テンション上がる総菜盛り合わせ『きっちん大浪』

吉祥寺駅から歩いて6分の井の頭通り沿いに『きっちん大浪』は、野菜たっぷりの副菜がついた焼き魚定食が自慢。この店の前身である飛騨高山料理を提供する店にお客として通い、店を手伝っていた清水さんが大将から引き継ぐ形ではじめ、一人で切り盛りする。

鯖の西京焼き定食は、西京漬けにした鯖と総菜の盛り合わせにご飯とお味噌汁がついており、食べごたえ抜群だ。副菜となるお総菜の盛り合わせは日替わりで、7〜9品もついてくるのがうれしい。「1人で全部作っていて電子レンジもないので、魚を焼くあいだ待ってもらうのにお総菜の盛り合わせをつけています。酒のおつまみとしても重宝されているんですよ」と清水さん。

焼き魚は必ず焼きたて。ジリジリとたっぷりの脂がにじんで、身もふっくらジューシー!

さらに、ご飯はなるべく精米したて、味噌汁には前の店の大将に教わった飛騨の味噌を使用し、定食に使う野菜はなるべく地のものを仕入れるという。きちんと美味しいに向き合う姿勢から生まれた定食は、胃袋の迷子に効く味だ。

『きっちん大浪』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町2-13-13 1F/営業時間:火・木・土・日・祝は12:00〜14:00・17:30〜22:30(月・水・金は17:30〜22:30)/定休日:不定休(Facebook、Twitterをご確認ください)/アクセス:JR・私鉄吉祥寺駅から徒歩6分

店名を冠した定食、ガツンと汗かくスタミナ!『食堂居酒屋 どいちゃん』

どいちゃん炒め定食830円は、心地よい汗がでるピリ辛のどんぶりがメイン。
どいちゃん炒め定食830円は、心地よい汗がでるピリ辛のどんぶりがメイン。

『食堂居酒屋 どいちゃん』で食べるなら、店名を冠し、長く愛されているどいちゃん炒めご飯定食。メインは豚肉、たこ、キャベツ、もやし、にらなどが入った野菜炒めを大胆にご飯にのせたどんぶりご飯。これに味噌汁と日替わりの副菜、お漬物が付いてくる。

どいちゃん炒めご飯定食には、自家製の辛味噌「どいちゃんだれ」が欠かせない。どんぶりにかけて食べる用に付いてくるタレなのだが、常連さんに愛されすぎて+100円で他の定食にもつけられる。ちょっと意外だが、お味噌汁に入れるお客もいるのだそう。

どんぶりにタレを豪快に混ぜて口にかき込むと、なかなか辛い。カッと熱くなって少し汗ばむのが心地よく、この甘辛さがクセになる。パワフルなどんぶりで元気がみなぎってくるのだ。

女性1人でも気軽に飛び込めそうな、ちょっとこじゃれた店構え。実はこちらのお店、元々カフェなのだ。
女性1人でも気軽に飛び込めそうな、ちょっとこじゃれた店構え。実はこちらのお店、元々カフェなのだ。

『食堂居酒屋 どいちゃん』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町2-8-6 1F/営業時間:平日11:30~23:00(土は12:00~23:00、日は12:00~21:00)/定休日:無/アクセス:JR・私鉄吉祥寺駅から徒歩5分

おばあちゃんの手料理をお手本にした定食を『四歩』

本日のごはんセット1100円。メインのおかずにごはんと味噌汁と3種類の副菜がつく。
本日のごはんセット1100円。メインのおかずにごはんと味噌汁と3種類の副菜がつく。

吉祥寺駅から歩いて15分ほどの住宅街にある『四歩(しっぽ)』は、どこかに懐かしさを感じる雑貨やアンティーク家具を集めた店だ。カフェスペースで食べられる本日のごはんセットは、週替わりでメニューが変わり、メインが2種類から選べる。どのおかずもおばあちゃんの料理がお手本になっていて、この日は「鶏団子と車麩とかぶの煮物」を注文。

「鶏団子と車麩の煮物」は、ほろりとくずれる鶏団子と出汁をたっぷり吸った車麩がやさしい味わい。うんうんと頷きながら、顔がほころぶ。小鉢も食感や味付けがかぶらないよう考えられており、いろんな料理を少しずつ、あれも、これもと楽しんでいるうちに満腹になる。

