地震、台風、線状降水帯……お散歩中に災害に遭うことだってある?!

2023年に入ってから全国で震度3以上の地震は99回観測されており(※6月14日時点)、首都圏エリアでも5月11日に千葉県南部で震度5強の地震が発生しました。地震は昼夜問わず起きるため、もしも職場にいる時に被害に遭ったら……、子ども達だけで被災したら……など想像するだけでぞっとしたという意見も聞かれました。

2023年に入り全国で震度3以上の地震が発生した地点 (※出典:気象庁ホームページ)。
2023年に入り全国で震度3以上の地震が発生した地点 (※出典:気象庁ホームページ)。

地震だけでなく、大雨による水害にも注目が集まっています。2023年6月2日から3日にかけて、梅雨前線と台風2号による大雨の影響で、西日本から東日本の広範囲で記録的な大雨になりました。四国や近畿、東海で集中的に豪雨をもたらす「線状降水帯」が発生したほか、東京都心でも24時間の雨量が200ミリ以上となり、目黒川など23区内を流れる河川で氾濫危険水位を超えました。梅雨のシーズンは始まったばかりですが、早くも被害が頻発しています。

6月2日 梅雨前線と台風の影響で西日本や東海で線状降水帯が発生した。 (※出典:ウェザーマップ)
6月2日 梅雨前線と台風の影響で西日本や東海で線状降水帯が発生した。 (※出典:ウェザーマップ)

大雨はある程度、事前の予測ができるものの地震は前もって予測することが困難です。災害の頻発する日本では、お散歩している時に被災するリスクは十分にあります。

お散歩中に持ち歩きたい!「防災ボトル」って何?

地震や大雨、台風の接近に注目が集まると、度々SNS上でトレンドに入るのが「防災ボトル」です。防災ボトルとは、災害が発生した時のために備えておきたい必需品を詰め込んだボトルのことです。警視庁警備部災害対策課が公式Twitterで紹介したところ、現在までに約7万件の「いいね」が付き、広く拡散されています。

かさばらずバッグに忍ばせられる防災ボトル。ウォーターボトルは災害時の給水にも役立ちそう。
かさばらずバッグに忍ばせられる防災ボトル。ウォーターボトルは災害時の給水にも役立ちそう。

近年、防災意識の高まりから自宅に「非常持ち出し用袋」を準備している人は少なくないと思います。ですが、災害は必ずしも自宅にいる時に発生するとは限りません。自宅以外の場所にいる時に災害に遭うことも考えて、備えを進める必要があるため、持ち運びに便利な防災ボトルは外出中の災害対策にぴったりです。

「防災ボトル」を作ってみた!季節に合わせて中身のチェックも

防災ボトルに詰める中身は自分流にカスタマイズすることをおすすめします。災害時にも必ず手元に備えておきたいものは人それぞれ違うはずですし、季節によっても変わる可能性があります。私もお散歩中に持ち歩きたい防災ボトルを作ってみました。

まずは、災害時にあれば役立ちそうなものをイメージしてみましょう。
まずは、災害時にあれば役立ちそうなものをイメージしてみましょう。

警視庁の紹介を参考に、私がボトルの中に入れたものはこちらです。

 

・ウェットティッシュ

・絆創膏

・現金

・コンタクトレンズ

・常備薬

・携帯トイレ

・個包装マスク

・笛(ホイッスル)

・あめ

・ガム

・チョコレート

500mlのボトルなら、想像よりも沢山の物を詰め込めます。
500mlのボトルなら、想像よりも沢山の物を詰め込めます。

特に欠かせないと感じたものは、「笛(ホイッスル)」と「携帯トイレ」です。災害時に助けを呼ぶためには、大声で叫ぶよりも笛の音で知らせる方がより遠くまで音が届きます。また、非常事態の時はトイレに自由に行くことが難しいこともあります。凝固剤の入った携帯トイレは100円ショップでも手に入るため、備えておいて後悔はなさそうです。

暑さの厳しい時季は、チョコレートなど栄養を補給できる菓子類の代わりに、塩あめを入れたり、春になったら常備薬に花粉症の症状を抑える薬も加えたりするなど、季節に合わせて中身の見直しもするべきだと感じました。

このほか、防災ボトルには入らなかったものの、普段から持ち歩きたいのがスマホのバッテリーです。現代人の必需品・スマホは被災時に家族や友人などと連絡を取り合うために欠かせません。生理用品などを入れる際は、中身が見えないように「防災ポーチ」として作るのも良いのではないかと、実際に作ってみると、様々なアイディアが思い浮かびました。

中身の見えないポーチや柄付きのタンブラーを利用するのもおすすめ。
中身の見えないポーチや柄付きのタンブラーを利用するのもおすすめ。

防災士の私がお散歩中に実践していること3選

防災ボトルや防災ポーチを持ち歩くほかに、私がお散歩する時に実践していることを3点紹介します。

①ピンヒールははかない

私は職場以外では細いヒールのあるパンプスを履くことはほとんどありません。(気象キャスターとしてテレビに出演する時も、スタジオに入る直前に靴を履き替えます。)ヒールが付いていても、太さのあるものを選ぶなど自分が歩きやすいと感じる靴だけを選んでいます。「普段からヒールのある靴を履き慣れているから大丈夫、こっちの方が歩きやすい」という声もあるかもしれませんが、それは災害時でも同じでしょうか? 2011年の東日本大震災が発生した当時、都心の交通機関の多くがストップしました。このため、当時、外出先でヒールの高い靴を履いていた私はそのまま自宅まで4時間以上歩き続けました。いつも歩く距離なら平気でも、災害時は想像以上に体力を奪われます。この経験から日常的に歩きやすい靴を選ぶようになりました。

②飲み物や食べ物を持ち歩く

東日本大震災発生時、体力を維持するために少量でも飲み物や食べ物は持ち歩くことが大事だということも実感しました。特にこれから暑さが厳しくなると、熱中症になるリスクが高まるため、水分補給は欠かせません。

③現金(硬貨)を必ず用意しておく

キャッシュレス決済が進んでいる時代ですが、非常時には現金が役立つ可能性があります。もしもスマホのバッテリーがなくなってしまったら、連絡を取るためには現金しか使えない公衆電話を使うことになるかもしれません。のどが渇いた時に自動販売機で水を買うにもキャッシュレス決済に対応していない機械もあるかもしれません。

(※災害時は公衆電話が無料で利用できますが、電話の種類によっては使用時に硬貨やテレホンカードが必要になります。)

災害は忘れた頃にやってくる。古くから言い伝えられてきた言葉です。まさかの事態に備えて、お散歩中の防災について考えてみませんか?

参考:
気象庁ホームページ 震度データベース検索 https://www.data.jma.go.jp/svd/eqdb/data/shindo/
警視庁警備部災害対策課 Twitter https://twitter.com/MPD_bousai/

 

写真・文=片山美紀