居酒屋が軒を連ねる、目黒・権之助坂に面した日本酒バル
“地域密着型の毎日通えるような店”をコンセプトに、2014年12月目黒にオープンした『目黒 いと。』。系列店の『目黒 いと をかし。』と『目黒 いと スタンド』を合わせて、同じ目黒駅の西口側に日本酒バル3店舗を運営している。
『目黒 いと。』は創作和食、『目黒 いと をかし。』は魚料理、『目黒 いと スタンド』は立ち飲みスタイルと、どこも日本酒を扱いつつそれぞれ違う個性があり、シーンに応じて選べるのがうれしい。
オープン当初は目黒駅の東口にあった『目黒 いと。』だが、2020年4月に西口から徒歩3分ほどの今の場所に移転。雑居ビルの3階という隠れ家のような立地ながら、常連客の口コミなどで評判が広まり、今では幅広い客層が集う人気店だ。
店内は、カウンターとテーブル席を合わせて20席という程よい広さ。カウンターやテーブルが木で設えてあり、自然の温もりを感じさせる空間が広がる。
入社する前は、この店に通う常連客の1人だったという店長の服部さん。元々ほかの焼き鳥屋で働いていたが、オーナーと顔見知りになり『目黒 いと。』の店長を務めることに。「店のメニューや扱う日本酒などを自由に決めさせてくれたりと、任せてもらえてやりがいを感じています」。
珍しい銘柄まで100種以上が揃う、日本酒党にはたまらない店
こだわりの日本酒メニューには、今週のおすすめとお燗各8種、スパークリング6種が揃う。
しかし、メニューにある日本酒の銘柄は一部にしか過ぎず、実は店舗では100種以上の銘柄が味わえるそうだ。週に20〜30本ずつ銘柄を入れ替えているというから、いつ来ても違った銘柄を楽しめて飽きないだろう。
お店おすすめの熊本・花の香酒造の生酒、産土(うぶすな)をいただく。
微発泡でほんのりとした甘みがあり、アルコール度数も13度と低めで女性でも飲みやすい。トロリとしたテクスチャーのにごり酒ながら、後味はスッキリとしていて繊細な和食によく合いそうな味わいだ。
ビールやハイボール、サワー系など、日本酒以外の酒の種類も充実。そういうところも、日々飽きずに通える店作りへの意識を感じさせる。
こういうのが飲みたい、とお客さんに日本酒の好みを教えてもらえたら、それに合う銘柄を提供できると服部さんは言う。「うちにはいろんな日本酒を置いているので、今まで知らなかったような銘柄も飲んでみて、日本酒の奥深さを感じてもらえらばと思っています」。
素材にこだわった、日本酒に合う創作和食がずらり
素材の鮮度にこだわり、料理に使う魚は豊洲市場からその日仕入れたもので決まる。その日に入荷した魚の種類で変わるというなめろうは、魚の身のプリプリした食感と薬味の香りに酒が止まらなくなるに違いない。
脂乗りが良く旨味の強い大山鶏を使った唐揚げは、適度なボリュームもあり誰もが頼む定番の一品。日本酒だけでなく、ハイボールやレモンサワーなどとの相性も良い万能メニューだ。
和風味に煮付けたレバーと軟骨をフードプロセッサーで攪拌(かくはん)して作る自家製レバーパテは、思わず日本酒が欲しくなる味わい。優しい味のポテトサラダと交互に食べると、飽きずにずっとつまんでいられそうだ。
種類豊富な日本酒と、ひと手間加えた創作和食が味わえる『目黒 いと。』。日本酒好きを誘っても良いし、目黒界隈でちょっと気の利いた和食居酒屋で飲みたいときなど、さまざまなシチュエーションで飲みに行けそうな使い勝手の良い店だ。遅くまでやっているところも嬉しいお店なので、目黒方面で飲むときのリストにぜひ加えておこう。
構成=フリート 取材・文・撮影=YUKI