屋外で地震発生。大きな揺れから身を守るには
屋外にいる時に地震が発生したら、まずは倒壊する建物から自分の身を守ることを最優先してください。
少しでも早く公園などの広いスペースに逃げることが大事です。近くに広い場所がない、逃げる余裕がない場合は、耐震性の高い比較的新しい鉄筋コンクリートのビルに逃げ込みましょう。普段は何気なく歩いている街中にも、実はたくさんの危険が潜んでいます。特に危険なのはブロック塀や自動販売機、電柱です。ブロック塀は頑丈に見えるため安全なように思えますが、崩れると一気に命を奪うおそれがあるため、絶対に近寄らないようにしてください。
揺れが大きいと看板や瓦、割れたガラス窓などが落下することがあるため、カバンなどで頭をしっかり守ることも忘れないでください。荷物を持たずに散歩へ出かけるということもあると思いますが、いざという時を想定すると何かしら頭を守るための対策をしておいた方がよさそうです。
大都市での地震発生時に想定される「群集雪崩」とは
首都圏など大きな都市で巨大地震が発生した場合、心配されるのが「群集雪崩」の発生です。
「群集雪崩」とは、大勢の人が同じ場所に一気に集中することで動けなくなり、人が折り重なって倒れる現象です。巨大地震発生後、駅などに向かう人が急増すると群集雪崩によって死者が多数出ると想定されています。群集雪崩は過去にも発生していて、2001年に兵庫県明石市の歩道橋で、花火大会の見物客が折り重なって倒れ、11人が死亡しました。また、2022年10月のハロウィーンの前には韓国・ソウルの梨泰院で150人以上もの人が亡くなりました。
群集雪崩に巻き込まれないためにできることは、とにかく人が集まる場所に向かわないことです。特にターミナル駅は大勢の人が密集するリスクが高く、非常に危険です。家に帰りたい気持ちはわかりますが、無理をして帰宅することは控えましょう。災害時は水やトイレなどを提供する「災害時帰宅支援ステーション」などを活用するという手段もあります。
安否確認サービスの活用
家族や知人などの安否を確認するためには、事前に連絡手段を決めておくと安心です。「災害用伝言ダイヤル」などの安否確認サービスは、毎月1日・15日や「防災とボランティア週間」(1月15日~21日)などに体験利用できます。
また、災害時は必ずといっていいほどデマが広まります。SNSなどで不安を煽るような嘘の情報が流れてくることもあります。一見、正しいと思えるような情報でも安易に拡散しないように、一度立ち止まってください。過去の画像や映像が使用されている場合もあり、注意深く確認しないと自分自身も罪に加担してしまうことになりかねません。
首都圏でも津波のリスクあり。覚えておきたい「津波フラッグ」
東京都の想定によると南海トラフ巨大地震が発生すると、江東区や中央区、港区などで最大2メートル以上の津波が到達するおそれがあります。地震が発生してから海岸には早くて数分で高い津波が押し寄せることもあります。由比ガ浜などの人気の海水浴スポットがある神奈川県鎌倉市は巨大地震発生時に津波が襲来した場合、どのような被害が起きるのかシミュレーションした動画を公開しているため、海辺の散歩へ出かける際はどこへ逃げるべきか考えておくのがいいでしょう。
津波から命を守るには、すぐに、なるべく高いところへ避難をすることが絶対です。遠いところよりも高いところを目指すことを優先してください。近くに高台がない場合は、緊急的に⼀時避難をする場所として活⽤する「津波避難タワー」や「津波避難ビル」を目指してください。津波避難タワーは全国で約500基あり(令和3年4月時点)、関東地方(茨城県・千葉県・東京都・神奈川県)には37基建設されています。
海辺を散歩する際は「津波フラッグ」の存在も頭にとどめておくと、いざという時に役立ちます。「津波フラッグ」とは大津波警報、津波警報、津波注意報が発表されたことを知らせる旗で、赤と白の格子模様のデザインが目印です。旗を振ることで耳の不自由な人にもいち早く危険を知らせることを目的としています。津波フラッグが振られているのを目にしたら、すぐに、より高いところへ逃げましょう。
また、津波は海のそばだけでなく、川のそばでも注意が必要です。津波は川下から川上へ向かって押し寄せるため、川の流れに対して直角の向きに逃げるようにしてください。
災害はいつか起きる 普段からできる備えを
散歩に出かける時にも、ぜひ携帯をしてほしいのが災害発生時に必要なものを詰めた「防災ボトル」や「防災ポーチ」です(※防災ボトルの詳しい作り方などはこちらをご覧ください)。
準備の際のポイントは、自分にとって必要なものを考えて詰めることです。いざという時に欠かせない物は人それぞれ違うものです。災害はいつか自分の身にも起こるかもしれないと考えることが防災への第一歩になります。防災ボトルを携帯するほか、最新の情報を入手できるようにスマートフォンの携帯バッテリーを持ち歩く、防災アプリをインストールしておく、近所の災害リスクを知るための防災散歩をしてみる(※防災散歩についてはこちらもご覧ください)。などできることから始めてください。
災害はいつ、誰のもとで起きてもおかしくない。そのことを忘れずに散歩を楽しめる日々を大切に過ごしましょう。
文=片山美紀 写真=片山美紀、写真AC、気象庁
参考:
「東京防災」東京都総務局総合防災部防災管理課 消防庁防災マニュアル‐震災対策啓発資料‐
東京都防災ホームページ 災害時の安否確認
首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)
気象庁 津波フラッグ
鎌倉市 鎌倉市津波シミュレーション動画
内閣府 防災情報のページ 津波対策