「旬の食材も使いつつ、野菜たっぷり。たくさん食べてほしくて、この形になりました」と店主の宮崎さん。晩ご飯を食べに通う近隣住民がいるというのも納得の満足感だ。

ガレージを改装したような外観。積み上げられたお皿や戸棚に吸い寄せられてしまう。
ガレージを改装したような外観。積み上げられたお皿や戸棚に吸い寄せられてしまう。

『四歩』店舗詳細

昭和のスナックの香りが残る定食屋『コペ』

昭和の香りが残る店内。
昭和の香りが残る店内。

創業から40年以上続く『コペ』は、スナックから転身したちょっと珍しい店だ。「もともと私がスナックをやっていたの。お店で定食を出していたら、それが評判になって定食屋に変えたのよ。今どきの時代の流れもあってね」とお母さん。

メンチ玉子とじ定食750円。小さくガッツポーズしたくなる、おかずの布陣。
メンチ玉子とじ定食750円。小さくガッツポーズしたくなる、おかずの布陣。

他の店ではあまり見かけないメンチ玉子とじ定食は、ご飯、味噌汁、メンチ玉子とじ、副菜にスパゲッティサラダ、もやしの和え物、おからとひじきの炒り煮、納豆と漬物がセット。これだけの品数で750円という良心価格に頭がさがる。また、ご飯は麦飯と白米が選べ、プラス200円でとろろもつけられる。「麦とろ定食を出しているから、サービスで選べるようにしたのよ。7割以上のお客さんは麦飯。栄養も豊富だから体にもいいよね」とお母さん。

メンチ玉子とじは「熱いのでお気をつけて」の言葉とともに、グツグツと音を立てて運ばれてくる。メンチカツは衣がつゆでしみしみ。ご飯にワンバウンドさせながらいただけば、気取らないおふくろの味が口に広がる。

毎日のように利用するビジネスマンも多く、ハムエッグ定食やニラ玉定食は、常連の要望から生まれたメニュー。
毎日のように利用するビジネスマンも多く、ハムエッグ定食やニラ玉定食は、常連の要望から生まれたメニュー。

『コペ』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-14/営業時間:10:30~21:00/定休日:月/アクセス:JR・私鉄吉祥寺駅から徒歩2分

元寿司職人が提供するフルコースのような定食『階段ノ上ノ食堂』

いわいずみ短角牛のタンとハツの鉄板焼き定食。ご飯と味噌汁、副菜がついて1500円!
いわいずみ短角牛のタンとハツの鉄板焼き定食。ご飯と味噌汁、副菜がついて1500円!

吉祥寺駅から歩いて1分、公園口からある通りのビルの2階にある。店主の浜名晃さんは元々高級寿司店の職人の経歴をもつ生粋の料理人。祖父の代から吉祥寺で寿司店を営んでおり、継ぐつもりでいたが、全国で食べ歩くうちに、旬の食材を使用した食堂を作りたいと一念発起。『階段ノ上ノ食堂』をオープンさせた。

メニューは日替わりの定食が4種類。浜名さんは鉄板料理店で働いた経歴もあるため、肉料理の腕前も確かだ。そのほか、海鮮丼定食や毎年冬のお楽しみカキフライ定食もおすすめ。定食に必ずついてくる副菜は、少しずつ色んな旬の料理が盛り合わせてある。副菜やサラダを堪能したあとにドン!とメインがやってきて、定食でありながらもコース料理のような喜びがある。

メインが出る前にサラダと副菜がやってくる。今回は左から、自家製の豆腐、白菜の煮浸し、ぎばさちりめん、ほうれん草のチーズオムレツ、お新香。
メインが出る前にサラダと副菜がやってくる。今回は左から、自家製の豆腐、白菜の煮浸し、ぎばさちりめん、ほうれん草のチーズオムレツ、お新香。
その名の通り階段をのぼった先にある食堂。
その名の通り階段をのぼった先にある食堂。

『階段ノ上ノ食堂』店舗詳細

自然食にこだわった定食で本当の美味しさを『もんくすふーず』

野菜定食1100円。(ランチ900円)メインのおかず、ごはん、味噌汁に加えて、2種類の副菜とお漬物までついてくる。ご飯は玄米と七分づき米から選べる。
野菜定食1100円。(ランチ900円)メインのおかず、ごはん、味噌汁に加えて、2種類の副菜とお漬物までついてくる。ご飯は玄米と七分づき米から選べる。

