里の宿

質のよいおろしたての魚を手軽にいただく

本日の金目鯛の煮魚定食は1600円。

真っ赤に輝く金目鯛、色とりどりの小鉢にご飯。本日の煮魚定食を注文したら、栄養たっぷりの食卓になった。「煮魚のタレは開店から35年間、注ぎ足しながら使っているんです」と店の方。おお。甘辛で深みのある味わいは店の歴史そのものだったのか。女性常連客が多いのも納得の洒落た店内だが、素材のよさは極めつき。井ノ頭通り沿いに南に6分の鮮魚店『魚初』の直営店なのだ。豊洲市場での仕入れや下ごしらえは『魚初』が担当。刺身定食を注文すれば、鮮魚店ですぐにさばいてお客のもとに届けられる。さらに漬物も自家製、ご飯はコシヒカリと美味ぞろい。『魚初』自体、手作り総菜やご飯もそろうが、さらに「姉妹店の居酒屋『せんぎょ屋』もあります」と店主の鈴木さん。定職に総菜に酒の肴までこんなにいい魚を食べるのが日常とは羨ましいぞ。吉祥寺民。

魚介の入荷でメニュー決定。
店内には大テーブル。夜のひとりごはんも気楽だ。
『魚初』 2代目の鈴木兄弟。仕入れから総菜調理まで一族で協力。

『里の宿』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-28-5 MAC吉祥寺コート1F/営業時間:11:30~14:15LO・17:00~20:30LO/定休日:日/アクセス:JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩6分

魚玉

魚屋の店先でご飯を食べる不思議な空間も味わいに

本日の魚定食はブリ照り焼き。味噌汁も価格も日替わりで600~800円。

「元は全面的に鮮魚店だったんですよ」というのは店主の澤尻弘美さん。知り合いから8年前にこの店を引き継ぎ、徐々に飲食中心にしてきた。というのも澤尻さん自身は40年も六本木や銀座の有名店で腕をふるった寿司職人だからだ。もちろん今も豊洲市場から仕入れたての魚を切り身や刺身としてさばいて店頭販売する、れっきとした鮮魚店でもある。この日の定食は、「良いブリが入ったんで」と、ブリの照り焼き。口に入れると厚手の切り身からジワリと脂とうまみがにじみ出る。味噌汁は甘エビの殻で出汁をとる。「一日1~2kgほど甘エビを刺身にするもので」とご主人。魚への目利きはさすがベテランと納得した。実はこの店の一番人気は海鮮丼。昼時、JR大崎駅周辺の高層オフィスビルからサラリーマンたちが、中古で仕入れたスクール用の椅子にずらりと並ぶ姿は壮観だ。

店主は寿司職人。
新鮮な刺し身が10数種類のった海鮮丼800円。
街の鮮魚店風だが味は本格派で夜は居酒屋になる「食べて飲める魚屋です」。
鮮魚店としては刺し身各種500円が人気だ。

『魚玉』店舗詳細

住所:東京都品川区西品川3-5-2/営業時間:11:30~13:30・17:00~22:00/定休日:日/アクセス:JR・りんかい線大崎駅から徒歩10分

寿ぎ乃家

養鶏場だったという本格派鶏肉専門店の実力発揮

鳥唐揚げ定食塩味870円のほか普通の唐揚げも美味。

店主の吉田保男さんに店の歴史を聞いてびっくり。「先代が数十年前までここで養鶏場を営んでいました」。そんな超専門家一族が営む鶏肉料理店は絶品の味わいだった。息子さんが調理する鶏唐揚げ定食の塩味は素揚げで、皮のパリパリ感がえも言われぬおいしさ。ご飯は新潟産コシヒカリをガス釜で炊くのでつやつや。漬物は息子さん特製だ。若奥さんおすすめのささみカツが、意外なほど柔らかくて味わい深いわけは、「鶏肉店の方で鶏1羽を丸ごと仕入れて毎朝さばくので、新鮮だから」。鶏肉店がさばくというのは、今では都内でも希少な存在だ。だから一羽分の部位や内臓も豊富で砂肝のスタミナ漬けなど値段の割にボリュームもたっぷりだ。隣接の鶏肉店ではお母さんが十数種類もの焼き鳥を担当。毎日一家総掛かりで串刺しという、誠に手作り感満載の美味しい店なのだ。

砂肝のスタミナ漬け380円(左)は細切りで食べやすい。あかね鳥の生ハム650円(右)もおすすめ。
座敷ありで近所の家族連れにも人気。
右が『寿ぎ乃家』で左は吉田鶏肉店。
鶏肉店内は焼き鳥の芳香が。

『寿ぎ乃家』店舗詳細

住所:東京都練馬区田柄1-2-20グレイス田柄1F/営業時間:11:30~14:00LO、17:00~21:30LO/定休日:水・第3火/アクセス:地下鉄有楽町線・副都心線平和台駅から徒歩8分

とんかつ洋食の店 マルミ

肉も切りたてが美味だと教えてくれる店

牛かつ定食1500円。漬物も自家製。

にぎやかな商店街にある精肉店。店頭のショーケースには豚肉や牛肉がつやつやと輝いている。これが2階で食べられるというのだから、食欲をそそる。そして注文した牛かつ定食はさすがだった。驚くほど柔らかく、牛肉にほんのり赤みを残す揚げ具合も絶妙なのだ。店主に聞くと「だって国産のステーキ用ですから」。ほかにも肉屋ならではの豚レバーをふんだんに使ったレバーカツなど、定食が600円台からある良心価格。先代の精肉店を子供の頃から手伝ったから、筋の切り方など肉の扱いは抜群の腕前だ。「お客さんにお腹いっぱいになってほしい」「お米も茶葉も地元商店街の専門店で良いものを仕入れています。お互いに盛り上げたいですからね」という店の方々の言葉に、「みんなが幸せになるといい」という温かな心がじわじわにじむ、何だかうれしい店だ。

ポークソテー1050円はもっと分厚くという追加注文も可能。
最初は高級洋食店として開業、今は気軽で美味な2階の『マルミ』。
牛ステーキは注文後に1階でカット(1300円~)。
手作り総菜や漬物が並ぶご近所の味方。

『とんかつ洋食店 マルミ』店舗詳細

住所:東京都大田区仲六郷2-15-11/営業時間:11:00~14:30LO、17:00~20:30LO/定休日:月に2回、日/アクセス:京急本線雑色駅から徒歩3分

構成=フラップネクスト 取材・文=眞鍋じゅんこ 撮影=鴇田康則
『散歩の達人』2019年2月号より