果たして、このあんブリュレが連れの機嫌を見事に直してくれた。
結果オーライである。
ざっくりいうとクレマ・デ・カタラーニャの下にあんこを入れたもの。
つまり、最下層にあんこ。その上にカスタードクリーム、さらに焦がしたお砂糖。
パリッと軽快な歯応えのあと、滑らかなカスタードクリームが鼻腔をくすぐり、舌にはあんこの旨味が残る。
マズいわけがない。むちゃくちゃ美味しい。
ちなみに焼いてもらったマスも極上の焼き加減と塩加減。
これまでの2時間、欲求を溜め続けてきたせいで、写真も撮らずに即座にむしゃぶりつく。
5分でまるっと一匹平らげた。
ああ、とても幸せだ……。
閉店時間を過ぎても塩焼きを食べるお客さんののために席を貸してくれるという厚意に感動しつつ、店を後に。
建物の入り口脇にある、そばの手打ちスペースの前を通ると、店主がアメリカンな曲を密閉されたスペースからもれ聞こえるくらいの爆発的な音量でかけながらノリノリで蕎麦を打っている姿が見えた。
この蕎麦がまた、美味いんだそうなのだが……。再訪するも未だにありつけていない。
いつか必ずリベンジするぞ!
『氷川国際マス釣り場』の蕎麦で有名なカフェ『蕎麦太郎カフェ』のキーマカレーが異常に美味い。何を言ってるか分からないだろうが本当なんだ。
奥多摩駅から歩いて15分。子供でも初心者でも安心して釣れる『氷川国際マス釣り場』がある。その建物の2階には手打ちそばで鳴らす『蕎麦太郎カフェ』があるのだ。
この『蕎麦太郎カフェ』、マス釣り場でのBBQセットや、釣ったマスを200円で焼いてくれるサービスなど、マス釣り場のサービスセンター的な立ち位置も兼ね備えている。
その日も午後の奥多摩到着だった。
どうしても閉場マスの塩焼きが食べたくて、マス釣り場に閉場40分前にギリギリ滑り込み、首尾よく20分ほどで2匹釣り上げた(幸運!)。
しかし、焼けるまで2時間近くかかるという。こいつは誤算だ。
昼食をとっていなかったので、このカフェでなにか頼もうとすると、
看板メニューの蕎麦はもう売り切れだという……残念!
なぜかカレーメニューが充実していたので、キーマカレーを連れと半分ずつ食べることにした。(マスの分は空けておかなくてはならない!)
キーマカレーを受け取って、早速ぱくり……。
複雑なスパイスの香り、程よい硬さに炊き込まれたサフランライス。
オニオンチップが程よい香りと食感でアクセントを添えている。
添えられたカイエンペッパーを加えると本格度が増す。
異常に旨い。期待以上…いや、期待値異常だ。
……半分あげたくない……。
今なら空腹を理由に、黙々と食べてしまえば許されるのではないか……。
4割……半分……半分を超える……「これは行けるんじゃないか? そら、もっと大きくすくえ。」私の卑しい根性が耳元で囁く。
6割程に達し、最後は掻き込もうかと企み始めたころ、
「ねえ…」
連れの放つ低く冷たい声。
私の卑しさは即座に膝を折った。
「ごめんごめん。あの、あんぶりゅれってスイーツ美味しそうじゃない? あれも食べようよ」
……我ながら、アリンコよりも脆弱な根性である。