吉祥寺駅から徒歩5分ほど。『いせや』を通り過ぎたあたりに『もんくすふーず』がある。自然食にこだわる定食店で、創業以来、添加物や保存料は不使用、米や野菜は無農薬、有機栽培のものを使用。店主の小林さんは、地元の旬の食材や伝統料理が、そこに暮らす人にとって体にいいという考えかたで、なるべく地元の野菜を使うように心がけているという。

定食は日替わりで、野菜が中心のおかず、魚、鶏肉の3種類から選べる。この日の野菜定食のメインは、里芋と野菜五目赤味噌煮。体にいい料理は、心にもしみる。食べ終わったら、きちんと「ごちそうさま」が言いたくなった。

店名はジャズ・ピアニストのセロニアス・モンクから。
店名はジャズ・ピアニストのセロニアス・モンクから。

『もんくすふーず』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市御殿山1-2-4/営業時間:11:30~LO22:00(土・日・祝は11:30~LO21:00)/定休日:水(祝日の場合は変更あり)/アクセス:京王井の頭線・JR中央線吉祥寺駅より徒歩5分

質のよいおろしたての魚を手軽に『里の宿』

本日の金目鯛の煮魚定食は1600円。
本日の金目鯛の煮魚定食は1600円。

真っ赤に輝く金目鯛、色とりどりの小鉢にご飯。本日の煮魚定食を注文したら、栄養たっぷりの食卓になった。「煮魚のタレは開店から30年以上、注ぎ足しながら使っているんです」と店の方。おお、甘辛で深みのある味わいは店の歴史そのものだったのか。女性常連客が多いのも納得のしゃれた店内だが、素材の良さは極めつき。井ノ頭通り沿いに南に6分の鮮魚店『魚初』の直営店なのだ。豊洲市場での仕入れや下ごしらえは『魚初』担当。刺身定食を注文すれば、鮮魚店ですぐにさばいてお客のもとに届けられる。さらに漬物も自家製、ご飯はコシヒカリと美味ぞろい。『魚初』自体、手作り総菜やご飯も揃うが、さらに「姉妹店の居酒屋『せんぎょ屋』もあります」と店主の鈴木さん。定食に総菜に酒の肴までこんなにいい魚を食べるのが日常とは羨ましいぞ、吉祥寺民。

『魚初』2代目の鈴木兄弟。仕入れから総菜調理まで一族で協力。
『魚初』2代目の鈴木兄弟。仕入れから総菜調理まで一族で協力。
店内には大テーブル。夜のひとりごはんも気楽だ。
店内には大テーブル。夜のひとりごはんも気楽だ。
魚介の入荷でメニュー決定。
魚介の入荷でメニュー決定。

『里の宿』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-28-5 MAC吉祥寺コート1F/営業時間:11:30~14:15LO・17:00~20:30LO/定休日:日/アクセス:JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩6分

L字カウンターにへばりつく喜び『もがめ食堂』

カウンターは9席。
カウンターは9席。

「お母さんが作るみたい」との声があった通り、社長の母、宮本久子さんが開業時にメニュー作りを手伝った。「まるで家のごはんだよね」と恐縮するが、みんなそれを求めているのだ。唐揚げや生姜焼きなどの定番に加えて、日替わりが2種。「揚げ物や肉料理と、上品な煮物など真逆を用意します」と、和食が得意な豊澤隆さん。常連客の多くが、ひき肉入りミニカレー100円を追加注文、同時にご飯をお代わりしている。こりゃ、満腹御免の作戦だ。

こちらもおすすめ、定番の鶏と茄子のおろし煮定食1100円。
こちらもおすすめ、定番の鶏と茄子のおろし煮定食1100円。

『もがめ食堂』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-11-24 HALビルB1/営業時間:11:30~15:00・17:00~21:00/定休日:水/アクセス:JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩5分

土・日・祝のみオープンの正統派洋食店『ヨシダゴハン』

デミグラスハンバーグ1430円はライスとスープ付き。
デミグラスハンバーグ1430円はライスとスープ付き。

今はなき吉祥寺の老舗『シャポー・ルージュ』でコックとして働いていた吉田順さんが、2014年に開店。「日本生まれの洋食は、日本食の1つです」と、ご飯に合う味を大切に作る。牛と豚の合いびき肉に、つなぎを加えてしっかり練るハンバーグは、洋食の定番デミグラスソースをたっぷりかけて。牛スジ、仔牛の骨、鶏ガラと香味野菜、ワインを入れて4 ~ 5日じっくり煮込み、濃厚ながらすっときれいな後味が自慢。皿に残ったらご飯を絡めてたいらげたいほど。

