その波除神社。様々な食材の塚が建てられているのは有名ですが、あまりにも身近過ぎて気づけなかった、ちょっと「おや?」な存在があることをすっかり失念。

その名も、「お歯黒獅子」。雌の獅子なんです。
お正月やイラストで目にする獅子舞の顔部分の獅子頭の歯は、大方白か金色かと思います。縁起物ですからね。


ことの発端は波除神社が創建された江戸時代に、悪天候の避けるために収められたという複数の獅子の銅像。そこから江戸時代には獅子の頭を担ぐお神輿、お祭りへと発展し、今日に至ります。ちなみに現在展示・実際に使用されているのは、金色の雄が平成2年・お歯黒の雌が平成14年に完成したもの。幾たびの厄災や困難を乗り越え今に紡がれてきた強かな精神。
さて、おのお歯黒獅子は波除神社の公式によると【高さ2.15メートル、幅2.5メートル、重量700キロ】。なかなか立派。雄の方は1トンなので、雌のほうがやや小柄な仕上がりに。頭のてっぺんに飾られている宝珠の中には弁財天の像が収められており、やはり女性を象徴するような存在。

こちらの一対の獅子たちは例年6月上旬の週末3日間にかけて「つきじ獅子まつり」というお祭りにてその社殿を飛び出し、担ぎ手たちにより築地を練り歩きます。
金曜日は主に神事を、土曜日の午後は子供たちによるお神輿、そして日曜日にはいよいよ本祭。お歯黒獅子の宮出と宮入は女性のみで行われ、華やかさと逞しさに思わず息をのむほど!私も何度か拝見したことがありますが、この勢いがあってこそ築地は成り立つんだなと実感。
お歯黒獅子ならびに雄の天井大獅子は連日早朝から夕方5時頃まで解放されているので、築地観光の際にはちょっと足を運んでみてくださいね!
天井大獅子の裏側もぐるりと回ることができるのでぜひ見学を。

向かい合う獅子に挟まれると、なかなかの緊張感を味わえる。
…かもしれません。