鶴岡市立加茂水族館
見て、触れて、知る奥深いクラゲの世界
「クラゲドリーム館」の愛称どおりウリはクラゲ。クラゲによる起死回生ストーリーで知られ、常時60種以上を展示しその生態や魅力を伝える。「クラゲ解説コーナー」で様々な成長段階を観察し、「クラゲのおはなし」では餌やその食べ方について学べる。世界一の飼育種数を誇るが、それでも全種類のわずか2%ほどという。今後のさらなる収集が楽しみだ。
タキタロウ館
神秘の湖に棲む伝説の巨大魚
朝日連峰以東岳の麓に横たわる大鳥池に棲むという幻の巨大魚。体長2m以上、特徴的な口を持ち学問的にも新種といわれる。明治初期の文献が初出で40年近く前にマスコミで紹介され調査されたが、いまだ発見されず存在は謎のまま。大鳥池へは大鳥登山口から徒歩約3時間。
善寳寺
あの人面魚にも会える海を護る龍神信仰の古刹
見事な彫刻の見られる30棟の伽藍が並ぶ。古くから龍神を守護神にまつり、航海安全祈願の海運関係者や、大漁祈願の漁業関係者などから全国的に信仰を集めてきた心願成就の祈祷寺。寺号を授けた二龍神が身を隠したという伝承がある境内の貝喰池(かいばみのいけ)には人面魚がいる。平成の初め日本中で話題になったが「龍神の遣い」「コイが龍に変身中の姿」とされ信仰の対象でもある。
うなぎ若林
老舗直伝のうな重と庄内浜の地魚料理
山形市の老舗うなぎ店『郷土料理あげつま』で修業した店主が、関東風にさばいた国産ウナギを炭火でふんわりと焼く。あげつま初だった暖簾(のれん)分けの際に受け継いだ甘味の少ないさっぱり目のタレは、江戸時代から継ぎ足してきた秘伝のもの。庄内浜の地魚料理や郷土料理、地酒のメニューも豊富。
羽黒山五重塔
今年限り「秘中の秘」国宝内部が拝観できる
月山、湯殿山、羽黒山を合わせて出羽三山といい、三山の神を祀る三神合祭殿が羽黒山にある。その参道途中に立つ国宝の五重塔。高さ約29.2m、室町時代に建立された羽黒山最古の建造物かつ東北最古の塔で、釘を一切使わず組み上げた三間五層、柿葺(こけらぶ)きの優美な姿は三山一の見どころといえる。
いでは文化記念館
厳しい山伏修行で生まれかわりの旅
出羽三山をめぐることで人は生まれ変わる。山伏の厳しい修行は「死と再生」がテーマ。修験道を学び自然と一体になって人との共生を体感することは自身を見つめるよい機会になる。いでは文化記念館では修行体験を受け付ける。
六十里越街道
1200年の歴史を刻む出羽の古道
月山、朝日連峰、摩耶山(まやさん)など鶴岡には登るべき山が多いが古道歩きも魅力。この道は古代に開かれたという庄内地方と内陸部を結ぶ旧街道。鶴岡から田麦俣(たむぎまた)、湯殿山(ゆどのさん)を経て山形に至る険しい道だが、新道開通まで多くの参詣者や商人が行き交った。コースやガイド、白装束レンタルなどの相談は「あさひむら観光協会」へ。
所要45分~。☎0235・53・3411
旅館 多聞館
精進料理は出羽三山の自然と歴史が育んだ食文化
11代300年あまり続く老舗宿。「出羽三山精進料理プロジェクト」に地域ぐるみで取り組む。精進料理の食材はすべて出羽三山の恵みを受けたもの。それを先人の知恵がつまった調理法で丁寧に手作りする。月山筍(がっさんだけ)、旬の野菜の天ぷら、フキノトウを油味噌で炒めたバンケ味噌など、心身が浄(きよ)まる料理に心も体も癒やされる。
寝覚屋半兵エ
ツルッツルな庄内のご当地うどん「麦切り」
「麦切り」は庄内地方独特の呼び方。「小麦粉を練って細く切るから」「生麺のこと」など由来は諸説あるとか。その麺は白く艶がありみずみずしい。5mmほどの細身ながらコシがあり、噛むほどに麦の香りが楽しめツルツルモチモチで喉越しがいい。あごだしの効いた甘めのつゆに、薬味として刻みネギと和カラシを添えていただく。メニューは「麦切り」と「そば」の2つ。創業約150年、6代続く老舗の味を堪能したい。
柏戸銀寿し
大洋・柏戸・ちらし寿司!あの名横綱ゆかりの店
柏鵬時代を築いた第47代横綱柏戸(1938~1996)は鶴岡市(旧山添村)の出身。引退してもう半世紀になる。柏戸の弟さんが開いた寿司処の名物は「二枚目」という30種類の具が載ったちらし寿司。食べ進めると深底の器から具がどんどん現れてくる。
農家レストラン キラリ
