今日は休みだ feat. 田我流 - EVISBEATS

歌詞からもトラックからも“晴れた日の休日感”が心地よく伝わってくる楽曲。ラフな普段着でケータイも持たず外に出て、近所の好きな飲食店に一番乗りで入店……なんて日常の描写がとてもいい。ラップをしているのは、地元の山梨県一宮町で活動を続けるラッパー・田我流。街をぶらつく情景に差し挟む、「負けんなローカルの個人経営」「見失いがちなもの救ってこう」なんて言葉が、今は胸に強く響く。

自転車に乗って - never young beach

フォークシンガー・高田渡の楽曲のカバー。「自転車に乗って ベルを鳴らし あそこの原っぱまで 野球の続きを……」から始まる歌詞には、“ちょいとそこまで”の散策の楽しさに溢れている。なおnever young beachは2015年5月にインディーズデビューしたバンドで、その音楽性は“西海岸のはっぴいえんど”とも称されてきた。音楽好きのおじさま方も「お、若いのにやるな」と感じるはずなのでぜひ一聴を。

風をあつめて - はっぴぃえんど

となったら、はっぴぃえんどの曲も続けて聞きたくなるもの。街の外れの路地の先に、海を渡る路面電車が現れたりする情景は、松本隆が生まれ育った麻布周辺の町並みが原風景となったもの。松本隆が歌詞の中で生み出した“風街”は、外出自粛中の今も、家の中にいながら歩くことができる。

街へ出ようよ - サニーデイ・サービス

こちらもはっぴぃえんどの系譜に位置づけられるバンド。「街へ出よう 角の喫茶店に行こう 窓の外に陽気な風が吹いているから」と歌われるささやかな日常は、自由な外出ができない今こそ「いいなぁ……」と心に染みる。

WALKIN'WALKIN' - YOUR SONG IS GOOD

金がないわけでもないし、体力をつけたいわけでもないけど、何となく一駅二駅と歩きたくなった。それが1時間、2時間、3時間と続いて、何だかよく分からないハイな状態になってきた……というときの歩くことの楽しさが、とびきりゴキゲンに歌われた楽曲。歌詞の中では2時、3時、4時と時間が過ぎていくが、昼間じゃなく深夜なんだろうな……と想像。温かくなってくるこれからの時期は、そんな散歩も楽しいものです。

アヒルボート - SUSHI BOYS

散歩してたどり着いた大きな公園。そこに大きな池がある……となれば、アヒルボートの乗りたくなるのが人間だ。埼玉県越生出身のラップグループのこの曲は、アヒルボートで大海原を目指してしまうヤバいテンションから、「アヒルボートはバカにならないと乗れないし、間違いなく不要不急の乗り物だな」と実感できる。アヒルボートに心置きなく乗れる日、早く来てほしい。

おもいでカフェ - 青葉市子

アヒルボートで遊び疲れたらカフェで少し休憩を。「ぽわっと光る白熱灯に パフェの上のアイスが溶ける」という歌い出しや、「窓側ソファー 壁際メニュー」という店内の描写に、「青葉さん、カフェの取材をしたら自分の100000000倍はいい原稿を書きそう」と嫉妬と絶望を感じる。そんなどす黒い感情もかき消されるほど、カフェで過ごす心地よい時間が蘇るいい曲なので、コーヒーとお菓子を用意してどうぞ。

田中さん、愛善通りを行く - 空気公団

タイトルから感じる謎の温もりとのんびり加減は曲中にも漂っていて、休日の散歩のいい伴奏者になってくれる曲。空気公団はささやかな日常語の歌詞が心地いいバンドで、「今日は遠くの街へ出かけて レモンを一つ買おう」という歌詞が印象的な『レモンを買おう』も散歩中にオススメ。なお「田中さんって誰なのか」は曲の最後で明かされるが、「愛善通りはどこにあるのか」は調べても不明なまま。知ってる人がいたら教えてください!

あの頃マリー・ローランサン - 加藤和彦

外出自粛の一つのストレスは「街で買い物ができない」ということ(筆者はメルカリを見る頻度が増加中)。マリー・ローランサンの絵の前で止まって、欲しがる君を連れて帰ったり、ウインドウで見つけたコーラルのブローチを買って帰ったり。東京で暮らす男女の情景を歌った1983年のこの曲からは、ウィンドウショッピングの楽しさも、明るい未来を描けた時代の東京の眩しさも感じられる。

La pioggia - ジリオラ・チンクェッティ

先日、不要不急の外出中に牛丼屋で食事をしたとき「チェーン店の料理って、やっぱり美味しい……!」とあらためて感じたので、『サイゼリヤ』で繰り返し流れているこの曲を最後に。「とりあえずサイゼ入ろっか」と言えた日常の輝きも、あのミラノ風ドリアも美味しさも、聞けば脳内に蘇る(はず)!

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リスト作成の時間が癒やしになるのです

自分のために自分で作るプレイリストは、その人の好みや思い入れが何より大切。このプレイリストを見て・聞いて、「散歩の曲といったらアレでしょ!」「自分ならこの曲を入れたいな」などなど想像が膨らんだ方は、ぜひ自分でもプレイリストの作成を。「あ、この曲を忘れてた!」「これとこれが続くとバランスが……」「10曲に納めるにはこの2曲の片方だけを選ばないと……」なんて悩む作業自体が楽しく、自粛で疲れた心を癒やしてくれるはずだ。

文=古澤誠一郎