル100円)は必須だ。
各フロアに無料で使用できるボディーソープとシャンプーを備えているのもうれしいサービスといえる。1階と3階は毎週木曜日に入れ替わる。
1階は半身浴、3階は露天風呂で温泉を堪能しよう
『宮城湯』を訪れる客が楽しみにしているのが温泉だ。敷地内の地下100mから湧く温泉はメタケイ酸泉で、ほんのり色を帯びた黄褐色の湯。腰痛、冷え症、肩こり、神経痛、リウマチなどの改善効果があるという。
1階と3階で浴室の趣が異なるように、温泉浴槽も異なる。1階は電気風呂を併設した半身浴。浴槽は広く、電気が当たらないところもあるので、電気が苦手という人も半身浴を楽しめる。
3階の温泉浴槽は、屋上部に造られた露天風呂。屋根がないので開放感があり、目隠し塀の小窓を開ければ新幹線が見える。羽田空港が近いこともあって、時には上空に飛行機も見え、子共たちにはこれが人気だ。
取材・文・撮影=塙 広明