里の宿
質のよいおろしたての魚を手軽にいただく
真っ赤に輝く金目鯛、色とりどりの小鉢にご飯。本日の煮魚定食を注文したら、栄養たっぷりの食卓になった。「煮魚のタレは開店から30年以上、注ぎ足しながら使っているんです」と店の方。おお、甘辛で深みのある味わいは店の歴史そのものだったのか。女性常連客が多いのも納得のしゃれた店内だが、素材の良さは極めつき。井ノ頭通り沿いに南に6分の鮮魚店『魚初』の直営店なのだ。豊洲市場での仕入れや下ごしらえは『魚初』担当。刺身定食を注文すれば、鮮魚店ですぐにさばいてお客のもとに届けられる。さらに漬物も自家製、ご飯はコシヒカリと美味ぞろい。『魚初』自体、手作り総菜やご飯も揃うが、さらに「姉妹店の居酒屋『せんぎょ屋』もあります」と店主の鈴木さん。定食に総菜に酒の肴までこんなにいい魚を食べるのが日常とは羨ましいぞ、吉祥寺民。
『里の宿』店舗詳細
もがめ食堂
L字カウンターにへばりつく喜び
「お母さんが作るみたい」との声があった通り、社長の母、宮本久子さんが開業時にメニュー作りを手伝った。「まるで家のごはんだよね」と恐縮するが、みんなそれを求めているのだ。唐揚げや生姜焼きなどの定番に加えて、日替わりが2種。「揚げ物や肉料理と、上品な煮物など真逆を用意します」と、和食が得意な豊澤隆さん。常連客の多くが、ひき肉入りミニカレー100円を追加注文、同時にご飯をお代わりしている。こりゃ、満腹御免の作戦だ。
『もがめ食堂』店舗詳細
ヨシダゴハン
土・日・祝のみオープン 貴重な正統派洋食店
今はなき吉祥寺の老舗『シャポー・ルージュ』でコックとして働いていた吉田順さんが、2014年に開店。「日本生まれの洋食は、日本食の1つです」と、ご飯に合う味を大切に作る。牛と豚の合いびき肉に、つなぎを加えてしっかり練るハンバーグは、洋食の定番デミグラスソースをたっぷりかけて。牛スジ、仔牛の骨、鶏ガラと香味野菜、ワインを入れて4 ~ 5日じっくり煮込み、濃厚ながらすっときれいな後味が自慢。皿に残ったらご飯を絡めてたいらげたいほど。
『ヨシダゴハン』店舗詳細
カヤシマ
店内なのにお弁当!? 仮面の下の実力派!
喫茶店とも食堂とも居酒屋ともつかぬ何とも不思議な営業形態に、お店の中なのにしょうが焼き弁当とはこれ如何に。「最初は喫茶店だけだったんだけど、食事もお酒もやり始めたらちゃんとやりたくなちゃってね」と店長の佐藤孝一さん。弁当スタイルも出前をやっていた頃の名残だそうだが、片付けるのにも便利だし、とそのままに。しょうが焼きはタレの鍋で肉をしゃぶしゃぶする独自の調理法。普通のものと一味違う、濃厚な味わいだ。
『カヤシマ』店舗詳細
まるけん食堂
天晴れ! 元気な笑顔と庶民派価格
近くに住んでいる人・働いている人がうらやましくなるような店の代表格が、この『まるけん食堂』。この店だけ昭和の時代に取り残されたかのようなレトロ感と、ホッとする雰囲気、そして価格設定。近くにあったら毎日通うこと請け合いだ。日替わりには、ボリュームある肉か魚のほか、切り干し大根やひじき煮など優しいおふくろの味も登場。生アゲ生姜焼きといった一品も多く、好物を自在に組み合わせ、マイ定食を仕立てる"まるけん上級者"も多い。
『まるけん食堂』店舗詳細
構成=株式会社エスティフ 取材・文=眞鍋じゅんこ、松井一恵(team まめ)、半澤則吉、かつとんたろう 撮影=鴇田康則、加藤熊三、小野広幸、オカダタカオ、加藤昌人