北斎や門人たちも王朝文学をテーマに作品を描いた
大河ドラマなどでも注目されている、平安時代のみやびな世界。江戸時代にも平安時代の研究や古典の教育、出版が盛んだったという。書物が流通することで、宮廷の風俗や文学の絵画化が盛んになり、北斎や門人たちも、紫式部など平安時代に活躍した人物や都の暮らしをイメージして『源氏物語』『伊勢物語』のような王朝文学を絵画化した作品を多数描いている。単に物語の場面や歌意を絵画化するだけでなく、着物や調度に王朝文学ゆかりの意匠を取り入れた作品も描いていた。
広報担当者は「本展では、北斎らによる平安時代や王朝文学に関する作品を通し、北斎らが抱いた平安時代のイメージ、王朝文学の世界観とその広がりについて紹介します。江戸時代に息づく平安のみやびをお楽しみください」と、その魅力について語る。
江戸時代の平安像から王朝ゆかりの意匠まで四章に分けて紹介
序章では江戸時代に『源氏物語』や『伊勢物語』など、古典文学の写本や解説書の流布により広まった「平安時代」のイメージ形成の背景に迫る。遊女が書物を読んでいる葛飾北斎の「枕草子を読む娘」などの作品を紹介する。
第一章では、宮中行事や都の日常生活などを題材とした、北斎たちが描く王朝風の作品に焦点を当てる。都で、江戸時代以降、平安朝の生活・文化や妖怪・怪異といった伝説がいかにイメージ化され広く流布していったか、その流れがうかがえる。
第二章では、北斎や門人たちが『源氏物語』『伊勢物語』などの王朝文学を題材に手掛けた幅広い作品に迫る。人物表現を江戸時代の髪型や服装に置き換えた平安×江戸時代のユニークな作品にも注目したい。
第三章では王朝文学にまつわる文様や物語から着想を得たデザインに着目。『源氏物語』「第五十一帖『浮舟』」を題材に北斎が手掛けた櫛のデザインの絵手本など珍しい作品が目を引く。
開催概要
「北斎が紡ぐ平安のみやび―江戸に息づく王朝文学」
開催期間:2024年9月18日(水)~11月24日(日)
※前後期で一部展示替えを実施
前期:9月18日(水)~10月20日(日)
後期:10月22日(火)~11月24日(日)
開催時間:9:30~17:30(入館は~17:00)
休館日:月 ・9月24日(火)・10月15日(火)、11月5日(火)※9月23日(月・休)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・休)は開館。
会場:すみだ北斎美術館 3階企画展示室(東京都墨田区亀沢2-7-2)
アクセス:JR総武線両国駅から徒歩9分、地下鉄大江戸線両国駅から徒歩5分
入場料:一般1000円、高校生・大学生・65歳以上700円、中学生300円、障がい者300円、小学生以下無料
【問い合わせ先】
すみだ北斎美術館 ☏03-6658-8936
公式HP https://hokusai-museum.jp/HokusaiHeian/
取材・文=前田真紀 画像提供=すみだ北斎美術館