平日はキッチンカーで都内に出店する吉田さん。
平日はキッチンカーで都内に出店する吉田さん。
おしゃれで清潔な店内。
おしゃれで清潔な店内。

『ヨシダゴハン』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-34-15 日加ビル1F/営業時間:11:30~14:30LO・17:30~21:00LO/定休日:土・日・祝のみ営業/アクセス:JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩7分

店内なのにお弁当!仮面の下の実力派!『カヤシマ』

しょうが焼き弁当930 円。18 時以降はちょっぴり値上がりするので注意!
しょうが焼き弁当930 円。18 時以降はちょっぴり値上がりするので注意!

喫茶店とも食堂とも居酒屋ともつかぬ何とも不思議な営業形態に、お店の中なのにしょうが焼き弁当とはこれ如何に。「最初は喫茶店だけだったんだけど、食事もお酒もやり始めたらちゃんとやりたくなちゃってね」と店長の佐藤孝一さん。弁当スタイルも出前をやっていた頃の名残だそうだが、片付けるのにも便利だし、とそのままに。しょうが焼きはタレの鍋で肉をしゃぶしゃぶする独自の調理法。普通のものと一味違う、濃厚な味わいだ。

40年以上同じ場所で吉祥寺を見続けてきた店はさすがの風格が漂う。
40年以上同じ場所で吉祥寺を見続けてきた店はさすがの風格が漂う。

『カヤシマ』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-10-9/営業時間:9:00~23:30LO(ランチは11:00~18:00)/定休日:無/アクセス:JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩5分

天晴れ! 元気な笑顔と庶民派価格『まるけん食堂』

日替わり定食600 円。取材時のおかずは豚ロース生姜焼きとコロッケ。ポテトサラダ添え。
日替わり定食600 円。取材時のおかずは豚ロース生姜焼きとコロッケ。ポテトサラダ添え。

近くに住んでいる人・働いている人がうらやましくなるような店の代表格が、この『まるけん食堂』。この店だけ昭和の時代に取り残されたかのようなレトロ感と、ホッとする雰囲気、そして価格設定。近くにあったら毎日通うこと請け合いだ。日替わりには、ボリュームある肉か魚のほか、切り干し大根やひじき煮など優しいおふくろの味も登場。生アゲ生姜焼きといった一品も多く、好物を自在に組み合わせ、マイ定食を仕立てる"まるけん上級者"も多い。

この場所で60年。
この場所で60年。

『まるけん食堂』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-6-14/営業時間:11:00~ 15:00・17:00~ 21:30LO/定休日:月/アクセス:JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩8分

取材・文=福井 晶、眞鍋じゅんこ、松井一恵(team まめ)、半澤則吉、かつとんたろう 撮影=福井 晶、鴇田康則、加藤熊三、小野広幸、オカダタカオ、加藤昌人

最新のスポットや古くから続く商店街、ノスタルジーを感じる飲み屋街など、さまざま表情がある吉祥寺。学生たち御用達のガッツリとしたラーメンから、優しさを感じる味わいのラーメンなど、ラーメン通をうならせる名店が点在する激戦区。どの店を選んでいいか迷ってしまうほどだ。
カフェ激戦区と言えるほど多くのカフェで溢れる吉祥寺では、ビルの階段を上がった先や商店街の地下など、街のあちらこちらで個性豊かなカフェを見つけることができる。コーヒーや紅茶の香りに導かれ、お気に入りの場所を見つけてみよう。
心癒される井の頭公園に活気のある商店街、探究心をくすぐる裏路地……。お散歩好きならワクワク必至の吉祥寺には、パンの名店もたくさんあるのをご存知でしょうか。オーナーのこだわりがつまった個性的なパンとの出合いを求め、もっと歩きたくなること間違いなし。焼きたての香りに誘われて、さっそく行ってみましょう!
吉祥寺の繁華街から少し離れたエリアのほか、観光客が行き交う通りや駅近でも地下やビルの上階などに注目して、料理も空間にも太鼓判を押せるお店をご紹介。魅力的過ぎて、本当は秘密にしておきたいぐらいです!