健康を願い、香ばしい里山の恵みに舌鼓
血管を広げ血流をよくする健康食、美容食として名高いトチの実のオリジナル商品が自慢。100%地元の山で採れたトチの実を使った栃あんもち2個400円、とちの実ソフトクリーム300円。採れたての地の山菜や農産物、農産加工品の直売も好評。
庄内映画村資料館
想い出のワンシーンが甦る「なつかシネマ」の館
日本遺産の国史跡「松ケ岡開墾場」の五番蚕室を使用。庄内ロケ作品の室内セットや小道具、懐かしい名作のポスターなど映画資料1000点以上を展示。前身の「映画『蝉しぐれ』資料館」から14年、12月1日の閉館に向け最後の企画展「さらば平成~映画で振り返る30年~」開催中。
致道博物館
歴史的建造物と豊富な資料で庄内の歴史と文化を広く紹介
旧庄内藩主酒井家16代忠良が土地建物や文物を寄付して創設された施設。鶴ケ岡城(現鶴岡公園)三ノ丸址、庄内藩御用屋敷があった場所に明治期の旧郡役所など歴史的建造物が移築され、歴史的資料や美術品などが数多く展示されている。酒井氏庭園を望む御隠殿奥座敷は、映画『蝉しぐれ』のロケ地にもなった。
南岳寺
霊験あらたかな超能力者とまちなかの即身仏
庄内藩士の長女として鶴岡に生まれた長南(ちょうなん/おさなみ)年恵(1863~1907)は、二十歳の頃に神がかりとなった稀代の超能力者。病人や悩みを持つ人々を救い「極楽娘」「年恵観音」と呼ばれた。空瓶に霊水、神水と呼ばれる液体を手を触れずに満たしたとされ、その水を飲むと重病でさえ完治したという。即身仏とあわせて霊堂に参拝したい。彼女の墓は般若寺(日吉町9-47)にある。
富樫ろうそく店
伝統の絵付けを体験して自分だけの絵ろうそくを
和ろうそくの表面に、鮮やかな顔料で源氏車や蓮華などを手描きする鶴岡の絵ろうそく。江戸時代、時の将軍徳川家斉に日本一と称えられ、幕府へ献上されていた由緒あるもの。伝統的な模様の描き方を指導してもらいながら絵付けが体験できる。
旧風間家住宅 丙申堂
薬医門のある鶴岡一の豪商の家
風間家は藩の御用商人として発展し産業振興に尽力した豪商。明治29年(1896)丙申の年、7代当主によって住居と営業の拠点として武家屋敷跡に建てられた。主屋を中心に4つの蔵があり、トラス状の梁がめぐる広大な板の間や大黒柱など往時の面影を今に伝える。国指定重要文化財。
赤川花火大会
感動日本一!を目指し1万2000発が夜空を彩る
第29回の今年のテーマは「百華繚乱」。「全国デザイン花火競技会」では、技術を競う割物花火の部(10号玉2発)と、音楽との連動など美的感覚が審査基準となるデザイン花火の部の2部門で花火師が競い合う。打ち上げ幅700mの「市民花火」は圧巻。
8月第3週の土曜開催。赤川河畔(羽黒橋~三川橋間) ☎0235・64・0701
藤島の獅子踊り
お盆が楽しみな歴史ある「獅子郷」
「獅子郷(ししごう)」と呼ばれるほど獅子踊りが盛んな藤島地域には10の保存会がある。頭から幕を下げて太鼓と肩張りのわっかをつけ、唄に合わせて太鼓を打ち鳴らし飛び跳ねるように舞う。獅子のほかに女装の簓(ささら)、太刀遣い、唄い役など総勢30名ほどでにぎやかに奉納される。
無料。8月15日~18日に各地区の神社で。☎0235・64・2229(ふじしま観光協会)
黒川能
独自の伝承を続けてきた庄内地方固有の郷土芸能
500年以上にわたり農民によって受け継がれてきた黒川能は国指定重要無形民俗文化財。毎年7~8月に2カ所で観ることができる。
「水焔(すいえん)の能」(有料)。7月最終土曜17:00開場。櫛引総合運動公園野外ステージ☎0235・57・2115(市櫛引庁舎産業建設課) 馬場町4-1鶴岡公園内
「荘内神社例大祭」例年8月14日17:00~。
つるおかユースホステル
「森の隠れ家」で自然環境に思いを巡らす
海を見下ろす丘に佇む宿。国の天然記念物である三瀬気比(さんぜきひ)神社の社叢(しゃそう)横、希少なブナの原生林に囲まれた建物は、構造設計者の松井源吾(1920~1996)が手がけたもの。自然体験や環境教育のプログラム、各種ツアーを行う。マクロビオティック(玄米菜食)が楽しめる全国で唯一のユースホステルでもある。
取材・文・撮影=飯田則夫
『散歩の達人』2019年8月号より