二階堂
ボランティアの心が育てた大輪の花
鎌倉宮から瑞泉寺へと続く谷戸道、通玄橋を過ぎると崖の斜面をアジサイの大きな株が埋め尽くす。かつて、心ない観光客のゴミ捨て場となり荒廃していた風景に心を痛めた地元住民、大村貞雄さんが2007年からアジサイの植栽をボランティアで始めたという。この小さな活動を知った市民や花屋さんからは挿し木や株も提供され、現在、二階堂地区には約400株が咲き競う。
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稲村ヶ崎
海とアジサイのマッチングが新鮮!
江の島を望む稲村ヶ崎海岸は「かながわ景勝50選」に指定される「これぞ!鎌倉」のベストスポット。高台にある鎌倉海浜公園稲村ガ崎地区では、この時季、アジサイ越しに海と江の島、天気がよければ富士山が楽しめる。展望台にもぜひ足をのばしてほしい。鎌倉に訪れ、この地を愛したドイツの細菌学者ロベルト・コッホの記念碑を取り囲むように咲くアジサイの群落が美しい。
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青蓮寺
アジサイ群れる高台からの素晴らしい眺め
大船~腰越を結ぶ県道304号は、かつて鎌倉街道から江の島へ続く古道「江の島道」。道沿いの古刹は、鎖で膝が動く弘法大師の本尊にちなみ「鎖大師」の名で親しまれる。きれいに手入れされた境内には石像や石塔があり、四季折々、花を眺めながらのそぞろ歩きもいい。この季節なら墓地裏手の高台へ。古い石仏群に寄り添うように青いアジサイが群生している。
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東慶寺
雨が似合う石畳の参道と花の群れ
通称「縁切寺」で知られる東慶寺といえば、ウメの名所として有名だが、茅葺きの山門に続く石段脇に始まり、境内の参道がそのままアジサイの道に。2018年から新しい植え付けも行い、その数も増えているそう。華やかな園芸アジサイだけでなく、侘寂を感じさせるヤマアジサイも可憐な花を咲かせる。
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浄妙寺
お寺と洋館で、和と洋の夢の競演
名花名木の寺で知られる、鎌倉五山第五位の名刹。初春のウメの後、ボタン、フジが境内に色を添えるが、5月の新緑の時季を迎えると、本堂裏手の散策路のそこここにヤマアジサイが咲き競う。その後に続くのは、「石窯ガーデンテラス」の前庭。アナベルの大輪の花で一面、白亜の世界が広がる。和洋どちらも楽しめる。
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梶原四丁目
住民の地元愛が育んだ、バス通りの風景
梶原の住宅地は初夏を迎える頃、色鮮やかなアジサイが目を引く。長い間、車道脇に流れる小さな川の土手が荒れていたため、近所に住むご夫婦が二人三脚でアジサイの植栽を始めたのが2007年。現在は、町内会を中心とする「花と緑の町梶原山を創造する会」とともに剪定や草刈りを継続、アジサイロードの美観を守る。
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葛原岡神社
アジサイ神社で有名になる日も近い!?
後醍醐天皇の忠臣・日野俊基を祀り、近年は縁結びに御利益があると女子に人気の神社。桜の時季が終われば源氏山、葛原ガ岡一帯がアジサイ色に染まる。鳥居から本殿へと続く参道では、青、紫、薄ピンクと色とりどりのアジサイの群落に迎えられる。未公開の境内の一部では、いま秘かにアジサイを育成中なのだとか。
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構成=フラップネクスト 取材・文=小泉まみ 撮影=中村冬夫
『散歩の達人』2019年6月号より